現在の住宅は約30年程度しか使えない。それはなぜでしょうか。

 

屋根や外壁、室内の建具やフローリング、壁はビニールクロス。全て工業製品で作られています。工業製品は最初は美しいですが、経年変化により痛み、みすぼらしくなります。

 

そして工業製品は寿命があり、寿命を伸ばすために塗り替えたり、交換したりといったメンテナンス=手間をかけることが必要です。

 

しかし、多くの消費者はメンテナンス=修繕やリフォームなど家を建ててから家に対してお金をかけることを避けたがり、嫌がりますし、場合により金銭的にもできない場合も多いのです。

 

家はメンテナンスが必要なものです。車も長く乗るためには車検を受けて、オイルやタイヤなどの必要な消耗品を交換します。携帯電話や家電製品は壊れたら買い換えるほうが安いので買い換える人が多いでしょうか。

 

家の中の消耗部品はどこでしょうか。

一般的なメンテナンススケジュールを書き出すと、

 

キッチン、お風呂、トイレなどの水回り 約10年から15年

外壁(塗装やサイディング壁) 約10年から15年で塗り替えが必要

屋根(金属屋根)約10年から15年で塗り替えが必要

壁紙 約10年から15年で張り替え

基礎(コンクリート) 法定耐用年数60年

 

現在の家はかし保証といって10年間は不具合が保証されていますが、10年程度は大きな問題はまず起きません。保証が切れてから問題が出て来ます。

 

「Patina」という言葉があります。「経年変化の楽しみや味わい」という意味のラテン語です。例えば古民家などは自然素材が使われており、自然素材は経年変化により風合いや色合いは変化しますが、みすぼらしいと感じる人もいますが、味わいが出て来たと感じる人もいます。茶道でいう侘び寂びというところでしょうか。

 

 

経年変化を楽しむということは消費することに喜びを感じるよりも、大切な物を長く大事に使う事に喜びを感じることであり、。それは心にゆとりのある生活にもつながります。

 

木材や石や漆喰でできた家は経年変化で味わいが出てくるのです。無論自然素材の住まいも定期的なメンテナンスは必要です。

 

家はメンテナンスし続けるものであり、長持ちするためには寿命の短い工業製品より自然素材を使うほうがよく、

 

一番は消費者自身が経年変化の味わいを楽しむ感覚が必要だと思います。