鋸(のこぎり)は木材を切断するための大工道具ですが、日本とアメリカでは力の入れ方が逆になります。日本は引く時に切れるように刃が並んでいますが、アメリカなどの海外のノコギリは 押す時に切れるように刃がついています。

体格の小さかった昔の日本人は押すよりも、引く時の方が力が入りやすい事を知っていて木材を切るノコギリにも応用したん じゃないかと思います。

鋸は、大きな木材や丸太を切断する大型の片面に刃がついた「がんど」と呼ばれる物を始め、両側に刃がついた両刃鋸、これは木材の繊維方向に水平に切る場合の小さな山の刃と、木材の繊維を切っていくように切る大きめの山の刃がついてあり、木材の繊維の向きでどちらの刃を使うかを選びます。

片刃鋸には刃がついていない側に補強をほどこした胴づき鋸と言われる刃が非常に細かくて造作によく使われる。刃がワンタッチで簡単に交換できるレザーソーやゼットソーと言われる物が最近はよく使われています。片刃鋸にもそれぞれ横引き(木材繊維と平行に切る)、縦引き(木材の繊維を直角で切る)の種類があります。

鋸の刃の表面をよく見ると、小さな山の片面が斜めになって刃先の片側が斜めに傾斜が付けられいます。これを鋸のアサリといい、斜めの傾斜をつける事で木材を切ったときに出るオガクズが排出される構造になっています。アサリが大きいとオガクズの出る量も増え、切断の溝が大きくなる為に抵抗が少なく切るのが楽なので大きな木材を切断するには向いていますが、どうしても 切り口は雑に仕上ります。造作材などできれいに仕上げたい場合にはアサリの少ない刃先の目の細かいものを使うときれいに仕上ります。

最近は電動工具に取ってかわられようとしていますが、それでも細かな細工には加減がしやすいやはり手鋸(てのこ)が必要ですよね。鋸を大切にしている大工さんを見ると、この人は腕がいいんだろうなと思ってしまいます。