ユーザーレポートは一般消費者が調査することを指すが、インスペクションとは専門家による調査の事。中古住宅(既存住宅)を流通させるためには専門家によるしっかりとした調査が必要で、そのためにあるのが建物検査(インスペクション)制度。
家を調査する専門家はホームインスペクターと呼ばれています。

建物のコンディションを明確にして、それを報告することで直す部分や悪い部分を把握して安心して建物が購入できる。

古民家鑑定は、通常のインスペクションではわからない伝統構法に特化したインスペクションです。

インスペクションという考え方は2000年に入り日本でも取り入れられるようになったが、インスペクション先進国はやはりアメリカや欧米、年間の新築住宅と中古住宅の流通割合が日本新築8割に対して中古住宅流通が8割の海外だから、品質検査が進んだのもうなづける。

アメリカのインスペクションとどんなものかというと(あくまで見聞しただけなので違う部分もあるかもしれませんが)

中古、建売り新築の物件購入をする場合、買主へのインスペクション勧告(Buyer‘s Inspection Advisory)という書面で、「買主が購入する物件の状況は売主・仲介業者が保証するものではないため、専門知識を有する者(ホームインスペクター)による住宅診断を行い、その報告書を受け取るべきである」という旨の書類に記名・押印が求められる。

そして買主が約3万円から4万円を支払いホームインスペクターにインスペクションを依頼します。ホームインスペクターは小屋裏の配線や雨漏りなどを詳細に調査して約60ページぐらいの写真付きレポートを調査の翌日にはメールで報告します。
売主側がインスペクションをしないのは、物件を高く売りたいから瑕疵を報告しない場合も考えられるため。買う側の立場で物件を厳しく調査します。そして報告書の内容によっては買主は売主に交渉をおこないます。

シロアリはアメリカでも重要な調査項目で、これはシロアリ業者が大体無料で調査します。シロアリがいる場合には駆除をしないと銀行の融資が下りない場合もあり、シロアリの駆除は売主側が負担して行います。調査の依頼は買主で、駆除工事は売主の負担なので公平性が保たれるという訳です。





またそれぞれが物件の売買を適正に行えるかを第3者の立場でチエックするエスクローというサービスがあります。売主の物件は本当に売主が所有していて売るつもりがあるか、買主は銀行の融資を受けれて購入する資力があるかなどを調査します。

不動産業者もアメリカでは買主と売主それぞれに業者がついて交渉をおこないます。日本の場合買主と売主が同じ不動産業者が行うことが多く(両手仲介といいます)不動産業者の手数料は物件価格のパーセンテージで決まっているわけなので高く売ったほうが当然報酬は高くなり、しかも同額を両方からもらう仕組みです。

アメリカの方が売主(高く売りたい)、買主(安く買いたい)のそれぞれの立場でサービスが受けられるのです。

アメリカには数万人のホームインスペクターがいるそうです。アメリカで行われているホームインスペクションの技術レベルは実は高くありません。設備関係のチェックが主になっていたり、そもそもインスペクションを実施する方の技術水準が低かったりと日本の住宅診断とは違い大きいようです。日本は地震があるので日本で行われる住宅診断は構造に関することや細かな施工品質に関することまでしっかり診断しようとする傾向にあるので単純比較はできません。ただ、アメリカのそれぞれの利益につながるように公正に建物の品質を検査するという制度は日本でも必要なものだと思いませんか。