今日はハレ舞台だいういうように、なにがしらかの節目のイベントごとなどにはハレの日という「ハレ」という言葉が使われる。晴れと漢字で書かれるので、気持ちのいいお天気の日だから、なって欲しいという意味で取っている人が多いと思います。


PHOTO Dave Jenkins Wikipedia

実は「ハレ」とは、柳田國男によると、時間論をともなう日本人の伝統的な世界観のひとつだそうで、民俗学や文化人類学において「ハレとケ」という場合、ハレ(晴れ、霽れ)は儀礼や祭、年中行事などの非日常を指し、ケ(褻)はふだんの生活である日常を表す。ハレの場においては、衣食住や振る舞い、言葉遣いなどを、ケとは画然と区別しました。例えば結婚式などのハレの日は主催者(主役)である花嫁さんや花婿さんは正装なのは当たり前で、参列者の方々も正装で参加しなければなりません。


白と黒は万国共通の正装の色です。

花嫁さんが白無垢で、花婿さんも白いタキシード。
白は万国共通で「清らかで聖なる色」というイメージがあり、また日本の神道でいうところの「清め」の意味もあり、日本人にとっては特別な色です。かつて日本の女性は、婚礼で着用した白無垢を大切に保管しておき、その後最愛の連れ合いが旅立った時、白いまま袖を詰めて喪服とし、最後は本人の死装束としたそうです。ですから今も最後には白い装束を身に着けて天国へ旅立ちます。

仲人さんにホスト側はモーニングで色は黒色。
女性の参列者も今は白色は花嫁さんと被る、黒も不祝儀を連想させるから駄目などと紹介されていましたが、昔正装はやはり黒でした。

明治以降欧米化に伴い葬儀の時に西洋では黒を着用するのに倣い、洋装では黒のモーニングなどのフォーマルを着始め、和装では白喪服を着用していました。日新・日露戦争時に、戦争が激化してくると、度重なる弔いの儀式も毎日のように行われるようになり、どうしても白喪服では汚れが目立つので汚れが目立たない黒色に次第に変化したとされます。

結婚式とお葬式は今の感覚でいけば真逆の行事に思いますが、実は昔の日本人の感覚ではあらたまった「ハレ」の日であったのです。

冠婚葬祭という言葉がありますが、これが「ハレ」の日に当たります。

冠…大人になる儀式(成人式)
婚…結婚式
葬…お葬式
祭…先祖への祭式

です。いわゆる行事の最後に~式と、式が付く行事です。入学式、入社式なども「ハレ」の日でしょうか。

~会というものは準「ハレ」の日とでもしておきましょうか。運動会、同窓会、懇親会、こちらは正装は必要ないですからね。


一方の「ケ」はふだんの生活である日常を表しますが、特に食事に関係するそうです。
「ケ」と発音するものには、

毛…作物。特に稲の穂の実り
食…食物、食事
笥…食物を盛る器
褻…正式でないこと。また日常的なこと

熟語になると、

褻着(ケギ)…平生着る着物、普段着
褻稲(ケシネ)…農家の自家食用の穀物。「け・いね」が変化したとされます
毛付け(ケヅケ)…田畑に稲・麦などの作付け。年貢を決めるため作物の出来具合を認定すること。
間水(ケンズイ)…一日二食だった時代に、朝食と夕食の間にとる間食。

一毛作、二毛作、朝餉(あさげ)・夕餉(ゆうげ)と言うのはおなじみかと思いますし、食事時のことをケ時、田植えが済んだことを神に報告し、豊作を祈願すことケツケまいりという言葉もあるそうです。

「ケ」とは米や稲に関係する言葉で、稲作文化とともに日本に伝わったか、日本独自に変化したものといえそうです。

そして、「ケ」は「ケガレ」という言葉に変化します。これは稲などが実った後刈り取られたり、作物が枯れたりする状態、ケ・枯れということのようで、ケが枯れるとは、食物が枯れることであり、転じて日常性が破られることを意味します。

「ケ」と食事 参考:http://www9.wind.ne.jp/fujin/rekisi/onryo/onryo05.htm

なぜ「ハレとケ」について書いたのかというと、古民家の間取りも「ハレとケ」の考え方があるからです。

ドマ、オモテがハレ、
ダイドコ、ナンドがケにあたります。




松山市にある庄屋屋敷の間取りです。





古民家は暮らしに密着した昔の文化や考え方を現在に伝えてくれるタイムマシーンでもあります。
未来の子ども達へ残していきたいですね。