9月1日は大正12年に発生した関東大震災にちなんで昭和35年に制定された防災の日でした。

古民家の立地などを考えると、土砂災害などの自然災害の危険性を把握する事と、地震の際に倒壊しない強度を有しているかの耐震に関する情報が古民家ユーザーには必要なことだと思います。

立地に関しての土砂災害の危険性は避ける事が難しいが、災害発生の可能性を知っているか否かは大変重要で、また災害発生の可能性が高いのであれば行政などに依頼して防護措置を施してもらう事も可能です。自然災害に関しては国交省からハザードマップというものがホームページに公開されています。(http://disapotal.gsi.go.jp

各地域の土砂災害や浸水の可能性などがあるか確認できます。また周辺地形や古地図や周辺のボーリング調査などの情報を元に土砂災害の可能性を調査してくれる一般社団法人古民家を災害から守る地盤診断機構(http://www.kominka-mamoru.org)が古民家鑑定のオプションとして地形、地盤、洪水、地震、土砂災害の5つから統合的に判定した報告書を作成しています。

また地震に関しての安全性の確認には、古民家の建築工法が伝統構法と呼ばれる現在の建築基準法で定められて建てられる在来工法とは地震に対する考え方が真逆である為に、現在建築士などがおこなっている耐震診断法では判断ができません。これは在来工法が地震が起こった際にできるだけ建物が変形しないようにする耐震的な考え方に対して、伝統構法は地震の際に建物がゆっくり揺れる事で地震の力を逃がす免震的な構造である為です。

伝統構法の本当の耐震性を確認するには免震的な構造を理解した独自の耐震診断が必要です。元早稲田大学教授の毎熊輝記さんが開発した動的耐震性能診断法という伝統構法の耐震診断「早稲田式動的耐震性能診断」を提供するのが一般社団法人伝統構法耐震評価機構(http://www.doutekitaishin.com)です。

早稲田式動的耐震性能診断とは、建物は常に地震発生時以外に置いても微細な振動を受けて建物自体も振動を起こしています。正確には交通機関や各種機械などから人為的に受ける振動や、風や波浪などの自然現象に基づき地盤が小さな振動をしているのですが、この微細な地盤の振動と、それに起因する建物の振動を同時に計測しその振動データを解析処理する事で建物の振動特性値を求め地震の際に建物がどう地震応答での振動をするかを推測し、耐震補強に役立てる方法です。
実際の計測は地震計を建物近くの地盤面と、建物中央部の2階床面に水平直角方向に建物の短辺方向、長辺方向に設置して数分間振動を測定、これを3回繰り返しデータを収集して解析がおこなわれます。こちらも古民家鑑定のオプションとして測定がおこなわれます。

そして何より大事なのは古民家のコンディションです。古民家鑑定を実施して建物の痛んだ部分や交換が必要な部分を把握し、一般社団法人伝統建築防腐防虫対策協会がおこなうシロアリや腐朽が床下に無いかを調査する床下インスペクションなどもおこなう事で完璧になります。

その上で必要とする補修やメンテナンスを実施して健全な状態に保つ事が重要です。

また不幸にして何がしかの災害が発生する危険性が高まった際には速やかに避難などをすることも大切です。避難する為に建物を離れる場合には、火の始末、ブレーカーなどを落すなどと共に近所にも声を掛けあうことも大切です。

災害時の注意点

ガスコンロなどの火を消す。

慌てて屋外に出ない(古民家は地震時などには瓦屋根が落下する可能性があります)

塀の近くを通らない(倒壊の危険性があります)

地震が起こった場合などは扉や窓を開ける(建物が地震で歪み戸が開かなくなる場合があります)
家具などから離れる

ガラスの破片に注意

正しい情報を聞く(デマなどに惑わされないように注意する)

事前に地域の避難場所などを確認しておく

豪雨などによる避難指示がでれば速やかに避難する