伝統再築士とは、再築基準検討委員会の答申に基づいて策定された再築ガイドラインに基づき、次世代に引き継ぎたい文化的価値の高い伝統的な木造建造物を残す為の専門の知識を有するものを育成することを目的とした一般社団法人住まい教育推進協会が認定する資格制度。

再築基準検討委員会の再築ガイドラインに基づき、築50年以上を経過した木造軸組伝統構法の建造物を現地で模様替え並びに現地で過半の主要構造部の修繕、模様替えを行う際に建築基準法に定められた耐震性能を検証するための計算方法によらない文化庁の簡易耐震診断法を利用し、伝統構法住宅の簡易耐震診断をおこない、木造軸組構法が持つ復元力を高める方法で独自の建物性能を情報開示して改修に関する方向性を示し、改修を提案し施工を行うこと。

伝統再築士資格者の方に毎週メルマガを配信しています。4月6月と東京、大阪で講習を開催し、現在150名の方が資格を取得されています。次回は8月23日に東京で開催の予定です。

講習試験のお申し込みはこちら…

http://www.hepa.or.jp/伝統再築士/



今回は配信させて頂いたのは、曵家岡本さんに教えて頂いた不同沈下への対策に付いて




点ではなく面で考える

新築と違って、既に完成している躯体の沈下修正は、点で無く、面で考えなくてはなりません。一度に1本の柱を3mmから5mm程度づつ持ち揚げることを繰り返し、最終的に目標とする嵩上げ数値までもってゆく手間が必要です。そのために、全ての柱に掛けるだけの充分な量のジャッキが必要になります。よく1台のみのジャッキを持ち回り「順番に直してゆく」という説明をされる方がいらっしゃいますが、それは点で考えている施工方法であり点で修復をおこなうと他の部分に問題を発生させます。柱に専用の金具で「添え柱」を取り付け、そこに枕木を渡して両側をジャッキで持ち揚げます。添え柱は両側にあり、枕木も両側に渡しますので作業をするためには1本の柱に対して4台のジャッキが必要になります。60坪程度の古民家で50本の柱があるとして、200台のジャッキが必要になります。実際には、敷居や大引きにも必要に応じて掛けますので240台前後のジャッキが必要となります。

基礎を修復するため

添え柱に直接ジャッキをかけず添え柱の下に枕木をブリッジする理由は、沈下した柱を持ち揚げた後に基礎天場を揚げるか新しく基礎を作ったりするための作業スペースを確保するために、ジャッキが柱の真横に来ないようにセットします。不同沈下については専門的な技術と経験が重要です。お困りであれば是非ご相談下さい。