水曜日に会長を務めさせて頂いている愛媛インテリアコーディネーター協会のイベントで、松山から車で1時間弱の距離にある五十崎で手漉き和紙の工房見学と、金箔をその和紙などに貼るギルディングという技術を体験するワークショップを開催しました。

教えて頂いたのは五十崎社中の齋藤宏之社長。齋藤社長は、神奈川県海老名市生まれ。日本大学理工学部物理学科卒業後、2008年7月に株式会社五十崎社中を設立。JAPANブランド登録事業社として五十崎手漉き和紙を使った製品の製造・販売を行う。いわゆる”Iターン起業”にて奮闘されています。

ギルディングとは金属箔を使い、紙や木材、布、ガラスなどの上にデザインを施す手法で、齋藤社長は2007年にフランス国家遺産企業の認定を受けたパリ在住の壁紙デザイナー、ガボー・ウルヴィツキに師事。日本の伝統である手漉き和紙にギルディンングを施した作品を、昔から匠たちが自らを、生涯半人前であるととらえ、またそういう心持でいるべきと考え、照れと少々の自戒の念をこめて、自分や朋輩を「・・・大工じゃげな」「・・・鍛冶屋じゃげな」という「じゃげな」五十崎の方言を使い「Ja-Gué -Na」というブランドを立ち上げられています。

手漉き和紙の原料は楮(コウゾ)と三椏(ミツマタ)を数日間水に浸してから化成ソーダなどの薬品で2~3時間煮沸して、ゴミなどを取り除く為に水洗いをして1週間ほど日にさらし更に水洗いをしてトロロアオイの粘り気を混ぜ冷水で紙隙をおこないます。この道40数年を超えるお母さん達が1枚1枚漉いて行く作業は重労働。また漉いた紙もプレスして水分を取ってから更に1枚1枚はがして乾燥させて行く非常に手間のかかる作業です。





熟練の技の結晶でもある手漉き和紙ですが、五十崎社中さんにはちゃんと後継者の方も…19歳のカナさんも頑張っていました。




日本の伝統工芸の手漉き和紙ですが、そのままではむろん市場が今より広がる事は難しいでしょう。しかし齋藤社長はギルディングというフランスの技術を融合させ次々に新しい作品を生み出されています。伝統の技の継承をしっかりとおこないつつ、新しい風を吹き込む革新のアイデア…



これこそが本当に伝統を継承させて行く為に必要な事だと勉強をさせて頂きました。

五十崎社中さんのHPはこちら
http://www.ikazaki.jp/index.html