大山7合目辺りから見た北壁
母の遠距離介護で島根県西部に通っている。前回書いたがまっすぐ向かっても片道7時間。もったいないので道中寄り道することが多い。先月は島根に行く途中大山に立ち寄った。今月は帰りに大山に登頂した。
5月は三鈷峰(さんこほう)登山道。サンカヨウの花を探して途中まで登った。今回は久しぶりに大山夏山登山道を歩いた。
デイサービスの車に乗る母を見送り8時半に島根の家を出発。途中のコンビニで水と食料を確保、登山口のある大山寺には11時頃到着。登頂するには遅い時間。
登山口に入ってしばらくの間、かつてたくさんの僧房が立ち並んでいた場所を登って行く。
エゴノキの花が上から出迎えてくれた。
いつもお洒落なユキノシタの花。その葉は毛むくじゃらだが天ぷらは美味しい。
ヤマブキショウマ。純白のふわふわの花がすてき。
キク科の花。一面に咲いていた。この季節に咲くものは少ないそうだ。ミヤマヨメナ?

ミヤマナルコユリと思う。花が葉の下に隠れるように咲く。目立たなくなるのになぜだろう。
エゾユズリハ。
解説に〈日本海側の多雪地帯に適応したユズリハの亜種。北海道、本州の中部地方以北の日本海側に分布し、多雪地のブナなどの林床に育つ常緑植物の仲間。他にユキツバキ、ヒメモチ、ヒメアオキ、ツルシキミ、ハイイヌガヤなどがある〉とある。「中部地方以北」とあるが、大山も含まれるのだ。
さっそく、ヒメアオキも登場。赤い実が輝いている。アオキとは葉の形が違っている。
ツルシキミも登場。雌雄異株の雌株。やがて美しい赤い実になる。
こんな感じだ(2022年冬ポンポン山)。
「ツル」シキミと言うように、ミヤマシキミが日本海側の多雪地帯に適応し、林床に積もる雪に押しつぶされないよう地を這うような樹形に進化した。
また赤い実があった。ヤブコウジ。草丈しかない小さな樹木だ。

石段の右、林の奥に目がとまる。トケンランだ。
他の場合もそうだが、その(植物の)ことが気になり始めると視界の中にその何らかの特徴を感知できるようになる。それが「んんっ、もしかして…」と記憶につながり「やっぱりあれだ」と発見できるようになる。最初に自覚したのは山菜探し。ウド採りにはまり「ウドの目になった」と言っていた。
杜鵑蘭(とけんらん)。
名前の由来は花の紫色の斑点。ホトトギス(杜鵑)の胸~腹部の斑紋に似ているから。で、ネットで「ホトトギス」を探して見ると…
「なるほど!」と言えるほどではないな。それより自分が思い浮かべたのは…
京都祇園の中井白金堂さんのHPより引用
タイマイ(ウミガメの1種)の甲羅のもよう。べっこう細工の原料にされる。自分も沖縄の海岸でひろったのを持っている。「ベッコウラン」の方が良くない?いずれにせよ印象的ではあるが「何のため?」と考えてしまう。
トケンランは葉が冬緑性で、夏には枯れて休眠するのだという。
つやつやした輝きが写真で再現できた!オオイワカガミの葉。残念ながら花は終わったあと。

また赤い実だ。ツルアリドオシ。「5月の大山の花」でも紹介。2つの花の子房が融合して1つの実になる。2つの花のガクの跡が実の表面に残っていることがよく分かる写真だ。花のようすを再録。

ツルアリドオシの花。2024/6/4六甲山・有馬。
ギンリョウソウ! 5月はまだやっと芽生えたばかりだった。
タンナサワフタギ。純白の小さな花をたくさん付け、それぞれが長くか細い雄しべをたくさん伸ばす。ふわふわしてクリスマスツリーの綿飾りのように見える。
イチヤクソウ。丸いつぼみが可愛い。開花が楽しみ。
登山道にオサムシが登場。動き回るので撮りづらい。何とか追いかけ一瞬止まった時にパシャ。クロナガオサムシか。
次々とギンリョウソウが現れる。ギンリョウソウのシーズンなのだ。
ツルアジサイ。装飾花が出てくる所の粒々が花のつぼみ。
標高が上がりまだタニウツギの花を見ることができた!
おっと!!… 低く太い枝の下に大きなマイマイ発見!
もう一匹。殻の口を封印し雨を待つ。
ダイセンニシキマイマイ。大山を中心に兵庫県の一部と中国山地の、自然度の高い広葉樹林に生息。絶滅危惧Ⅱ類。
「錦」なのか「二色」なのか…大きくて存在感のあるマイマイだ。
避難小屋に到着。6合目だ。多くの登山者が休憩中。
ヤナギの花と分かるが。ヤマヤナギかな。
北壁の向こうに見えるピークが先月向かった三鈷峰のピーク。その手前の緑の尾根の上辺り(上宝珠)までサンカヨウの花に出会いに行った。
5月に見たサンカヨウの花。
大山の一つのシンボル・ツリーのナナカマドの花。バラ科。
下草のクルマムグラの花。小さくて可愛らしい。オククルマムグラかも。
樹林帯を越えて見晴らしの良い木道に出た。
大山山頂が見える。
ヤマオダマキの花! 木道の脇に一輪だけ咲いていた。見つけてラッキー。
もうすぐ1700m。イワカガミの花も残っていた。
マイヅルソウの花も。
ショウジョウバカマの花は終わっていた。
テントウムシ(ナナホシテントウ)が。小さな芋虫を食べる肉食昆虫だ。
ニワトコ。赤茶色のとても小さな花が、細かく枝分かれした先にきちんと一つづつ咲いている。
虫を集めるナナカマド。小さな一つ一つの花は梅の花のよう。
有名なダイセンキャラボク(イチイ)林の中を行く。多雪地帯に適応した樹形でハイマツ林と雰囲気が似ている。8合目から山頂にかけて8Haの大群落が広がるそうだ。
山頂避難小屋、遥か下界には米子平野、それに続く巨大な砂洲の弓ヶ浜、その左は汽水湖の中海、右は日本海の美保湾、そしてそれらの向こうに島根半島が見える。
米子に住んでいた子どもの頃、学校行事の大山登山があった。その頃、山頂は一面の豊かな草原に覆われていた。その後、登山者の増加や浸食で裸地となってしまった。現在はこのように木道の延長の木のテラスが設置され、草原の回復が図られている。
帰りも来た道を進む。行き違いに気を遣う。
山頂ではダイセンクワガタにも会えた。
ジシバリの花。地を縛って草原を復活して欲しい。

ナナカマドの葉に何カミキリ?
またオサムシが登場。登山道で割と出会う虫だ。触角が短いのでダイセンオサムシかも。
下りは途中から北壁方向に進み元谷に下る。標識に従って右へ。

今回もタニギキョウが咲いていた。
マムシグサ。
ヤブデマリ。
白い蝶々のような装飾花に囲まれたクリーム色のヤブデマリの花。アップすると可愛らしい。ハナアブもちょっとずつしかない蜜を吸うのは大変だろう。
ついつい撮ってしまうギンリョウソウ。透けて見える不可思議な体。
これでもツツジ科。腐生植物。菌類(キノコやカビの仲間)に寄生する。その菌類は樹木と共生する種類なので、間接的には樹木が光合成でつくった養分(ブドウ糖など)を菌類を通して分けてもらっている。
右の花の中に見える青色のものが雌しべ。ちゃんとマルハナバチなどがやって来て受粉する。果実(液果)を食べに来たモリチャバネゴキブリが種子を散布してくれるらしい(Wikipedia参照)。
この道は立派なブナ林の間を下っていく。
紅葉のときも素晴らしい森だ。
花を終えて仏炎苞(ぶつえんほう)がしおれていたので開けてみた…
中はこのような感じ。受粉した個々の花の子房が膨らみ始めている。やがて…
大山(2020年10月29日)
こんな感じになるはず。

元谷まで降りて来た。ここから大神山神社に向かう。
ヤマブキショウマ。
キケマン。
エゾアジサイ。北海道~本州(京都府以北の日本海側の多雪地帯)と九州に分布。深山の沢沿い、薄暗いやや湿った場所に自生。 福井県以西のものはヤマアジサイの多雪適応型とする見解もあるそうだ。大山にはとても多い。これからが本番。 
トチバニンジン。地味だけど可愛い花。
葉がトチノキの葉の形に似ている。

帰り道でもトケンランと出会った。
元谷から下山中、三鈷峰に行って来た登山者の方と出会った。その方はもっぱらラン科の花を求めて山に行っているそうだ。
そこで「以前この辺りでコケイランを見た」話になり「もうコケイランは終わったけど…」と探すと、何個体かトケンランを見つけた。その方は初めて見たそうで喜んでおられた。大神山神社に下るまで中国山地のランの話を色々伺うことができた。
大山寺の店の庭にシモツケの花が咲いていた。
帰りは山陰自動車道の道の駅で夕食を食べ、
鳥取の鹿野温泉に入湯。展望風呂。
露天風呂。大山登山の汗を流し帰途についた。