今日のメルマガの広告で、ちょこっと環境と農業について書いたので
掲載してみます。大学での講義内容(金属リサイクルとか)も書いて
いるのですが、そういうのは、また今度キチンとまとめてから掲載し
ます。では、「環境保全型農業」についてをよろしくお願いします。

 現行農業では作物に被害を与える害虫を駆除するため、農薬を撒く
のが一般的です。では、農薬を撒けば撒くほど害虫は減るのか?とい
うと、実はそうではありません。


 遺伝子の話になりますが、農薬を撒くと大半の害虫は死にます。し
かし、1度農薬を撒いただけで2度と畑で害虫を見なくなったという
話は聞きませんね。


 農薬を撒いても出てくる害虫は他のところから入ってきた害虫の他、
偶然農薬に耐性があった害虫です。農薬を頻繁に撒くとこの耐性のあ
る害虫だけが生き残り続けます。


 そして、その結果、耐性のある害虫同士で子孫を残すのです。それ
はつまり、高い確率で子孫も耐性があるということになります。そう
して何代も重ねると耐性のある害虫だらけになります。


 また、この農薬が植物の栄養状態を替え害虫に好ましいものになっ
たり、害虫の天敵がいなくなったり、害虫が農薬に負けないように子
どもたくさん産んだりして害虫を増やしてしまうこともあるのです。


 これをリサージェンス(誘導多発性)と言います。しかし、ここで
最も重要なのは耐性を持った害虫が現れるということです。耐性を持
った害虫が増えるとどうなるのでしょうか?


 実は害虫の体内に農薬が残るのです。そして、それを食べる鳥や獣
がまた、体の中に農薬を蓄え、その量が増えれば病気になったり死ん
でしまったりします。


 これを生物的濃縮といい、1962年に発表されたレイチェル・
カーソンさんの沈黙の春でキッカケに世界中の人に知られていく事に
なりました。


 これは何も鳥や獣だけの問題ではありません。生態系はグルグルと
回り続けるのです。いつかは私たちが口にする魚なども農薬を体内に
蓄えるかもしれません。


 一応、こうして農薬が生き物の体内に残ってしまうのはなぜかとい
いますと、実はこれはダイオキシンと同じで農薬が水に溶けにくく、
油に溶け安いという性質があるためです。脂溶性という奴です。


 そして、話を戻して、最近では環境保全型農業(自然農法)と呼ば
れる方法があります。害虫を食べる益虫を放ったり、害虫の性フェロ
モンを使ってオスかメスだけ捕まえて繁殖を防いだり。


 そういう方法を使って害虫の数を減らすのです。これらのさまざま
な害虫対策の手段をあわせたものをIPM、総合的害虫管理と言いま
す。