不妊治療クリニックの

岩城産婦人科様からお声がけをいただき、

不妊治療に関連した気になる法律のご質問に、

いくつかお答えをさせていただきましたカギ

 

今回は、

前回から引き続き、

胚の取り違えに関する記事

についての解説でした鉛筆

 

記事はこちら↓

 

下差し

 

 

 

 

この記事の中でも触れたのですが、

実際の詳細な事実関係は不明ですので、

あくまでも、

「病院側に胚の取り違えについて法的責任があった」

と仮定した場合の話です鉛筆

 

その場合、

他人の受精卵の移植で妊娠し、

最終的に人工中絶を余儀なくされた女性

に対しては、

これにより受けた精神的苦痛を、

慰謝料として賠償する責任が生じると考えられますカギ

 

 また、そのことだけではなく、

移植→妊娠→人工中絶を経ているため、

本来、この時期に受けられていたはずの

治療の機会を失ってしまった事

についても何らかの賠償が認められるか、

について、検討の余地があると考えられます鉛筆

 

さらに、

その期間と、

その期間に受けられる治療の機会、

が失われた事以外にも、

万が一、

移植→妊娠→人工中絶を経た事が原因で、

機能的な面での、妊娠率の低下が起きた

(外科処置での癒着など)

ということが起こっていれば、

これに対する賠償ということも考えられます。

 

もっとも、

この点は、そもそもこのような因果関係が法的に証明できるのか、

という点がかなり高いハードルのように思います注意

 

 

このように、

色々な面で賠償という問題があると思いますが、

その金額は、

いくらが適正なのか

という点も

非常に難しい問題だと思います電球

 

女性側からすると、

当然そのようなことは許せないという気持ちや、

精神的な苦痛は大変大きいということで、

金額の問題ではない、

というお気持ちでしょうし、

仮に金額の問題とするのであれば、

いくらであっても納得できない、

となるでしょう鉛筆

 

しかし、

法律上は、

裁判所は、

慰謝料を金額としていくら、

と決定しなければなりません虫めがね

 

このように、

慰謝料というのは、

精神的苦痛に対する賠償なので、

いくらが適正なのか、

という点が常々問題となる非常に難しいものです雷

 

こういう場合は、

裁判所は、

過去の裁判例の積み重ねで、

ある程度の相場を掴んでいくものですが、

今回のようなケースは、

前例がほとんどないため、

裁判所にとっても非常に難しい問題です雲

 

なかなか結論を出すことは難しいのですが、

こういった慰謝料については、

適正な金額はいくらか、

というのを、

個別のケースの事情に加えて、

社会的な側面や、時代情勢なども含め、

さまざまな要因を総合考慮して、

悩みながら決めていくしかないのだと思いますカギ

 

 

 

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