題名のないつぶやき会 その8 | †漆黒の腐敗臭~ブラックアロマブラック~in the dark†

†漆黒の腐敗臭~ブラックアロマブラック~in the dark†

神様って思わず僕は、叫んでいた・・・

[無題」 その8


嗚咽を漏らしながら俯いている私の肩をそっと抱きしめて兄さんは優しく語りかけた。

「医学部で暮らすようになる少し前から自分の体の異変ついてはなんとなく感じていたよ。日に日に曖昧になっていく記憶。香澄や周囲の人間が僕に向ける視線に込められた違和感。
そして・・ 頭ではなく体が覚えているんだ。彼女の存在を。

その彼女が僕にとっても香澄にとっても大切な人であるということは漠然と感じていた。
だから僕は彼女とこの身を共有することに決めていたんだ。それ以外の選択肢を僕は選ぶことなんかできない ・・・。
何だろう、今日はやけに記憶が整っている気がするよ。
でもいずれ今日話したこともきっと僕は忘れてしまうだろう。
そしてそうすることで彼女は生き続けることができるし僕はそれを望んでいる。
幸か不幸か今のところ小名教授は僕に対して治療を施す気はないようだしね。」

「……っ、兄さんは……兄さんはそれでもいいの……?自分の輪郭がそんな曖昧のままで……」
私は、まるで他人のことのように話す兄さんに対しそう問わずに はいられなかった。
答えはなんとなく分かっていた。だって兄さんは誰よりも優しいから。兄さんは私を抱きしめたまま微笑んだ。



「僕は、誰かがいなくなるってゆうのは――他のどんなことよりも――悲しいことだと思うんだ。」

続く・・・