ネット投票が普及していなかった昭和~平成初期までは、レース場に行っている仲間に「鉄砲」を撃つのが日常でした。

 

 

 

「鉄砲=2割、お預け=1割」

 

これ、何のことか分かりますか?

 

われわれギャンブル仲間うちの、暗黙のルールです。

 

 

 

購入資金を預けずに、馬券、舟券、車券の購入を依頼することを、『鉄砲(てっぽう)』を撃つ、と言います。

 

これはギャンブラーの皆さんなら、耳慣れた言葉かと思います。

 

 

一方、購入資金を預けて、馬券、舟券、車券の購入を依頼することを、ドンピシャのネーミングがないので、仮に『お預け』としておきます。

 

問題は、『鉄砲』を撃ち、または『お預け』をして儲けた際の、ご祝儀の相場です。

 

 

 

私は十数年前、松井繁が勝った2009年の賞金王決定戦(グランプリ)※で、ボートレース記者だったNに2万円ほど『鉄砲』を撃ち、約74万の払い戻しになったことがあります。

 

※人気の1号艇の坪井康晴が敗れ、松井→池田浩二→田村隆信の3連単は3万7010円の大万舟

 

その夜、帰京したNと高級焼き肉店で祝杯をあげ、Nに30万を握らせた、いや握ってもらった記憶があります。

 

 

 

そのご祝儀が、高いか安いかは、皆さんの感覚次第かと思います。

 

ただ、私の感覚では、Nというギャンブル仲間がいなかったら、舟券を買うことも、的中させることも、高級肉を口にすることもできなかったのですから、折半でも良かったと思っています。

 

 

まあ、上記の武勇伝? は例外中の例外で、ほとんどのケースでは、鉄砲を外し、購入資金を即、請求されるのがオチですが(笑)

 

 

 

 

話しを戻しますと、世間一般の認識では、『鉄砲』なら2割、『お預け』なら1割が、ご祝儀の相場ではないでしょうか。

 

 

ここで思い出すのが、このコラムによく登場するコンちゃんです。

 

 

コンちゃんがオートレースの現役記者だった時期、知人に鉄砲で車券の購入を頼まれ、200万円を超す特大の払い戻しになったことがあったと言います。

 

当然、世間一般の相場(鉄砲は2割)から、最低でも「40万円以上のご祝儀」を期待したコンちゃんでしたが、手にしたご祝儀は10万円だったそうです。

 

 

 

知人と銭金でもめたくないコンちゃんは、大人の対応を見せたそうですが、不満は煮えたぎっていました。

 

後日、私と雀荘で会うと、「おい、ジュン君、どう思うよ?」と興奮気味に、こう訴えてきました。

 

 

「鉄砲を撃ってきて、200万を超える払い戻しになったのに、ご祝儀が10万円ってことあるか?」

 

「購入資金を預けてきたなら分かるが、俺の身銭で買わせて、200万以上も儲けたんだぜ」

 

「納得いかねえ。感謝の気持ちがないだろ。あの野郎!」

 

 

ただでさえ、カッとなりやすいコンちゃんの眉間には、血管がぴくぴく浮かんでいました。

 

 

相場の2割(40万円強)どころか、まさかの一束(10万円)を前に、目が点になったコンちゃんの姿が目に浮かびます。

 

私のギャンブル仲間なら、最低でも、キリのいいところで50万円は祝儀で手渡したと思います。

 

 

 

このあたりは、ギャンブラーとしての矜持(きょうじ)の違いかと思います。

 

ただ、少なくても、購入をお願いしなければ、一銭にもならなかったことを考えると、感謝の気持ちも込め、大盤振る舞いしてしかるべき、と私は強く思います。

 

まして、1円も身銭を切っていない『鉄砲』ですから、なおさらです。

 

 

 

よく「金は天下の回りもの」と言います。

 

ケチる人間に、出し惜しみする人間に、いい金は回ってこない。私はそう思っています。

 

若い頃、先輩に散々おごってもらいながら、自分が先輩になると、割り勘が当たり前。

 

それって、おかしいでしょ? カッコ悪くないかい?

 

われらギャンブラーに、そんなヤツはいないと信じています。

 

コンちゃんに鉄砲を頼んだ人間(誰かは知りませんが)は、恐らく、その後の金回りは、停滞しているものと思いますよ(笑)

 

 

 

仮に運よく、『鉄砲』や『お預け』で儲けたなら、世間一般の相場(鉄砲2割、お預け1割)などにこだわらず、感謝の気持ちを目いっぱい上乗せしたいもの。

 

これこそ、粋なギャンブラーの矜持と言えるのではないでしょうか。

 

 

命の次に大事な金が絡むからこそ、ギャンブラーは金に綺麗でありたいものです。

 

皆さんもギャンブルで、あぶく銭を手にした時は、大盤振る舞いを忘れないで下さい。

 

金は天下の回りもの─

情けは人のためならず─

 

いつか自分に返ってきますから。

 

 

 

 

余談ですが、高校時代のギャンブル仲間である「タ・コ・キン」(タツ、コテツ、キンコー)は、そのあたりの「わび・さび」をよく心得ています。

 

若い頃、一緒に川口オートに勝負に行って、誰かが勝つと、万単位のご祝儀はもちろん、大勝ちした時など、西川口の「ソ●プ」へ、レッツゴー(ご招待)、がお決まりでした。

 

「あぶく銭は、泡に使おうぜ!」

 

誰かが言った、この名言? が、今でも頭の片隅に残っています。

 

 

 

※追伸

 

ブログ公開後、キンコーから「俺たちの鉄砲は3割だったろ!」と指摘が入りました。

「ソ●プキング」と言われた絶倫キンコーの記憶力には脱帽です(笑)

 

 

ヤマジュン