昔の多摩川競艇には、伝説のオバケモーターがよく出現しました

 

 

昨日のブログで、『勝負レースは、こちらから探し求めるものではなく、向こうからやってくるもの』と書きました。

 

展示航走を見続け、「ここが勝負だ!」とひらめく瞬間を忍耐強く待つ、という意味です。

 

出走表やモーター機歴という、表面(おもてづら)だけを見て、こちらから勝手に勝負レースと決めつけて舟券を買うようでは、「その他大勢」と変わりません。

 

「その他大勢」⇒「回収率75%前後」⇒「勝ち組には入れない」という図式は明らかです。

 

単発勝負ならともかく、長いスパンで考えれば、「その他大勢」ではない、モーター競技という本質にかなった予想=エンジンパワー直視の予想、を身に付けなければなりません。

 

もちろん、スタート遅れや展開、水面状況など、エンジンパワーだけでは計れない不測の事態も、少なからず起こるのは、競艇がギャンブルであるがゆえの「想定内」です。

 

私が思うに、「不測の事態」も1~2割の確率で起こりますが、逆に言えば、8~9割は「エンジンパワー」で決まるのが、競艇というギャンブルです。

 

少しでも回収率を上げたいなら、あわよくば回収率100%超え=勝ち組に名を連ねたいなら、「エンジンパワーを見極めた予想」こそが本筋、理にかなったものであることが、お分かりいただけるでしょうか。

 

 

 

もっとも、ひとくちに「エンジンパワーを見極めろ!」と言っても、その見極める目を養うのは、簡単ではありません。

 

展示航走で「●号艇が良く見えた!」と思っていても、レース本番では全く精彩を欠いたり、「これは出てない、消しだ!」と見切った艇が、本番で勢いよく、まくっていくこともあるでしょう。

 

そんな苦い経験を重ねると、「エンジンパワーなんかアテにならない」、「パワー通りに決まらないから、展示なんか見なくていい」という、残念な発想に至ってしまう方も出るのですが、そこは忍耐力、「急がば回れ」です。

 

モーター競技の本質、確率論から言っても、エンジンパワー決着が圧倒的に多いのが競艇ですから、忍耐強く、エンジンパワーを見極める目を日々、磨いていって欲しいと願っています。

 

 

 

さて、つまらない屁理屈は終いにして、ここからは、肝心な「エンジンパワーの見極め方」に言及していきたいと思います。

 

初歩的な話しですが、競艇の選手は前検日(レース初日の前日)に、各レース場に備えられたプロペラ付きのモーターとボートを「抽選」で割り当てられます。

 

かつては、選手自身が自費購入したプロペラを調整し、レース場に持ち込んでいた時代(持ちペラ制)もありましたが、今は割り当てられたモーターに付いているプロペラを、選手がピットで微調整する形式になっています。

 

選手にとって、その節の明暗を分ける「モーター」ですが、同じ規格で作られているにもかかわらず、素性(性能)の良し悪しが顕著に出るから不思議です。

 

モーター自体にパワー差があるのはもちろん、伸び型、出足型など、各モーターごとに特徴も違うので、奥が深いですね。

 

 

さて、選手は前検の足合わせやスタート練習でモーターの素性を肌で感じ、自分の好みの足に仕上がるよう、整備、プロペラ調整と、忙しくピットを駆け回るのです。

 

簡単に言えば、イン水域が好きな選手なら「出足」重視、アウト水域からまくっていく選手なら「伸び」重視の仕上げを目指します。もちろん、「乗りやすさ」は誰もが求めるポイントですが。

 

そして前検の感触を本番のレースで確かめ、その節の調整の方向性を決めていくことになります。

 

「素性がいいし、乗りやすいので、基本的にこのままで」

「どうやっても出足がつかないので、今節は伸び重視で」

「とにかく乗りづらいので、何とかしたい」

「負ける人がいない。間違いなくトップクラス」

「今節は(エンジンが重症で)終わった~。一本でも舟券に絡んで帰りたい」

……

 

こうして、その節の方向性を頭に描き、選手はピットでの調整と水面での感触チェックを繰り返しつつ、レース本番に臨むのです。

 

レース直前までの各選手の調整が、功を奏すか、裏目に出るか。それを最終判断できる場が、レース直前に行われる展示航走(スタート展示⇒周回展示)。選手がピットで試行錯誤しながら調整した結果が如実に表れるのですから、見逃せません。

 

本気で舟券を楽しみたいなら、たとえ面倒でも、よく分からなくても、展示航走を見続け、6艇の気配の変動、パワー差を感じ取る修行を続けることが不可欠です。

 

 

かつて展示航走がなかった時代は、コース取りから自分で読み(これが競艇の魅力でもあったのですが…)、レースリプレイとモーター機歴、選手能力だけを頼りに、それこそ「丁半博打」的に舟券を買っていました。

 

一方、今は展示航走も、レースリプレイも、何度でもネットでチェックできる環境が整っている時代。それをフル活用しない手はないでしょう。

 

コース取りでも、展示と本番で大きく入れ替わるケースは稀(まれ)で、買いやすさという点では、昔の比ではありません。

 

 

旧態依然に、「丁半博打」的に舟券を買うか、エンジンパワーを見極め、「理論的」「確率論的」に舟券を買うか。回収率の視点で見れば、その選択は言わずもがな、です。

 

またしても、屁理屈が長くなってしまったので、"実践編"でもある、展示航走の見方は、次回にさせていただきます。

 

 

 

余談ですが、昭和~平成初期の頃は、今の"超抜"モーターをはるかに超える、"オバケ"モーターと呼ばれる、別格のパワー機が、結構頻繁に出現しました。

 

今朝、ギャンブル仲間のキンコーから届いた、「多摩川の小畑はハンパなかったな」というメールで思い出したのですが、私が学生時代だった昭和末期、多摩川競艇で小畑建策さん(引退)が乗った調布号? (当時の多摩川競艇はモーターに駅名が付いていた)は、まさに"オバケ"でした。

 

とにかく、スリットで1艇身近く遅れても、スリット後にぐいぐいと1艇身前に出てしまうのですから、他の選手は全くレースになりません。

 

スリット同体で入れば、2艇身以上は突き抜けての、超、超、楽勝まくり。その節は、バイト代と奨学金を総動員して、小畑の頭勝負で順当に手持ちを増やしていったものです。

 

ただ、いぶし銀の小畑建策さん(まくりが豪快な、好きな選手でした)が、一度だけレースで失敗し、軍資金が即「破産」となった悪夢も記憶に残っていますが……

 

 

ギャンブルも人生も一寸先は闇─ 天国と地獄は紙一重─ だから面白いんですけど(笑)

 

 

ヤマジュン