もう10年以上前の話ですが、

カナダで育った日本人の友人との会話で

印象に残ったセリフがあります。

 

ご両親が日本から移民された1世で

自身も日本人との付き合いが多い彼。

日本とカナダの文化の違いを

こう言いました。

 

「日本人って最初から尊敬を重視するけど

こっちって、尊敬は 『勝ち取るもの』 だから」

 

こっち、つまりは欧米の考え方です。

尊敬とは、自動的についてくるものではなく

自らの行動をもって、自分の力でつかむもの。

なるほどね、と思いました。

 

 

わたしは、日本の伝統である和を尊ぶこころ

そこから生まれる尊敬と尊重は

素晴らしいものだと思います。

 

一方で、尊重が「当然」とされるがために

相手から尊重が感じられないと

それを失礼、なっていない、と反応しがちです。

 

しかし、尊重、尊敬とは「勝ち取るもの」だと考えてみると

何事も自分次第、というふうに思えませんか。

 

相手が自分のことを尊重してくれないと感じるなら、

それは相手が失礼なのか、

それとも自分が

相手の尊重に足る存在になっていないからなのか。

 

どちらの文化も経験しているだけに、

これはバランスの問題だとは思います。

 

あまりにも尊重がなさすぎると、

平気で人種差別をするなどの

極端な態度になってしまいかねません。

 

一方、あまりにも「始めに尊重ありき」と考えると

相手が自分と同じように尊重しないことに

苛立ちや怒りを覚えるようになります。

 

日本人が海外旅行をしてサービスが悪い、というのは

この「尊重されて当然」が根底にあるように感じます。

逆に言えば、だからこそ

日本の「おもてなしのこころ」がそれだけ特別ということ。

外国人には、大げさでなく想像を絶する世界だったりします。

 

国際化がますます進む現代。

日本人であることの強みを活かして

これからをたくましく生きていきたいですね。

 

そうして、世界の尊重を勝ち取りましょう。