笭菁の都市伝説シリーズ12作目『如月車站』を読みました。
シリーズ1の最終巻です。
「如月車站」は、日本発の都市伝説「きさらぎ駅」を基にした作品。
数ある都市伝説の中でも、かなり不気味度が高い素敵伝説です
あらすじ
主人公、格闘技チャンピオンの美少女、溤千静。
ある日、ボディガードをまいて電車に飛び乗ると、いつもと違う風景が。
たどりついた駅は、聞いたことがないなぜか日本名の「きさらぎ駅」でした。
「きさらぎ駅」そう、都市伝説サークルの彼女は当然それを知っていました。
駅を出ると、伝説通り親切な人が村まで車で送ろうと言ってきたところを、車を奪って自らの運転で村へ。
サークルメンバーは、千静との連絡が途絶えたところで、すぐに「きさらぎ駅」へ向かいます。
サークル長の夏天は都市伝説を引き寄せる力を持っており、彼らは難なく村までたどり着くことができたのです。
村は、かつてきさらぎ駅に迷い込んだ人たちで構成されており、独自のルールに沿って暮らしていました。
新入りが村の食べ物を摂取すると、本来の世界へ戻る気持ちが消えてしまい、完全に村人となってしまう法則。
悍ましい事に、ある選ばれた人は何年もかけて太らされ、食肉として村人に食べられる運命にありました。
都市伝説メンバー達は、村から逃げるためにいつものように大太刀廻りをして逃走を図りますが・・・
きさらぎ駅とは
2004年に、2ちゃんねるのオカルト版から生まれた都市伝説です。
はすみ(葉純)という女性が、「電車にのっているのですが様子がおかしい」と問いかけのスレッドを作ったのがはじまり。
「きさらぎ駅」についた彼女に、ネット民がいろいろ書き込んでいきます。
その中の「きさらぎ駅」を知っていると思われる人のアドバイスに沿って、駅を出てトンネルに入り、親切な人に車に乗せてもらうまで、というところで投稿が途絶えた、というもの。
その後も、次々と「きさらぎ駅」に関するスレッドが立ち、今現在も進行中だと思われます。
関連作品
小説、ドラマ、映画、アニメ、いろいろな媒体で作品が作られています。
私が観たのは、オムニバス形式の作品。
「2ちゃんねるの呪い VOL5」
この中の「きさらぎ駅」は、トンネルを抜けたら神社があり、人がいる気配がしたので助けを求めにいくと、なんと彼らは人間を食べていたという状況。通りかかりの車にのせてもらったものの、その人は彼女を「エサ」として捕獲したのだった!という内容。カニバリズム系の落ちでした。
映画「きさらぎ駅」
去年公開された映画。
まだ未見ですが、その筋(笑)の皆様の間では評判高い作品です。
Amazonプライムビデオで無料配信されたら観なくては!
眉村卓「ぬばたまの…」
これを読んで、すぐ浮かんだのは眉村卓の「ぬばたまの…」という小説です。
主人公が執筆の合間の気分転換に遊園地のお化け屋敷に入ったら停電が起き、なぜか異世界へ行ってしまう話。
そこで奇妙な江戸時代のような村人に出会ったり、人肉を求める集団に追いかけられたりしつつ、会社を興し生活していくというストーリー。ラストは違いますが、共通項が多く、もしかしたら笭菁さんはこの小説を読んだのかもしれないなと。
感想
今回の話は、シリーズ12作の中で最も印象に残る作品でした。
ストーリーの骨格がしっかりとしているのもあるし、ラストの巻というだけあって話の終点が見事です。
都市伝説シリーズはかなりグロいシーンが多く、正直いってやりすぎでは?という作品もありましたが、今回はグロさだけを強調してくることはなく、一般的に見てもOKラインでした。
台湾版で映像化しても楽しめると思います。
シリーズ2では、主人公たちが卒業して代替わりするようなので、また楽しみ。
これまでの主要メンバーたちもOBとして都市伝説サークルに顔を出したりするようです。
私的な笭菁の都市伝説シリーズ1のベスト3はこれだ!
第1位 『如月車站』 …異世界へようこそ
第2位 『聖誕老人』 …悪い子はサンタクロースに成敗されちゃうよ!
第3位 『試衣間的暗門』 …更衣室には気をつけよう。
シリーズ2の第1作は、これまた日本発の超有名都市伝説「トイレの花子さん」。
どんな展開になるのでしょうか。