ねずみのチュー太郎さん主催の『中国語書籍を読もう会』にZOOM参加しました。
今回は課題本『穆斯林的葬礼』(霍达)を読んでそれぞれの見解を発表する形です。
この本を読むのは2回目。1回目の時のブログはこちら。
今回は発表者が4名と少なめでしたが、切り口がそれぞれ全く違っていたので、すごく興味深く、また目から鱗が落ちるような見解などもあって楽しかったです。
大阪でリアルに参加されていた方たちは、午前中に同小説の映画上映も鑑賞されていたので、そちらの感想も相まって話が弾みました。
私は、ねずみのチュー太郎さんから「小説に登場する霊的なものについて」というお題をいただき(なぜ?なぜなの?)、恋愛小説と言われるこの小説の「霊的なもの」について発表することに。
確かに幽霊っぽい声は出てきたけど、どうしたら・・・💦
当日の午前中まであたふたしながら「幽霊幽霊・・」とうわごとのようにつぶやきつつまとめを。
↓ここからネタバレがありますので、これから読む方はお気をつけ下さい。
霊的な箇所は2か所
①玉魔と言われる「玉」の収集家にして孤独なおじいさんの声が夜半に聞こえる。(第1章、第7章)
声を聴いた人は、玉魔亡き後にその家を買った警察の捜査隊長と、その後、その家を買い取った主人公韓子奇。
②韓子奇がその声を聴いた直後に、西北の空から流れ星が庭に落ちてくる。
手を伸ばすも地面にもぐったかのように消えてしまう。(第7章)
怪しい声に言い返す韓子奇
韓子奇は、「うるせー、くそじじい!」と言わんばかりに言い返す。
その後、その声は聞こえなくなるが、はからずも言い返した通りの人生を送ることになる。
流れ星の意味を深堀りしてみた
1.流れ星が落ちた直後に、長男「天星」が産まれた。
長男誕生の象徴としての出来事?だと面白くない~。
2.韓子奇の人生に「玉」という悪魔が降臨した!
(理由)
韓子奇が初めて「玉」のお椀を見た時に、天から飛んできた精霊のようだ!と感じたこと
流れ星は庭に落ちて輝いていたけれど、韓子奇が手を伸ばすと消えてしまった。
収集家は「玉」の永遠の持ち主にはなれないこと(byハンター)を示している。
易経の八卦では「西北」は「父」を表す。ここでの父は韓子奇。
乱暴にまとめます
オカルト系ホラー映画の定番、いわれもなく誰かに悪魔が憑りついてしまうように、韓子奇も巡礼の途中に立ち寄った梁家の玉に憑りつかれてしまった。
人生の一番大切なものは「玉」であると信じ込まされてしまい、他の何を犠牲にしても玉を優先する。
悪魔に憑りつかれた魔王収集家の誕生である。
そして、最後には全てを失い孤独に死んでいくのである。
玉魔の老人もそう、そして韓子奇も。
↓ひどいあらすじ
というお話です。(嘘です、全然違います)
タイトル「ムスリムの葬礼」について
最後はちょっと真面目に。
どうしてこのタイトルをつけたのだろう?と読んだときに思ったんです。
確かに葬礼のシーンは出てくるけど、ちょっとタイトルにするには弱い気がして。
私の見解では、韓子奇の死によって、この家に代々伝わってきた伝統的なムスリムの形式が変わったことを示しているのでは?と。
時代の変化と共に、少しずつムスリム社会の在り方も変わり、新しい要素を含んだ形式に移っていく事を「葬礼」という言葉で表したのかもしれないな、と。
事務局の皆様、開催者のチュー太郎様、参加された皆様、ありがとうございました。
同じ小説を2度読むことはなかなかありませんでしたが、今回このような機会をいただき、更に深く小説を読み込むことができ、良い経験になりました。