梅雨明けの本日、ものすごい日差しの中「台湾カルチャーミーティング『台湾妖怪奇譚』に行ってきました。

場所は、何度か行ったことのある虎ノ門台北駐日経済文化代表処台湾文化センターです。

 

ゲストは何敬堯さん。

彼の経歴はちょっと面白くて、詩人として制作活動をしていた20歳の時に、京極夏彦の『巷説百物語』に出会い、妖怪の道(笑)へと進んだそうなんです。

柳田国男の著作にも非常に影響を受けたそう。

その後は妖怪の出てくるミステリー、小説、図鑑、ゲーム等々幅広い妖怪の世界へ!

 

この本は、台湾の妖怪図鑑です。

これは、何氏が10年にわたり収集した台湾の妖怪の資料で、それを出版したとのこと。

 

今日の話の中でびっくりしたのは、台湾には今まで妖怪というカテゴリが存在しなかったということ!

妖怪=低俗、忌避すべきものであり、口にするのを避けるような雰囲気があったそう。

また、国民党支配の時期は、口承で伝わってきたその手の話は禁止されていたのも原因に。

最近になって、妖怪という概念が用いられるようになったとのことです。

そして、日本と違う点はその妖怪の概念には、いわゆる妖怪だけではなく、幽霊、鬼、こっくりさんの霊のようなものまですべて入ること。

これはちょっと日本人だとわかりにくいかも。

 

台湾の妖怪が何人(?)か紹介されました。

 

おばけくん椅子姐(いやこ)・・・台湾版こっくりさん。参加者は女子限定。椅子の上に霊が降臨し椅子の前に置いた水を入れたバケツの動きで将来を占ってくれる。禍々しさはなさそう。

 

おばけくん虎姑婆・・・七匹のこやぎにちょっと似てる。留守番の姉妹のところに虎の顔をした婆がやってくる。家に入れてしまい宿泊するのだけど、夜中に虎婆がポリポリ何かを食べているので姉が「何食べてるの?」と尋ねると「落花生だよ」と。「ちょうだい」と言って掌の中の物を見るとそれは妹の指だった。姉は「私を食べるのなら揚げた方がおいしいよ」といい鍋に油を入れ煮えたぎらせる。隙を見て虎婆をその中に突き飛ばし殺す。

 

おばけくん林投姐・・・夫に騙されて財産をとられた上に、夫は中国に帰ってしまう。女は子供2人と食べる物がなく上の子供は飢え死にする。どうにもならず、林投樹の下で下の子を絞め殺し自分はその木で首を吊る。以来女の幽霊が復讐のために現れるという。この話はどんどん想像が広がり色々な尾ひれがつき、映画にまでなった。

また、この林投姐の話は男尊女卑の風潮の中、女性が正義を主張するのに妖怪になぞらえて語るのがちょうどよかったとか。

 

あ、あとお正月のランプ猿の話しもあったけど怖くないから割愛(笑)

やっぱり日本の妖怪のカテゴリとは違うよね。新耳袋みたいな感じ?

 

妖怪の他に「外方紙」の実物を見せていただきました。

これは、各妖怪に対応したお札のような物で、それを焼くことによって厄払いや除霊をするというものです。

ただ悪霊的な禍々しいものだけではなくて、妊婦にとりつく悪者を祓って安産を願うものなども。

絵柄が妙にかわいらしくておおらかで素敵。

何氏は現代版のこのカードのゲームを作りたいって!楽しみです。

 

台湾では2014年頃から妖怪ブームになっているそうです!

(すみません、ぼけーっとしててどうして急にブームになったのか今ひとつわからなかった・・検索したら「ゲゲゲの女房」のヒットもブームの要因みたい)

 

面白いと思ったのは、何氏の小説がゲームへと展開したこと。

台湾では小説がメディア化することはほとんどないので珍しいみたいですよ。

ゲームといっても、不気味なホラー的なものではなく、いわゆる萌え系アニメで妖怪たちが擬人化してかわいい女の子になってるもの。

少女姿、半妖怪姿、妖怪姿、と3つに切り替わってなんと歌まで歌い、ライブも開くという!!!

よくわからないけどかなり面白そうでした。ぐんぐん人気が出てるみたいです。

 

興味深い話で、時間があっという間に過ぎてしまいました。

質問コーナーで「冥婚」の話しが出たのもワクワクしたなーー♪

少し前に映画公開されたばかりですもんね。

 

あっ、少し話がそれてきた・・・

 

これから台湾の妖怪を注目していこうと思います。

 

今日の通訳をされた橋本佳奈さん、美しい日本語ですごく聞きやすかったです。

そしておなじみ翻訳家の天野健太郎さんの絶妙なトーク。毎回笑える・・

中国語の勉強にもなりました。

また機会があったらカルチャーミーティング参加しようと思います。とてもおすすめです!