それから私はどうやって過ごしたのか記憶がない。
ただ、後から、彼の親の名前で私の口座に中絶費用が振り込まれていて
兄が彼に言ったんだと知った。
たくさんの人に迷惑をかけて、また私は自分を責めた。
私の人生はどこからおかしくなったんだろうか
そう考えても答えは出ず
これからどうやって生きて行けばいいのかも分からずにいた。
現実逃避も兼ねて、1人で旅行に行った。
私は、傷つきやすく決して強い人間ではなかったけど
何故か切り替えるのも早かった気がする。
だからまた同じ過ちを繰り返す。
とことん悲しんだ後、旅行から帰ったら何事もなかったように過ごした。
心は傷ついていたのかも知れないけど
自業自得だという想いはとても強かった。
その時から私は自分を守る為に、低用量ピルを飲み始めた。
安定剤をたくさん飲んでいた私は、どちらにしても妊娠には向かないと思ったから
二度と同じ苦しみを味合わない為に。
失った命の為に飲まなければいけないとは、その時は思えなかった。
自分1人支える事さえできずにいたから、失った命よりも、傷ついた自分を守ることで精一杯だった。
あの時、私は21歳だったけど
まだまだ大人になれずにいた。