仕事を辞めた私は、実家には帰らずアルバイトを転々とした。
どこか自暴自棄のような、そんな状態だったかも知れない。
1人でフラフラと飲みに行って、そこで出会った人たちと話す。
そんな、適当な生活をしていた。
そんな中で、私はまた新しく彼氏ができた。
そんなに大好きだったか分からないけど、優しくて良い人だった。
その人と付き合いながらバイトを続けて、
その頃から、少しづつ私の様子はおかしくなっていった。
ある日、DVDを借りに歩いてお店まで行ってる途中で、
飲んでいたお酒の瓶を地面にポイッと投げて割った。
その破片を拾って、手首をサクッと切った。
今考えるととてつもなく恐ろしいけど、
その時の感情は、無だった。
悲しみもない。
苦しみもない。
ただ、私は私をまた傷つけてしまった。
手首を切った私は、あまりの出血の多さに我に返り、慌ててお店の店員さんに
「転んで怪我したので救急車を呼んでもらえますか?」
と頼んでいた。
自分で傷つけておきながら、事故にあったかのように振る舞う自分が恐ろしかった。
でも、これがあの時の私だった。
抜け出したくても抜け出せれない暗い暗い穴の中に足を滑らせたみたいだった。