著者: 筒井 康隆
タイトル: 笑犬樓の逆襲

 筒井康隆のエッセイは、ずっと以前(5年か10年前?)に読んだ事があり、昔とどう変わったか見ようとして、書架を探したが見つからない。ただ、記憶では、筒井康隆なりに社会を批判し、それを小説にしているような事を書いていたような気がする。そういう意味では昨年末に出したこのエッセイも同じであるが、断筆してからの芸能生活とのつきあい、断筆をやめてから作家と芸能人の二足わらじ等を知る事ができて良かったと思う。

 僕は会社ではボランティアとして社内報(小学校の壁新聞に毛の生えたようなもの)の制作に携わっているが、会社という社会の中では、言論の自由はない。会社批判はもちろん、会社にとってマイナスになる事は絶対に書けないし載せられない。発行前の検閲も厳しい。また、面白くない会社行事も面白そうに書かねばならない。

 「笑犬樓の逆襲」では、政治家であろうと作家であろうと平気で個人名をあげて批判している。これは日本という社会では通用しても会社という社会ではあり得ないと1人納得。