著者: 筒井 康隆
タイトル: 残像に口紅を

 世界から、言葉が順番消えていく。まず、「あ」が消え、「ぱ」「せ」「ぬ」「ふ」・・・・と順番に消えていく。つまり、章が進むほど、使える言葉が減ってくるわけである。
 本の中ほどの26音が消えたところで、封がしてあり、「ここまでお読みなって読む気を失われたかたは、この封を切らずに、中央公論社までお手持ちください。この書籍の代金をお返しします。」とある。
 当然封を切り、読み続けた。
 
 残りの音が20音足らずになっても、ちゃんと小説は続いている。そして、最後は「ん」が残り、そしてすべて消えてしまう。
 小説の内容云々より、よくもこんな事を考え、限られた言葉だけで小説が続いていく事に驚きを覚えないわけはない。とっても感動。