出演者は
ロザリンド 板谷由夏
ウィルキンズ 神尾佑
ゴスリング 矢崎広
キャスパー 橋本淳
ワトソン 宮崎秋人
クリック 中村亀鶴
の6人だけの濃密な舞台。
相関図はこちら
セットの転換もなく、音楽などもとてもシンプルでした。
シンプルな中、次々と繰り広げられる会話劇。それも科学の専門用語が飛び交う…
みんな強くてその上研究の話をするので置いてけぼりになりそうなところ、ゴスリングが観客を劇中に連れて来てくれた感じでした。
ストーリーテラーとしてもゴスリングとしても間の良さと緩急ある演技で笑いを誘い舞台に惹きつける、さすがぴろし!
ゴスリングが物語の緩衝材になってて、ゴスリングいなかったら辛さが強く残ったかもしれません。
離婚間近な両親の間で板挟みになっている子ども…まさに!でした。
ロザリンドとウィルキンズの顔色を伺いなんとかしようとしてオロオロ…
だけどうまくいかなくてしょぼんとする、その様子が、まー可愛い

2人を交互に見る時の小動物感

お笑い部分はほぼゴスリングが担っていて、照明まで消されちゃう場面もあり(笑)矢崎広なだけに、ヒロシです的な(笑)
可愛さだけでなく、ゴスリングの柔らかい空気がどれだけ救いになったか。
勉強はできるけど科学者としては凡才で普通の感覚を持っていて気を使う優しい子。
仕事に没頭するロザリンドを気遣い、終わったら帰るというロザリンドに「嘘ですね」という優しい言い方。
放射線を浴びるロザリンドを心配し少し強めな口調に感じる優しさ。
人物関係図ではロザリンドはキャスパーに唯一心を許していると書いてあるけど、キャスパー以上にゴスリングに心を許しているんじゃないかなあ。自分の帽子を被せるのって結構心許してますよね?(このシーンのゴスリングの笑顔が超可愛い
)

凛とした板谷由夏さんのロザリンド。
堅物だけどチャーミングな神尾佑さんのウィルキンズ。
絶対ロザリンドは振り向かないのに健気に頑張ってるウィルキンズを応援したくなりました(笑)
東京公演のアフトクで、ぴろしが演ってみたい役はウィルキンズと言っていたらしい。ぴろしのウィルキンズ見たいな。出来る男なのに残念な感じ、似合う!
劇中、シェイクスピアの冬物語が出てきます。
ロザリンドが観劇しウィルキンズにどうだったか話すシーン。
これはラストでウィルキンズがロザリンドを想うシーンでも出てきます。
ハーマイオニーの役は誰が演っていたのか?覚えていない、きっとうまくなかったのでしょうというロザリンド。
ロザリンドはPHOTOGRAPH51を撮ったのにノーベル賞の受賞者にはならず、世間の人は誰も知らない科学者。
ハーマイオニー=ロザリンド…
観劇した時はそれに気付かず…もう、私のバカバカ
気付いた時、とても切なくなりました。
が、歴史に隠れてしまったロザリンドは決して悔しがっているのではなく、それはそういう事だったと受け入れています。
名誉が欲しくて研究していたのではなく、解明したいそれだけだったのだ。
世界は勝ったのです!と言う彼女はとても晴れやかでした。
あの時ああだったら…と周りの男性達は思っているけど、ロザリンドは同じ生き方しかできなかっただろうし、女性科学者として研究する人生を送れた事に後悔は無かったように感じました。
つらつら思いついた事を書いていると観劇している時には気付かなかった事があったり、パンフレットを読んでロザリンドやその時代背景、冬物語などいろいろ調べてから見たらもっと深く物語を味わえただろうと思います。
一度見て一週間くらい経ってからもう一度見たかった…
登場人物の誰に焦点を当てて見るのかでも受ける印象が違うだろうし、見る人の置かれている立場や精神状態でも感想が違うだろうな、と思う舞台でした。
映像化されないようなので残念…
劇場も大阪は梅田芸術劇場ドラマシティで、東京は東京芸術劇場シアターウエスト。キャパが3倍くらい違うのでシアターウエストでのPHOTOGRAPH51の世界も味わいたかったなー