
オリンピックがやってきた
猫とカラーテレビと卵焼き/堀川アサコ
<アマゾンより>
戦争の記憶が薄れてきた昭和39年の秋。
高度経済成長ただ中の日本で、
国民の期待と関心を一身に集め東京オリンピックが始まろうとしていた。
(中略)
どこの家庭でも、
開会式を見るためにブラウン管の前に家族全員が集まる。
永遠に続くと思っていた平凡で平和な日々、
でもいずれはすべて遠い記憶になってしまうのだ。
昭和の時代、日本中の家庭にあった笑いと切なさと涙。
人々の記憶に刻まれた
なつかしい時代のなつかしい日々を描いた「朝ドラ」的物語。
題名からなんとなく、
高度成長期のいきいき活劇を予想していたが
何となくリアルなちょっと切ない感じの物語だった。
物心ついたときは昭和50年代半ばで
まだ高度成長期の残り香はあったものの
すでに一億総中流社会に入りつつある頃だったので
何となく昭和30年代の本当の成長期に対する憧れがある。
でもある人が言っていたのだけれど
映画やドラマなどで高度成長期は活き活きと前向きで美しく描かれるが
実際にはそれと同じくらいの闇もあり
決してイケイケドンドンだけの明るい世界ではなかったと。
そういう意味では
この物語はとてもリアルな高度成長期なのかもしれない。
お話は面白かったけれどちょっと切ないので
気力が充実しているときに読んだ方が良かったかな。
2021/006