スポーツがビジネスになったのは今に始まったことではない。
今や、オリンピックを始めとしたスポーツの世界大会はかっこうのコンテンツだ。
莫大なお金が動く。
そんな状況下で、大会を開催する国が経済効果を求めるのは至極当たり前なことだ。
主催者が利益を求めることは決して悪いことではないとも思う。
「それでもスポーツはスポーツであって欲しい。」
今回のドイツワールドカップを見て、つくづくそう思った。
FIFAに毎年どのくらいお金が入るのか分からないが、相当額のお金が流れているはずだ。
優勝賞金約23億円、2位が約21億1600万円、3、4位が約20億2000万円。1次リーグ敗退の日本にさえ、約6億6000万円が分配される。
こんな数字を聞くと、この大会は私たちのものではなかったと気付かされる。
FIFAと参加チームのお金争奪戦。
サッカーは、私たちの手の届かないところで動いている。
そのことについて文句はないが、FIFAは美しいサッカーを提供する努力をもっとしていいのではないか。
スポーツの質を確保した上での、利益追求であって欲しい。
バランス。
莫大な放映権収入の影響からか、テレビ放送を考慮した日程が組まれる。選手のことなんて考えていない。
真昼のキックオフ。
暑い中、質の高いサッカーを求めるのは酷だ。
しかも、長丁場の大会。
昼間の試合をしたチームに残る疲労は相当なものだったろう。
疲労が蓄積すればけがの確率も増える。
真昼に試合をしたチームとしなかったチームが、平等な条件とは決して言えない。
それがサッカーと言われれば、それまでだけど。
確かに、サッカーは、肉体の強さや精神的強さ、そして組み合わせなどの運も必要だ。
ただ、大会がそういう部分に左右され過ぎている。
これは、上位進出チームに精神的に強いベテラン選手が多かったことからも分かる。
それだけを競うだけがサッカーではないし、全チーム平等な条件下で試合をさせてあげる努力をするのが主催者の務めではないのか。
私は卓越した技術や戦術を見たい。
心をすり減らす消耗戦を見たいのではない。
あと気になったのはボール。
今大会ほどロングシュートの決まった大会を見たことがない。
これはボールの影響が多分にある。
ボールを強く蹴ることができる選手のキックは、無回転でボールが飛んで行った。
狙ったシュートというより、打っちゃえって感じの類。
パワーサッカーだ。
ボールポゼッションがほとんどなくても、1発のロングシュートで勝ってしまう。
これはどうなんだろうか。
意図的に相手の守備を崩す美しいサッカーはいらないのか。
反発力が強くて、よく飛ぶボールだけが良いとは言わないのではないか。
よくシュートが入るようにするためのボール?
点がよく入れば観客も盛り上がるし、視聴率も取れるから?
FIFAは攻撃的サッカーがお好き?
オフサイドのルール変更にしても然り。
(FIFAが攻撃的なサッカーを目指せば目指すほど、守備的なチームが結果を出しているのが事実)
サッカーの理想はFIFAが定めるものなのか?
私が抱くサッカーの美学が現実とかけ離れていくようで、悲しい。
イイネ! コメント