■愛の仕事

2023年2月4日

（過去記事のアーカイヴより）

By Emma Johnston（Prog）

Lifesignsはニック・ベックスを中心としたトリオでスタートし、2013年にセルフタイトルのデビュー作をリリースした。

24時間体制でニュースが飛び交い、Twitterが世界中を駆け巡り、撮影された映像が数秒後にYouTubeにアップされる今日、秘密を守ることがこれほど難しい時代はない。

だからこそ、プログレ界で最もコネクションのある新グループのデビューアルバムが、6年間の準備期間の間、秘密にされてきただけでなく、ごく一部の特権階級だけが最近までバンドの存在を知っていたことが、いっそう驚きなのである。

プログレッシヴの炎を燃やし続けるためのセルフタイトルのレコードを準備しているライフサインズは、世界で最もゆったりとした一晩の成功の背後にいる可能性がある。

ヴォーカルとキーボード奏者のジョン・ヤングは、「僕たちはみんな他のプロジェクトを持っていた」と肩をすくめる。

しかし、それ以上のことがある。

3人は、スコーピオンズからスティーヴ・ハケット、ストローブズまで、80年代のポップ現象であるカジャグーグーやカッティング・クルーに至るまで、あらゆる人と仕事をしてきたのだ。

しかし、彼らの結成はスパイナル・タップよりもアーチャーズに近いもので、ヤングが故郷と呼ぶバッキンガムシャーの村に集まってきた。

自身のジョン・ヤング・バンドやジョン・アンダーソン（←コラボもしていました）のようなプログレの巨匠とのツアーがないときは、自宅でライフサインズへと発展したソロプロジェクトに取り組んでおり、時折、隣人であり「バンドの第4のメンバー」であるプロデューサーSteve Rispinにその話を持ちかけている。

「彼の家のドアを叩いて、"これどう思う？"って言うんだ」と彼は説明する。

やがて、この「愛の仕事」が単なるサイドプロジェクト以上のものになることが明らかになり、ヤングは、長年ライブ活動で知り合ったベーシストのニック・ベッグス（同じく地元在住）とドラマーのマーティン・'フロスティ'・ビードルにコンタクトを取った。

「ニックは当時、プログレシーンに積極的に参加していたわけではないんだ」とヤングは言う。

「でも、彼はずっとプログレが好きだったんだ。僕たちはお茶とケーキを食べに行き、いろいろな話をした。彼の活力と熱意は伝染していくんだ」

ベッグスのキャリアは、ボブ・ゲルドフのA&Rとして働いたり、副業として「Dangerous Potatoes」という児童書のシリーズを執筆し、イラストを描いて成功したりと、ポップスから始まったかもしれないが（「800人の小学生があなたの一言一言に注目してくれるなんて、まるですごいソロをやっているみたい」と笑顔で語る）、彼の心と魂はプログレにあるのだという。

近年、彼はスティーヴン・ウィルソンやスティーヴ・ハケットのお抱えベーシストとなり、今年のプログレ投票ではベーシスト部門で2位を獲得するまでに成長した。

「自分たちが買いたいと思うようなレコードを作りたかった」とベッグスは言う。

「僕らが好きな影響をすべて受けているんだ」

ベッグスによると、カッティング・クルーのフロスティがドラムスツールのオーディションを受けて「見事に合格」し、ラインナップは彼らの秘密のプロジェクトに取りかかる準備が整った。

イエス、ジェネシス、エマーソン・レイク＆パーマー、フォーカス、スティーヴ・ハケット。

キャメルの影響は、パトリック・モラーツやスタンリー・クラークやジャコ・パストリアスのようなフュージョン・プレイヤーの影もあり、そこにある。

それでいて、彼らの同業者がライフサインズに出演するために列をなしていたほど、オリジナリティが発揮されている。

スティーヴ・ハケット、テイス・ファン・レール、ジャッコ・ジャックジク、ロビン・ボールトがアルバムにカメオ出演している。

「ニックはジャッコといつも仲良しだし、彼はスティーヴと一緒に仕事をしているから、そこでつながりができたんだ」とヤングは説明する。

「僕はフォーカスのサポートをしたことがあるので、テイスのことはよく知っている。

最初のサポートは、バーミンガムのロビンだった。

サウンドチェックをしようと思って下を見たら、フォーカスがステージの前でご飯を食べていたんだ。

それで僕はサウンドチェックをしたんだけど、演奏中にテイスがテーブルの上に立ち上がって踊り始めたんだ。

それ以来、僕たちは固い友だちになった」

他のどのジャンルよりも、プログレシーンではアーティストが相互に関連したキャリアを持つことが普通であるように思われる。

だから、ライフサインズの少し漠然とした性質は、メンバーそれぞれの仕事の関係で、今のところ明確なツアー計画がないのだが、彼らにとっては、幅広い人々とのコラボレーションと同様に、自然なことのように思える。

「本当によくあることなんだ」とヤングは言う。

「何年か前にキャメルに入りかけたけど、当時自分はザ・スコーピオンズと一緒にやっていた。

最終的に5人がバンドが残ることになったけど、その5人はみんな素晴らしい実績を持っているんだ。

他の人と一緒に仕事をするのは楽しいし、彼らがもたらすものを楽しむことができる。

特に、ニックとフロスティのように明らかにスキルと能力を持った人ならね」

「それは、商売の問題でもあると思う」とベッグスは、言う。

「もし、僕がひとつのバンドで演奏しなければならないとしたら、生計を立てることはできないと思う。

プログレというジャンルの中では、人々は常に同じような考えの人たちと一緒に仕事をすることを求めている。

僕がプログレ・ミュージシャンとして注目されるようになったのは、ここ4、5年のことだ。

プログレは僕が一番好きな音楽だが、スティーヴ・ハケットと仕事をするまでは、誰も僕をプログレ・ミュージシャンとして見てはくれなかった。

それは、文化が発展していることと密接に関係していると思う。

プログレは新しい若い信奉者を獲得している。子供たちはイエスやジェネシスやラッシュを好きになるし、それは当然だ」

このジャンルに対するメインストリームの尊敬がここ数十年で最高潮に達している今、ライフサインズにとってその時が来たのかもしれない。

10年前なら、彼らはドリーム・シアターのようなヘヴィなバンドにかき消され、ニッチな存在になり、そこから抜け出すのは困難だっただろう。

今、この音楽のルーツに敬意を表することが奨励され、大切にされているのだ。

「素晴らしいことだ」とヤング。

「もし神々が用意したものがあるなら、それは素晴らしいことだ。誰かが僕らに、僕たちはプログレの新しい侵略の一部だと言ったんだ」

「最近、多くの音楽が使い捨てにされているから、聴くたびに違うものを作るのはいいことだと思う。

聴くたびに新しい発見があり、気分が高揚する瞬間があり、涙を誘う瞬間があり、笑顔になる瞬間がある。

最近のプログレは悲観的で陰鬱なものが多いと思うが、僕たちは必ずしもそのような考えで始めたわけではなく、やっていくうちに自分たちがかなりポジティブになれることが分かってきた。

それがリスナーに伝わればいいなと思っている」

バンドの将来的な希望や抱負については、これまでの歴史と同様、実に様々なものがある。

2013年はメンバー3人のスケジュールが他の仕事で埋まっており、そのために自分たちのツアーがなくなる可能性があるため、ジョン・ヤングのライフサインズに対する野望は控えめだが誠実なものである。

「ライブをやってみたいんだ」と彼は言う。

「僕たちはレフトフィールドから来たから、何も考えていないんだ。

このアルバム以前のプログ誌の号に戻ると、私たちが誰なのか誰も知らないでしょう。

6年後、僕たちは突然どこからともなくやってきたのです」

「アメリカのある人に "有名になりたいのか？"と言われたことがある」と彼は続ける。

僕は「いいえ、ただ聴いてもらいたいだけだ」と答えた。

「そして、それは最近、多くの人が犯している間違いだと思う。

重要なのは、聞いてもらうこと、理解してもらうこと、そしてそれが何かを意味することだと思う」

しかし、彼は謙遜しているだけなのかもしれない。

ニック・ベッグスは、自身の音楽の水晶玉の中に、もっと野心的なものを見ている。

「スタジアム・バンドになりたいんだ」と彼は言う。

「レコードを大量に売って、ライブをやってほしいという声が大きくなって、ライブをやるために必要な労力を正当化できるようにしたい。

確かに、とても楽しいことだ」

そして、自分たちのために音楽を作る、自分たちが好きなものを作るという感覚は、明らかにバンド全体に感染している。

「このバンド名はとても気に入っているんだ。

どこかからやってくる小さな光のようなもの、人生のサインのようなもの、みんなが何となく抱いているもの」

出典：

Lifesigns in the beginning: the story of the band's debut albumLifesigns began life a a trio that featured Nick Beggs and released their self-titled debut in 2013

www.loudersound.com

■「プログレは新しい若い信奉者を獲得している。子供たちはイエスやジェネシスやラッシュを好きになるし、それは当然だ」って本当？って思いました（笑）

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