Will you marry me?

Will you marry me?

パンとお菓子を作ってる女の子とその子の好きな人とのおはなし

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わたしの作るものは大概は計量するからレシピも残るけど

彼は毎回適当だからまったく同じものには巡り会えない。

それはさておき、今回はいつもごはんを作ってくれる彼のため

意外と甘党な彼にお菓子をつくったので載せます!


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紅茶のパウンドケーキ!

カトルトール(四分立)のルセットに紅茶を混ぜただけの簡単なものだけれど

一応メモしておきます(・・。)ゞ


Pate a cake tea


beurre バター     100g

sucre さとう       100g

oeuf たまご      100g

farine 薄力粉      100g

tea アールグレイ    8g


・型にはクッキングペーパーを敷きこむか、

バターを塗ってから粉を振りかけて余分なものを落として冷蔵庫にいれておく

・オーブンの温度を170度に設定しておく

・粉とさとうはふるって、アールグレイはすり鉢ですりつぶしておく


バター(できれば無塩、なければ有塩でもそこまで問題なくおいしいと思う!)

を指でおせるくらいまでやわらかくして

ボウルに移してゴムべらでなめらかなクリーム状になるまで混ぜます。

(固かったら、コンロの直火から少し距離を離して数秒当ててあたためてもOK

たまにボウルの底がすごく熱くなるから注意してくださいまし)


さとう(粉糖がベスト、なければ上白糖でも、グラニュー糖は粒の大きいものは口当たりよくないかも)

をいれて、さとうの粒がなくなって白っぽくなるまで混ぜます。

パタパタ立てるようにして空気を含ませておくとこの後卵が分離せず混ざりやすいです!


といた卵を4~5回に分けて少しずついれて、

その都度つながるまで空気を含ませるように混ぜる。

最後の1回あたりは分離しちゃったら少しだけ粉を入れてつないでもOKです


粉とアールグレイをいれて、ゴムベラでさっくりと混ぜ合わせる。

粉気は残さないけれどあまり混ぜすぎないようにするのがポイント!

型に生地をいれて、平らになるように、台の上に型の底を水平に叩き付けて生地をならします。

(結構強めにやってしまってOKです)

平らになったらオーブンへGO!


170度で40分から50分ほど焼きます。

40分たったら一度出して、中央に竹串(わたしはないから爪楊枝)を指して

生地がついてこないか、ついてきた生地が焼けていればOKです。

まだなら5分刻みくらいで焼いて様子をみてください。


粗熱がとれたら型から外して、あればケーキクーラーに乗せて冷まします。

なければ適当な網とか、魚臭くなければ魚のグリルの網とか!


できあがり!!!


半分くらいを1cmくらいに切り出して、あとはわたしは冷凍庫にいれちゃいました(笑)

パウンドケーキはなかなか失敗しない簡単なお菓子だからぜひ作ってみてくださいまし!


このあと彼が珈琲を淹れてくれて、いっしょに食べました(●´ω`●)ゞ

安定のおいしさで安心しました。ほっ


「ラーメン屋でバイトしてたから炒飯は自信ある」

と前に言っていた彼。

ごはんと卵を先に混ぜないとパラパラにできないわたしは、

ぜひ作ってと懇願してました。

それが果たされたのは彼が飲んできた帰りでした。

少し飲んで帰ってきたようで、時刻は24時ちょっと前。

電車も乗り間違えたり終電逃したりしなかったのでほぼシラフな様子。

おなかすいた、と言って約束通り作り始めてくれました。

(飲んできた帰りにごはんを作る気になれる彼には脱帽です)


この時間にいっしょに食べるにはデブ活まっしぐら。

でもわたしもその日は仕事で昼食も夕食も食べられなかったから、

妥協して付き合っちゃった(・ω・)/

カニカマの炒飯と作ってくれようとしてコンビニでカニカマ買ってきてくれてたけど

それはサラダの具に。

キムチとベーコンとネギの炒飯に、コンソメで味付けしたネギと卵のスープ。

写真はないけどカニカマとトマトのレタスサラダ。

シーザードレッシングでおいしくいただきました…!

写真もどーん!


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たまごスープをきれいに仕上げるには、

卵を入れる前にとろみを少しつけるといいみたい。

それはわたしも知らなかったので新発見…!

炒飯もパラパラでおいしかった(●´ω`●)ゞ

「卵って溶かないんですね…!」

「だってめんどくさいし洗い物増えるし」

「それで炒めあがり変わる?」

「や、どっちでもいい、フライパンちゃんと熱くして卵いれてご飯いれてがんばればいけるはず」

「うう、がんばりが足りないのかもしれない……」

次回の炒飯はわたしがきっとつくります!パラパラに!してみせるのだ!




コンビニでお酒とおつまみを買って、家に着く。

テレビをつけて少し距離が空いたままお酒を飲みながらお話をして、肝心の話題は避けたまま。

少しまったりしてから、順番にシャワーを浴びて、ねむたくなってきて場所をベッドに移す。


隣で寝ていていい歳した男女が一切なにもしないわけもなくて。

今までもじゃれつくようないちゃいちゃはしていたけれど、今日も腕枕に甘えて抱きつく。

出勤前に添っても夜には少し伸びているひげをじょりじょり触りながら面白がる。

テレビはまだつけたまま。部屋の電気も明るいまま。

鼻と鼻とが触れ合う距離。

どちらともなくキスをして、ベッドからテレビのリモコンが落ちる音がした。

ふたりの吐息だけが部屋の中に響く。


「返事ちゃんとほしい、めんどくさいけど、好きだからあなたと曖昧なのはいや」

「……ほんとに、おれでいいの?」

「あなたじゃなきゃやだ」

「本気でいいなって思ってる、だから考えちゃうんだ。

この前もあそこで返事したらシたいだけみたいだって、だから嫌で。

ほんとに、本気だからこそ答えが出せない」

「おねがい、悩んでることぜんぶ話して?全部答えて潰してあげる」


至近距離で挑発するようににっこり笑う。

逃がしません、とばかりに詰め寄れば、ぽつりぽつりと話しだす。


「俺でいいの?」

「なにがそんなに気になるの?年齢差?」

「だって一回り近い」

「知ってるだろうけれどわたしあなたより年上と前付き合ってましたし、わたしはいい、あなたはいや?」

「全然嫌じゃないです」「じゃあ次」

「同じ職場だし最寄駅も近いから人の目を気にしなきゃいけないとか」

「それがいや?」

「別に俺はどうでも、バレたらバレたでしかたがないかなって」

「じゃあわたしもいいよ、そんなの、いっしょにいられないほうがいや、次」

「俺お金あんまりない」

「前のひとにはわたし全額奢ってましたし、それはもういやだけど、奢らなくてもいい、ワリカンで全然いい」

「それは俺がいや!でもまだ俺のことそんなに知らないでしょう?

そんなんで付き合っていいのかな、とか、きっと今はいいところしか見てないだけで、」

「わたしと付き合うの、そんなにいや?」

「違う、だから本気でいいなって思ってる、可愛いし一緒にいて本当に楽しいし癒されるし、でも」


ああ、だめだ、いやな予感ばかりあたる。

嫌われているわけじゃない。

でもいつもこうなる。

なんなら好かれていても、彼女にはしてもらえない。

口ではどう言ってもらえようが都合のいい女ってやつだ。

このまま続けていてもきっと彼の不安はぬぐいきれないのだろう。

だから数年のブランクがあって彼女がしばらくいなかったんだろうとも。

手離すくらいなら、正直このぬくもりが惜しい。

しばらくの間女の中じゃ誰よりそばをキープできるだろう。

それでも、このままずるずると関係を続けるのは……トラウマだ。



「……わたしに、3か月もらえません?」

「へ?」

「3か月わたしと付き合ってくださいい」

「……そんなんでいいの?」

「そんなんでいいですよ、その間にあなたじゃなきゃわたしはだめっていやでもわからせてあげる」



間なんておそらく数秒だったろう。

でもわたしには何より怖くて長かった。

これでもしぶられたら、もうどうしていいかわからない。

曖昧なままなら最後まではシない、イチャつくのも終わり、家にもいれない。

その三原則は守らなきゃ、まただめになる。

どきどき心臓が鳴り止まない、怖くて震える、返事なんて促さなきゃよかった、聞かなきゃよかった。

どんなにかっこつけたって怖いものは怖くて、



「うん、わかった」

「……いい、の?あなたがわたしの彼氏って言っていいの?」

「うん」



もう、泣きそうだ。



「だいすき!!」

「よく、そんな恥ずかしげもなく、いえるよね!いつもキュンとするようなことばっか!」

「だって本音だもん!」



そうして地獄から天国へ。

連絡先を交換して5日前後。

(出会ってからでもおそらく3か月も経っていない。)

これにて、なれそめのお話はおわり。

こうして空き巣犯に感謝しなくては距離が急激に距離が縮まることはなかっただろうふたりの恋愛が幕をあけました。


部屋におかれている男ものの秋物のアウター。

その他着替えと彼の部署のシフト。

それらと睨めっこしながら過ごした怒涛の二日間のあと、一日空いて次の日。

好きな芸能人よりのざわちんのメイク術を参考にして。

服もかわいいって言ってくれたのが、大人っぽいのよりも女の子らしい可愛いものだったから、

それに合わせて洋服をチョイス。

全身鏡と睨めっこ。

素敵な彼の隣を歩くから、いやでも気合いが入ってしまう。

考えさせて、の返事の日、最初の連絡先を聞いたときに取り付けた飲みに行く約束の日でした。


「待ち合わせ場所につきましたー(^○^)」

「あら、仕事終わったって連絡ないから寝てるかと思った、ごめんこれから向かう、20分待ってて」

「了解です!」


ええ確かに仕事終わりは眠たくて大概すぐに寝てますけども!

終わってから連絡しようか迷ったけれど、会うからいいかな、とサボった自分を呪いました。

そんなこんなで待ち合わせて合流。


「お疲れ様です!」

「おつかれ、って仕事じゃないんだから、、待たせてごめん、いこっか」

「はい!」


苦笑する彼と連れ立って行く予定だったお店へ。

隣を歩くことに慣れなくて、そしていつ返事が来るのかと緊張しつつ。

緊張のあまりわたしがここに行きたいと提案したくせに方向を思い切り間違えて、

スマホで検索してマップを開いて彼に丸投げしました。

(ただの方向音痴ともいいます)

駅から数分歩いてお店に到着。

思いの外おしゃれな雰囲気で、彼のすきなビールも海外ものが多く種類が豊富。


「なに飲みます?」

「ビール……結構いろいろあるね、コロナにしようかな」

「わたしもビールにする、」

「ビールも飲むんだ?」

「うん。ビールもすき、日本酒もすき、ウォッカもすき!ウィスキーと焼酎が苦手」

「あーじゃあ俺より強いね」

「そ、そこまでじゃないですよ……たぶん。あ、わたしハイネケンにします」


注文を頼んでくれてメニューを眺めつつ、なにを食べようか悩み悩む。

共通の話題が仕事なのでどうしても仕事の話になりつつ、おなかすいてる?好きなの頼みなね、と言われメニューと格闘。


「茄子の揚げ浸し食べたい!茄子すき?好き嫌いは?」

「すき、……っていうかたぶんなんでもすき、嫌いなものはないかな、きみは?」

「ネバネバだめ、納豆とかあまりすきじゃないの」

「うえええって言ってるのが想像つくね」

「ふふ、よく言われる、納豆とか目の前にしたら全力で戦ってそうって、」


くすくす笑っているとお通しのスープとお酒がやってくる。

コロナには瓶にライムが刺さっていて、ハイネケンはグラスつきで。

揚げ浸しに、クリームチーズの味噌漬け、自家製のささみのジャーキー。

わたしが一杯目をグラスに注いでいる間に、彼はライムを瓶の中に押し込む。


「「おつかれさまでーす」」


乾杯をしてぐっと、ハイネケンはあっさりしてるからグイグイ飲めてしまう。

喉も乾いていたのもあってグラス半分くらいを一口で。


「んーっ、おいしい」

「いい顔してる」

「ねえコロナ飲んでみたい、飲んだことないの」

「どーぞお飲み」

「……すっきり!ライム合いますね、めっちゃおいしい、ありがとう!」

「いーえ」


笑顔で返すもあまりに目が合いすぎるから整った顔を直視していられず、目をそらして逃げる。

けれど視線に耐えかねて目を戻せば、やっぱり照れくさくなる。

食べ方もそんなにきれいな自信もなくて、料理をうながされるもスープに口をつけるだけ。


「ごめんごめん、見過ぎ?」

「見過ぎ!」

「あんまり見ないようにするから、ほら、食べな?」

「いただきます!……おいしーい!」

「そりゃよかった」


一晩以上漬け込んでいるのかお出汁で真っ黒に染まった茄子がとてもおいしくて、顔がほころぶ。

味がしみてて噛んだ瞬間に出汁が染み出てたまらない。

クリームチーズの味噌漬けも、丸くカットされたチーズがグラスに入っていてとてもかわいい。

味ももちろんおいしくて、お酒がとっても進む。


「お酒、次なに頼む?おなじの?」

「うん!あなたはなにかいらない?」

「俺も同じでいいかな、料理はもういいの?おなかすいてるんでしょう」

「んー海老がおいしそう……エスカルゴバターってなーに?」

「にんにくとパセリとか香草が入ったバター、これおいしいよたぶん」

「さすがですね!じゃあ海老!あとアヒージョも食べたい、」

「どれにする?」

「海老……は頼んだから、、きのこ!」

「おーけー」


ジャーキーが噛みきれなくて、手でもなかなかちぎれなくてふたりで格闘。

おいしいけれど、繊維の方向に従ってもかなりの強敵。

返事のことなんて最早記憶の彼方、目の前のお料理とお酒に舌鼓をうつ。

海老もバターの香りが豊かでとってもおいしくて、アヒージョは味がとても濃厚で少し驚いた。

一緒にいる相手が素敵だからか、お店が素敵なのもあるけれど、どれもおいしくてしあわせ。

日本酒も一杯だけ頼んでふたりで飲んで、ほろ酔いでいい感じに。


彼がお手洗いにいったあとわたしも席を立つ。

手を洗い鏡を見れば、少しだけ頬が赤い。

日本酒は好きだけどすぐに赤くなってしまうからよくない。

冷たい手で頬を熱を冷まして、一息。

お酒のせいか頬が緩んで口角があがったまま。違うな、きっと一緒にいられるのがうれしいからだ。

この数日でこんなに距離が縮まるなんでいまだに夢のよう。

頬を抓った痛みに安心する。空き巣犯に感謝さえしたくなる。


「おかえり、さて出ようか、食い逃げしちゃお」

「それはだめ、だけど、え」


手を引かれるままにコートを引っ張ってお店を出る。

接客してくれた店員さんと目があったから、ごちそうさまでした!と言い残して。



「おごってくれてありがとう、ごちそうさまでした!」

「わざわざいいのに、いいよ、これくらい」

「こんなにさらっと払ってもらったのはじめて、ドラマみたい!」

「……こんな子前にして、前の男に説教してこようか俺」

「や、だいじょうぶです!」

「そう、あ、寒くない?」

「ちょっとだけ」

「コート着る?鞄もってるよ」

「平気、でも着るからちょっと待ってね……ん!」

「うん」


繋いでた手をもう一度差し出して繋いでもらう。

ふふふ、と嬉しそうに笑えばまた視線が痛い。


「ほんとに俺でいいの?」

「何回でも言ってあげます、あなたじゃなきゃやだ」

「よくそうさらっと……このあとどうする?ラーメンでも食べる?」

「おなかいっぱい!」

「だろうね、俺もおなかいっぱい、じゃあ――駅まで帰ろうか?」

「うち来てくれるの?」

「なんのために荷物おいたと思って」

「そっか、」


また来てくれるのかなってなんとなく察してはいたけれど、改めて聞くとうれしい。

まだ付き合ってもいない、なんとなくフラれてしまいそうな気配をひしひしと感じていたから。

気に入られている自信はあった。

こんなわたしでも可愛いと思ってくれているのも、これだけ可愛がってもらっていればわかる。

それでも、なんとなく、付き合えないような。


電車にふたりで並んで座る。

混んでいるわけじゃないけれど、ぴったり寄り添って手は絡めたまま。

ふたりとも寝たらまずいね、キスしそうな距離感で笑いあう。

こんなに近くても、なんだか少し、まだ遠く感じる。




家について、ふたりでおかえりなさいとじゃれあってからお料理開始。

作ってくれるからとリビングで待ってるのも心もとなくて、キッチンの前にはりついて手伝うことに。


「チキンライス用にごはんとりあえず炊きます?」

「んー俺ぜんぶ入れて炊くから、先にお肉炒める」

「炊くの?!」

「うん」

「じゃあお米研いでおく!」


鶏肉も筋きって、余る皮は切り落として、余分な脂肪もそいで、一口大に切って炒めて。

玉ねぎをみじん切りにして、人参も、トマトも賽の目に切って。


「ベーコンある?」

「んーない」

「そっかならいーや」

「塩どこー」

「どーぞ、あと胡椒これです、お米のお水は少な目?」

「ケチャップの分引いておいて」

「ケチャップどれくらい?」

「適当」

「おおう、一番にがてなやつ……あ、ごめんなさい、ケチャップたりないかも」

「うん、それは確かに足りない」


ふ、と笑った彼にちょっとだけときめいたり、でもごめんなさいって言えばさらに笑われて。


「買ってくる!」

「ひとりじゃ危ないでしょう、俺行くよ」

「う」

「じゃあ一緒に行く?」

「いく!」


元気よく返せばまた表情が緩む。

仕事中は大概無表情で、からかってくれる時もあまり笑うところは見られない。

だからいまだけ独り占めできてるみたいでうれしくて、わたしまでにやけるのを噛みしめて、目の前のちょっと古ぼけたコンビニへ。

ベーコン、ケチャップ、切らしそうなラップを買い足してまた戻り、料理再開。


炒めた鶏肉、カットしたトマト、ケチャップ、お米とお水をいれて炊飯ボタンをぽちっと。

玉ねぎを炒めて人参も炒めて、買ってきたベーコンも小さく切って炒めて。

塩コショウして水をざーっといれてコンソメを振り入れて。


「計らなくて平気なんですね、さすが」

「だってめんどくさい」

「ふふふ、」


今日で知ったことたくさんあるなあ、なんてさっきから幸せ。

彼女がいないことも、ちゃんとした年齢も誕生日も、家族の話も、仕事の愚痴も。

将来のこととか、夢とか、性格だって案外めんどくさがりだったり、笑うとこんなに素敵なところとか。

昨日までの距離感が嘘みたいだ。


「ん、どうかしました?」


じい、と見られるのに耐えれなくて聞けば軽く首をふられる。


「ううん、なんでもない、それよりちゃんと炊飯スイッチ押した?」

「!押しましたよ!そこまでアホじゃない!……はず、ちょっと見てくる、」

「あと何分?」

「あと10分!」

「よしよし、あ、サラダのドレッシングなにかある?」

「シーザーありますよ」

「さすが、ちゃんとご飯作ってる形跡あるから偉い」


彼がトマトを切ってる間にレタスをちぎって盛り付ける。

スープもわいて、チキンライスが炊けて、バターを入れて混ぜて器に形を整えて盛り付ける。

その間に卵はあっさり彼がふわふわのオムレツを仕上げてチキンライスの上に乗せてくれた。



「めっちゃ!おいしそう!」

「見た目だけかもよ?」

「それはないはず、いただきます!……おいしーい!!」



うちの母のチキンライスよりおいしい。ぶっちゃけ。

炊けてから混ぜたバターの香りがまたなんともいえない。

そして卵がふわっとしながら半熟感も残っててたまらない。

嬉しそうに食べてればいい顔、と彼も嬉しそう。


ごはんを食べ終わって、お酒を出して、おつまみは家にあったチーズとピスタチオ。

テレビを見ながらなんともいえない距離を保ちつつお話しながらお酒をあおる。


「明日休みでしたっけ?」

「ううん、遅番」

「何時ごろ家出ます?」

「14時くらい?や、家に一回帰るから10時かな」


ああ、ほんとにずっと一緒にいてくれるんだ、とほっとしてテレビに向けていた目を彼に向ける。

正直、まだひとりは怖い。

鍵はしっかり閉めている。

さび付いた防犯シャッターは彼が機能するよう油をさして、わたしでも簡単におろせるようにしてくれたた。

別になにか自分の身にあったわけじゃない。

けれど、まだ、すこしだけ。



「ほんとに一緒にいてくれるんですね、ありがとうございます、すごく助かる」

「……俺なんかでいいなら、いくらでも好きにして」

「なんかじゃなくて、あなたがいいんですー」

「引く手あまただろうに」

「そっくりそのまま返しますよ」

「俺はないよ全然」

「うそつき、」


むくれれば笑われる。

だって知ってるもの、格好いいって噂になっていることも。

他部署の方に狙われていて、後輩たちを巻き込んで4人で宅飲みしたこと。

雑魚寝して手をつないで眠ったから、女のひとが本気になって少し大変になってること。


「ほかの女の子に頼まれれば誰にでもするんでしょう?」

「俺、イエスマンだけどそこまでお人よしじゃないよ、でもね、可愛い女の子に頼ってもらえてうれしくないわけないでしょ」

「可愛きゃ誰でもいーのね」

「そうじゃなくて、」


少し言葉に詰まるそのひとが、なんだか少しだけ可愛く思えて、もっと困らせたくなる。


「じゃあ付き合ってくれます?」

「へ……?え、俺でいいの?」

「だから、あなたがいいです」

「吊り橋とかでしょ、」

「こうなる前から気になってたから連絡先聞いたんです、好きって言われたら困る…?」

「……考えさせて、」

「うん、」

「ちがう、本気だから、考えさせて、」

「本気って、」

「可愛いし、いっしょにいて嫌なら来ないし、楽しいし、明るいし、かわいいし、「もうや、照れる」


詰め寄っていたから、いつの間にか距離が近づいていて、

じ、と逸らされない目に押し負けて、視線を逃がすも見られてる気がして耐えられなくなる。



「にがて、」

「見られるの?仕方ないでしょ、かわいいんだから」

「よってますよね、」

「あんまり飲んでないよ」

「……う、もう寝ましょう?今日も添い寝してくださいね、あ、付き合ってくれないならシないですからね」

「……がんばれおれのりせい」


そして仮眠30分のみで36時間以上起きていたわたしの長い2日間が終わりました。