私の古い友人に

スケベーコンという男がいる

アホみたいな声が特徴的な男だったが

それでもみなに一目置かれていたのは

スケベーコン

巨大な逸物を所有しているからであった

修学旅行先の浴場で

思春期の男子達が
一様に逸物を隠そうとする中

なかばのけぞった状態で
逸物をさらし
どうだとばかりに濡れたタイルの上をゆっくりと歩く彼を

我々同級生達は

羨望の眼差しで見つめていた



そんなスケベーコンも大人になり

巨根効果だろうか
立派な社会人となった

そんなある日

家に帰る道程において

彼は電車にのろうとホームを急いでいた


電車はまもなく発車しようとしていたが

巨大な逸物を持つスケベーコンからすれば

電車など
俺を待って当然というもの

乗ってやるからちょっと待てと

ほぼ閉まりかけたドアをこじ開けるように電車に乗ろうとした

しかし
いかに逸物が巨大であろうと

無理なものは無理

抵抗むなしく
ドアは閉まった


同時に

スケベーコンの悲鳴が

ホームに響いた


そう

彼はその自慢の逸物を
電車のドアに挟まれてしまったのだ



実に

博多駅から南福岡駅間を

彼は逸物を挟まれたまま引きずられ続けたのだ




彼は一命を取り留めたが

今でも逸物にはしっかりと

ドアに挟まれた跡が刻まれているという




みなさん



駆け込み乗車と

逸物自慢は


するもんじゃないぜ




そんな

お話




江口