三鷹市芸術文化センター 星のホールでiaku「粛々と運針」を観てきました。

この劇場では、これまでも気になる公演がたくさんあったのですが、「三鷹は遠いなぁ・・・」と敬遠していました。

しかし、横山さんの小説「わがままな選択」を読んだ時に舞台「粛々と運針」を原案にしていることを知って観たいと思っていた作品だったので今回はチケットを取りました。

 

三鷹も遠いのですが、三鷹駅から劇場までも少し距離があります。

初めて行く劇場なので早めに出かけたこともあるのですが、天気も良かったので街ブラしながら歩いて行ってみました。

三鷹駅って初めて降りたかもしれませんが、区画整備されていてわかりやすかったので方向音痴の私でも迷わず到着することが出来ました。

 

 

初めて訪れた星のホールは小劇場で、とても観やすかったです。

目線の舞台に大きな銀のリングが降りてきて、少し高いところに設けられた布で覆われた舞台。

下側では入院中の母親を心配しながらも今後の事について意見が食い違う兄弟と、子どもを持たないことを約束して結婚した夫婦の会話が交互に展開されていきます。

そして上側では彼らを見守るように会話を交わす二人の女性。

 

尊厳死を選ぶと言い出した母親と彼女に寄り添う男性の存在。

兄は治療して少しでも長生きして欲しいと考えているけれど、弟は何かあった時の現実的なことも考えておかないといけないと思っている。

病室にいた男性に対して不信感を抱く兄に対して、弟は母親の気持ちも大切にしてあげたいと思っている。

最初は母親への愛情が前面に出ている兄に共感して観ていたのですが、終盤で自分の想いをぶつける弟の言葉にうるっとしました。

 

一方の夫婦の会話は、妻から妊娠したかもしれないと伝えられた夫の戸惑いと意見の相違が明確となっていきます。

子供は持たないと決めていたはずなのに、いざ子供が出来たかもしれないと聞くと授かった命をなかったことにして良いのか、周りからも子供のことを言われているし年齢的にも最後の機会かもしれないと思う夫に対して、二人で暮らす新居を構えたばかりで仕事も順調な妻は同意できない。

 

二組の葛藤と会話がいつしか融合してひとつになり、お互いの気持ちや想いがクロスし結末へと向かいます。

上の舞台で布を縫いながら彼らを見つめる二人は、兄弟の母親と夫婦が授かった子供なのですが、そこはリアルとの境界線を越えた舞台ならではの演出(作品)なのではないかと思いましたし、二人が兄弟や夫婦には伝わらない自分の気持ちを語ることによって観客に伝わるものが確かにあったと思います。

おそらく正解はなく、選択の結果でしかないのだけれど、それぞれの選択が幸せな結果に繋がると良いなと思いました。

終演後の拍手は鳴り止まず、何度もカーテンコールに応じてくれた出演者のみなさん。

素敵な作品をありがとうございました。