イエメン人による(劇団名はマスラフ アルヤマン)イエメン人のための劇が、カイロ中心部の劇場で10日間に渡り行われた。

タイトルは、
『カイロのジンニー(جني في القاهرة)』


ちなみに、イスラームにおいて「ジン」という精霊(簡単に言うと日本のお化け?)が存在していると信じられているが、あくまでも目に見えない存在である。今回のタイトルにもなっているジンニーは、ジンの男性単数である。

簡単なストーリーは以下の通り。

イエメンでの長引く戦争のせいで、エジプトのカイロには沢山のイエメン人が逃げてきて、イエメンにいたジンニーも同様に逃げてきた。
しかし、そこで見たイエメン人は、(受け入れてくれたエジプトには感謝しつつも)退廃的な生活を送る人たちであった。酒を飲むようになった者、奇天烈な服装を着るようになった者、ゲイになった者、、、。またみんな同じイエメン人であるのに、やたらと出身地、部族、宗派、支持している政党などで細かく分類わけをするようになっていた。

そんな状況のもと、ジンニーは3つだけ願いが叶えられるという(アラジンと魔法のランプと同じ展開)。
人々は順番に願いを挙げていく。

願い①エジプトで勉学を続けているが、奨学金がでなくて困っているから助けてほしい。

答え①イエメンで戦争が終わらないから無理。

願い②欧米へ移住したいが、VISAが全然おりないから助けてほしい。(イエメン人はいかなる国でもVISA取得が大変厳しい)

答え②イエメンで戦争が終わらないから無理。

そして、ついに最後の願いが、、、

願い③イエメンの戦争を終わらせてほしい。

答え③終わらせてあげよう!!

そして無事に戦争が終わり、イエメン人はみんな故郷へと帰っていく。
オチは、みんなが帰国したことにより、逆にジンニーは仕事をカイロで見つけるのである!
それもシムサール(سمسار)と言って、アパート等を紹介してコミッションをもらう仕事で、実際次から次へとイエメン人がカイロに来るから、この手の仕事をしてる人が結構いる。



役者は1,2人以外全員イエメン人で、ストーリー、構成、音響、演技力等予想以上にクオリティが高いものだった。またイエメン方言での劇だったので、理解できなかったが、笑いあり涙ありで実際に友達も泣いていた。

不定期で劇をやるそうなので、今後に期待。