亜也は、養護学校で寄宿生活を送ることになった。

そんな亜也の大きな助けになるのが電動車椅子だ。

歩ける場所は自分の足で歩く、と決めている亜也だったが、ひとりで自由に動くことが出来るのは彼女にとって大きな喜びだった。
一方、父親の瑞生は、亜也のことが心配で仕方ない。

潮香は、亜也が自分で決めたことなのだから笑って送り出してあげよう、と言って瑞生を励ました。
 あくる日、池内家では、小学校に入学する理加の入学祝いパーティーが行われた。

その席に半ば無理矢理、遥斗を連れてくる瑞生。

亜也と遥斗が会うのは、東高の終業式以来だった。

その席で、潮香は亜也にも入学祝を贈った。

それは携帯電話だった。

養護学校初日、亜也は、不安で押しつぶされそうだったが、努めてそれを表に出さないようにしていた。

亜也と潮香を出迎えたのは、担任のまどかだ。

まどかは、校内を案内すると、ボランティアでこの学校を手伝っている高野らを紹介した。
亜也が生活する部屋はふたり部屋だった。

ルームメイトは、亜也と同じ病気と闘っているひとつ年上の少女・明日美だ。

亜也は、養護学校で生活する明日美たちの意外な明るさに戸惑っていた。

そんな折、亜也の携帯電話に、遥斗から電話がかかってきた。

遥斗は、かつてのクラスメイトの近況を亜也に報告した。

それから2ヵ月後、潮香は、常南大学医学部付属病院を訪れ、亜也の担当医・水野に会う。

そこで水野は、亜也の検査結果があまり良くないことを潮香に告げた。

このまま病状が進むと、固形物の食事が難しくなるだけでなく、発声なども困難になっていくことが予測されるというのだ。

また、四肢の機能低下によって転倒が大きなケガにつながったり、ちょっとした風邪が合併症を引き起こしたりする可能性もあるのだという。

そのころ亜也は、懸命に歩く訓練を続けていた。

それを見たまどかは、生活のペース配分を考えるべきだと彼女にアドバイスする。

どこまでを自分でやって、どの程度の補助をしてもらうか、折り合いをつけることが大事なのだという。

実は亜也は、電動車椅子を使い続けていたら、自分の足で歩けなくなってしまうのではないか、という恐怖感を抱いていた。

数ヵ月後。耕平、慶太とともに文化祭の準備のために図書館を訪れた遥斗は、熱心に受験勉強をしている亜湖に出会う。

亜湖から、最近亜也が元気ない、と教えられた遥斗は、彼女の携帯電話に電話し、次の休日に水族館に行こう、と誘う。
亜也は、潮香に相談してみる、と言って電話を切った。

亜也が遥斗からの電話を待っていたことを見抜いていた明日美は、そんな彼女を冷やかした。

その夜、遥斗の部屋を訪れた芳文は、彼に進路のことを尋ねた。

遥斗がまだ進路を決めかねていることを知った芳文は、自分の好きな道に進めばいい、と彼に告げた。

芳文の意外な言葉に驚く遥斗。

続けて芳文は、亜也の話を切り出した。

どれだけの覚悟があって亜也と関わっているのか、と芳文に問われた遥斗は、何も言うことが出来なかった。

約束の日、亜也は、遥斗とともに水族館を訪れた。

大きなプールの中を自由に泳ぐイルカたちの姿を、うらやましそうに見つめる亜也。

イルカは人間の耳には聞こえない超音波で物体の位置を確かめたり、遠くにいる仲間と会話したりしているらしい、と遥斗に教えられた亜也は、人間も遠くにいる人とそんな風に話せればいいのに、とつぶやいた。

遥斗は、そんな亜也のために、おもちゃのイルカが付いた携帯電話用のストラップを売店で買い、亜也と自分の携帯電話につけた。
 遥斗がお茶を買いに行って休憩場所を離れたとき、子どもを連れた母親が、亜也にイルカのプールがある場所を尋ねた。

亜也は、その場所を教えようとするが、母親には亜也の言葉が聞こえづらいようだった。

そこに戻ってきた遥斗は、亜也の表情が曇っていることに気づく。

水族館を出た亜也と遥斗は、バス停に向かった。

が、ちょうどバスは出発した後だった。

遥斗は、大通りに出てタクシーを拾おうとするが、亜也が電動車椅子に乗っているせいか、素通りされてしまう。

そのとき、急に雨が降り出してきた。

遥斗は、自分の上着を亜也にかけ、雨宿り出来る場所を探した。

亜也と遥斗は、瑞生たちが手配したワゴンタクシーで池内家に戻った。

ずぶ濡れの亜也を見た潮香は、思わず遥斗を怒鳴りつけた。
着替えを終えた遥斗は、潮香と瑞生に謝った。

潮香は、怒鳴りつけたことを詫びるとともに、いまの亜也は些細なことが命に関わる場合もある、と打ち明けた。

遥斗が池内家を後にすると、携帯電話が鳴った。

亜也からだった。

亜也は、迷惑をかけてしまったことを遥斗に詫びた。

が、雨のせいか、その言葉がよく聞き取れない遥斗。

亜也は、ショックを隠しながら、もう遥斗とは住む世界が違うのかもしれない、と言って電話を切った。

冬のある日、亜也は、水野の元で構音障害の診察を受けた。

水野は、声が出しにくくなってきた、という亜也に、伝えるのを諦めなければ相手には必ず伝わる、とアドバイスする。

別の日、遥斗は、図書館で再び亜湖に出会った。

そこで遥斗は、亜也のためにも絶対に明和台東高校に合格したい、という亜湖の強い決意を知る。

「出来ることがあるのに、しないでボーっとしてるなんて絶対嫌」。

亜湖の言葉に、遥斗は何かを決意したようだった。

遥斗は、亜也のいる加住養護学校に向かった。

すると亜也は、夢を見た、と話し始めた。

夢の中の自分も体が不自由だった、と言いながら、涙をこぼす亜也。

遥斗は、そんな彼女に、自分の気持ちを伝えた。

いまは頼りにならなくても、いつかは亜也の役に立ちたい――

そう亜也に告げる遥斗。

そして彼は、

「お前のこと、好き…なのかも…多分…」

と告白した。

亜也は、まどかのアドバイスに従って、図書館を利用するときは電動車椅子で移動することにした。

養護学校の壁には、亜也が書いた詩「朝の光」が貼られていた。

遥斗は、進路希望の調査書に、「常南大学医学部」と書き込んだ。

そんな折、養護学校に、池内家の面々がやってきた。

潮香や瑞生の後ろから現れたのは、亜也が着ていた東高の制服を身に着けた亜湖だった。

亜湖は、東高に合格したのだという。

亜也の夢を引き受けたから、という亜湖の言葉に、亜也は涙を堪えてうなずき…

亜也は、滑らかな発音が難しくなる構音障害が進行していた。

亜也の診察をした担当医の水野は、養護学校卒業後、亜也が進学や就職をするのは困難であることを潮香瑞生に伝え、在宅でリハビリに励んではどうか、と助言する。

加住養護学校の卒業式を終えた亜也は、これで自分の居場所がなくなった、とつぶやく。

それに気付いた潮香は、亜也のために用意した部屋を見せ、家族皆で温かく迎え入れる。
そんなある日、池内家に、明和台東高校の卒業式を終えたばかりの遥斗まり、早希ら、かつてのクラスメートたちがやってくる。

遥斗は、常南大学医学部に合格していた。

まりたちも大学に進学し、春からは新しい生活が始まるのだという。

亜也は、皆の話を笑顔で聞いていたが、その表情はどこか寂しそうだった。

潮香や遥斗は、そんな亜也のようすが気になっていた。

別の日、リハビリのために常南大学医学部附属病院を訪れた亜也は、そこで遥斗に会い、学内を案内してもらう。

楽しそうに並んで歩くカップルの姿を見つめていた亜也は、ふいに

「どうして人間は歩くのかな?」

と遥斗に問いかけた。

恋人同士も歩きながら将来のことを語り合う、という亜也の言葉に、遥斗は何も返せなかった。
遥斗がリハビリ中の亜也のことを見守っていると、そこに水野がやってきた。

どうして医者になろうと思ったのか、と水野に問われた遥斗は、亜也の姿を見ていて人の役に立つ仕事がしたいと思った、と答えた。

すると水野は、亜也を見ていると自分も自然と背筋を正される、と遥斗に話す。

亜也のことを遥斗に任せて家庭訪問に行っていた潮香は、亜也を迎えに行く前に一旦帰宅した。

その際、机の上から落ちた亜也の日記を偶然見てしまう潮香。

そこには、「お母さん、過ごしやすい居場所が欲しいわけじゃないの。これから先、どう生きていくか、そのことを考えていたの」と記されていた。
潮香は、ショックを隠しながら、亜也を迎えに行った。

すると亜也は、突然、入院させてほしい、と潮香と水野に懇願する。

まだ自分の力で歩くことを諦めたくないから、毎日リハビリをしたい、というのだ。

別の日、潮香の元に、加住養護学校を手伝っているボランティアの喜一がやってきた。

亜也の担任だったまどかと結婚することになった喜一は、亜也たちに結婚式の招待状を持ってきたのだ。

さらに喜一は、自分が勤務する出版社で発行している難病患者やその家族を対象にした会報に、亜也の書いた詩を掲載させてほしい、と頼む。

常南大学医学部付属病院で潮香に出会った芳文は、亜也の病状を尋ねた。

歩行がますます困難になり、日を追うごとに人の助けが必要になることに思い悩んでいるようだ、と答える潮香。

続けて潮香は、遥斗に対する感謝の気持ちを芳文に伝えた。

すると芳文は、亜也のおかげで遥斗が変わったことを認めながらも、医者ではなく父親としては、遥斗が亜也に関わることには反対だ、と言い出す。

いつか遥斗が亜也に背を向けたとき、一番傷つくのは亜也だというのだ。
同じころ、遥斗は亜也を見舞っていた。

そこにやってきた潮香は、まどかと喜一の結婚式のことをふたりに伝える。

そんなある日、亜也は、トイレに行こうとして転倒してしまい、失禁してしまう。

ちょうどそこにやってきた遥斗に、泣きながら

「来ないで!」

と訴える亜也。

着替えを持ってきた潮香と亜湖も、亜也の異変に気づいた。

潮香は、遥斗に部屋を出るよう告げると、泣きじゃくる亜也を優しく抱きしめた。

その夜、亜也は、眠ることが出来ず、病院の電話コーナーから家に電話しようとする。が、手が震えてしまい、上手くボタンが押せず、カードが戻ってしまう。
家にいた潮香は、何故か急に亜也のことが心配になり、病院に向かった。

潮香に気づいた亜也は、眠るのが怖くて潮香の声を聞きたかった、とポロポロ涙をこぼした。

「あたしに出来ること…もうひとつもなくなっちゃうよ…」。

そういって泣き続ける亜也を抱きしめていた潮香は、ある決意をした。

潮香は、病室に戻ると亜也が書き続けていた何冊もの日記を取り出し、亜也には書くことがある、と告げた。

亜也は、そんな潮香に懸命に手を伸ばして応えた。

まどかと喜一の結婚式の日。

亜也は、潮香、瑞生とともに式に出席した。

まどかの美しいウエディングドレス姿を眩しそうに見つめながら、祝福する亜也。

まどかは、亜也の病状が進んでいることに気づき、涙ぐんでいた。

そこに、遅れてタキシード姿の遥斗がやってきた。

そんな遥斗の姿を見て微笑む亜也。

と、そのとき、歓声が上がり、まどかが放ったブーケが、電動車椅子に乗った亜也の膝の上に落ちた。
式の後、亜也は遥斗に手紙を渡した。

遥斗は、照れながらそれを受け取った。

教会の鐘が鳴る中、亜也は、遥斗の姿をそっと見つめていた。

病院に戻った亜也は、突然喉を詰まらせ、呼吸困難に陥った。

水野たちは、ただちに処置を開始した。

同じころ、夜の道を歩いていた遥斗は、立ち止まって亜也からもらった手紙を取り出すと、その場で読み始めた。

麻生くんへ

面と向かっては素直に言えなそうだから手紙を書きます。
いつもそばにいてくれて、ありがとう。
励ましてくれて、ありがとう。
自分の夢を見つけて、生き生きと輝いている麻生くんをみると、
私も嬉しくなります。
いろんな事を学んで、いろんな人と出会って、
あなたはこれからもずっとずっと生きていく。
あなたの未来は無限に広がっている。
でも、私は違います。
私に残された未来は、何とかして生きる、それだけ。
たったそのことだけ。この差はどうしようもありません。
毎日、自分と闘っています。
悩んで、苦しんで、その気持ちを抑えこむので精一杯です。
正直に言います。
麻生くんといると辛いです。
あんなこともしたい、こんなこともしたい、
もし健康だったら出来るのに、と思ってしまうんです。
麻生くんといると、叶わない大きな夢を描いてしまうんです。
もちろん、麻生くんのせいじゃありません。
でも、うらやましくて、情けなくて、
どうしてもいまの自分がみじめになってしまうんです。
そんなんじゃ、前を向いて生きていけないから。
色々してくれて、ありがとう。
こんな私のこと、好きって言ってくれて、ありがとう。
何も返せないで、ごめんなさい。
もう、会えません。          亜也

封筒の中には、イルカのストラップが入っていた。

遥斗の目からは涙が溢れていた。

落ち着きを取り戻した亜也は、遥斗に別れの手紙を書いたことを潮香たちに告げた。そしてぽつりとつぶやいた。

「…わたし…結婚できる?」。

潮香、瑞生、水野は何も言うことが出来なかった。

亜也は、ぽろぽろと涙を流しながら、「いつか」が来たら花に囲まれて眠り続けたい、と言いだし…。

新しい年が明けた。

以前よりさらに歩行が困難になった亜也は、車椅子を使うようになったが、潮香瑞生を中心とした家族の支えを受けながら、明るく元気に毎日を過ごしていた。

3学期最初の日、亜也は、潮香に車で送ってもらって登校する。

寒い中、校門の前で亜也が来るのを待っていたまりと早希は、潮香が荷台から降ろした車椅子を見て一瞬戸惑うが、気を取り直していつものように亜也をサポートする。

ホームルームで、1年A組の担任・西野は、進路希望のプリントを配った。

明和台東高校では、2年生になってもクラスはそのままだったが、授業は進路別になるのだ。

放課後、生物室で潮香の迎えを待っていた亜也は、遥斗に進路のことを尋ねた。

まだ何も決めていない、という遥斗に、動物が好きなのだから獣医になればいいのに、と言う亜也。

逆に同じことを遥斗に問われた亜也は、しばらく考えた後、人の役に立てる仕事がしたい、と答えた。

それを聞いた遥斗は、亡き兄・圭輔が亜也と同じことを言っていたのを思い出していた。

そんなある日、潮香のもとに西野から連絡が入る。

相談したいことがあるのだという。

明和台東高校に向かった潮香を出迎えたのは、西野と教頭だった。

そこで西野は、亜也を養護学校に行かせてはどうか、と切り出す。

設備の整った養護学校に行けば、亜也も負担が軽減するだろう、というのだ。

実際問題として、クラスの生徒からは、亜也のせいで授業が遅れて困る、という苦情も出ているのだという。
突然の話に驚いた潮香は、常南大学医学部付属病院を訪ね、亜也の担当医・水野に相談した。

すると水野は、以前自分が担当していた患者がいる養護学校を訪ねてみてはどうか、と持ちかける。

水野は、今後もさまざまな選択を強いられることになる亜也のためにも、同じ病気と闘う患者やその家族の話は参考になるのではないか、と潮香に助言するが…。

別の日、水野は、「脊髄小脳変性症研究会」で研究発表を行った大学教授・岡崎を訪ねた。

水野は、15歳で発症した患者を持つ岡崎に亜也のことを話し、協力を要請する。

岡崎は、患者のために力を尽くそうとする水野の情熱を感じ、それを快諾する。

そんな折、西野に進路希望を提出しに行った亜也は、そのついでにバスケットボール部を退部したいと申し出る。

西野は、亜也がまだ潮香から養護学校の件を聞いていないことを察し、複雑な心境だった。

放課後、亜也が退部したことがバスケットボール部員たちにも伝えられた。

が、それを聞いたまりは、亜也から何も相談されなかったことにショックを受け、つい亜也に当たってしまう。

同じころ、潮香は、水野に紹介された養護学校を訪ねていた。

そこで潮香は、亜也と同じ病気と闘っている18歳の少女・明日美と、その母親の菊枝に出会う。
菊枝は、中2で発病した明日美を普通の高校に通わせるために受け入れてくれる学校を探し回り、何度も転校させたのだという。

が、いまではそれが間違いだったと思っている、と潮香に告げた。

「結局、養護学校に行くのが嫌だったのは私なんです。

 もっと早く、あの子をここに連れてくるべきでした」。

菊枝が潮香にそう言うと、離れた場所で本を読んでいた明日美が顔を上げた。

ふたりの会話を聞いていた明日美は、潮香の方に近づくと、病気のことを本当に受け入れられるようになったのはこの養護学校に来てからだと潮香に言った。

「病気になったのは、不幸じゃないです。

 不便なだけ」。

そう言って明るい笑顔を見せる明日美に、潮香も微笑み返した。

その夜、潮香は、亜也に養護学校の話を切り出そうとした。

が、将来を見据えて勉強に精を出す亜也の姿を見て、何も言えなかった。

あくる日の放課後、亜也は、まりとケンカしてしまったことを遥斗に打ち明ける。

亜也の車椅子を押しながら話を聞いていた遥斗は、いま自分に話した気持ちをそのまままりに伝えればいいだけ、と亜也に助言する。

ちょうどそこに、亜也を迎えにきた潮香がやってきた。

潮香は、遥斗を食事に誘った。
亜也の家を訪れた遥斗は、池内一家と一緒に食事をする。

その席で潮香から将来のことを尋ねられた遥斗は、話の成り行きで、医大生だった兄が2年前に事故で他界したことを告白する。

兄がいたというのは冗談だと思っていた亜也は、驚きを隠せなかった。

瑞生は、話題を変えようと、遥斗の器にすき焼きの肉を放り込んだ。

賑やかな瑞生と亜湖のやり取りを見ていた遥斗に、笑顔が戻っていた。
食事を終えた遥斗は、亜也の家族のことを褒めた。

遥斗の意外な言葉に、微笑む亜也。

すると遥斗は、がんもの頭を撫でながら、

「お前はちゃんと居場所があっていいよな」

とつぶやいた。

あくる日、まりは亜也を呼び出した。

そこで、中学校時代の思い出話をするまり。

彼女がバスケットボールを続けられたのは、亜也がいてくれたからだった。

だからまりは、亜也が辞めてしまうことを知って心細くなり、つい彼女にキツくあたってしまったのだった。

まりは、その気持ちを亜也に伝えて謝ると

「バスケ辞めても友だちだよね」

と言った。

「あたり前じゃない」。

ふたりは、小さく微笑んだ。

その夜、亜也は、棚にしまってあった養護学校のパンフレットを偶然見つけ、ショックを受ける。

亜也からそのことを切り出された潮香と瑞生は、覚悟を決めて養護学校の話を打ち明けた。

すると亜也は、ふたりの言葉をさえぎって、自分の将来は自分で決める、と言い放つ。

「友だちまでなくしちゃったら、あたしは、あたしじゃなくなる」。

泣きながらそう訴える亜也の姿を見た潮香は、彼女の意志を尊重しようと決意する。

数日後、明和台東高校では、バスケットボール部の新人戦が行われる。

まりたちの応援に駆けつける亜也。

一方、潮香は、亜也を車から降ろすと、そのまま保護者会に出席した。

その席で、役員たちから亜也のことに関する問題提起がなされた。

授業の遅れや、亜也をサポートして事故があった際の責任問題などを学校側はどう考えているのか、というのだ。

潮香は、そんな父兄たちに亜也の病気が治療困難であることを説明した。

その上で潮香は、東高に残りたいという亜也のために、もう少しだけ時間がほしい、と頭を下げた。

父兄たちは、そんな潮香に、保健師の仕事を辞めて亜也の側についていたらどうか、と言い出し…。


バスケットボール部の新人戦を応援しに行った亜也は、試合後、初戦を突破したまりや早希を祝福する。

すると、保護者会を終えたばかりの潮香たちPTAが校舎から出てきた。

そのときの潮香の暗い表情に気付いた亜也は、何故か不安な気持ちを抱く。

その夜、亜也は、保護者会で何かあったのか、と潮香に尋ねた。

しかし潮香は、クラスメイトの母親たちから亜也のサポートをすることに対してのクレームがあったことは伏せ、亜也のことをお願いしてきた、とだけ答える。

麻生家では、佐和子が芳文に保護者会の経緯を報告していた。

亜也がこのまま東高に通い続けるのは困難だ、という芳文の言葉を聞き、ショックを受ける遥斗

そんな遥斗に芳文は、環境のいい場所に移る方が亜也にとってもいいことなのかもしれない、と告げる。

「あの子が背負っている荷物は、お前が考えているよりはるかに重い」。

芳文は、そう遥斗に言った。

あくる日、潮香の迎えを待って遥斗とともに生物室にいた亜也は、卒業アルバム用のクラス写真を見ながら、ふいに

「私、卒業できるのかな」

とつぶやく。

遥斗は、動揺を抑えながら、亜也が必死に何かをやるたびにクラス写真は増えていく、と真剣な顔で彼女に言った。

すると亜也は、病気の進行によって、学校を辞めなければならない時がくることへの不安を口にする。

亜也と別れた後、帰り支度を整えた遥斗を、圭子が呼び止めた。

遥斗は、亜也が治らない病気だなどと口にする圭子に怒り、彼女を壁に押し付けて睨みつけた。

同じころ、常南大学医学付属病院では、芳文が水野のもとを訪ねていた。

そこで水野は、脊髄小脳変性症のモデルマウスを使って実験を始めることを芳文に話す。

芳文は、医師が患者の頑張りに勇気を貰うことは多い、と水野に言うと、自分に出来ることがあったらいつでも協力する、と申し出る。

その夜、潮香は、家族の前で

「保健師の仕事を辞めることにした」

と言い出す。

弘樹理加は、これからずっと潮香が家にいると知って大喜びだったが、亜也の胸中は複雑だった。

一方、亜湖も、亜也のためにあることを決意していた。

そして瑞生も、店の営業終了後と休日を使って、知り合いの経営する鉄工所で働くことを決意する。

そんな折、亜也は、全国高校模試を受けるために、まりや早希とともに会場に向かった。

が、そこで亜也は、ふとしたはずみで階段から転落し、サポートをしてくれていたまりにもケガをさせてしまう。

捻挫をしてしまった亜也は、1週間ほど学校を休むことになった。まりも、手首を痛めてしまい、今週行われる試合は諦めるしかない状況だった。

ケガが治った亜也は、本当に学校に行ってもいいのかな、と亜湖にこぼす。

すると亜湖は、亜也と同じ東高を受験するつもりでいることを告白した。

そうすれば、学校で亜也のことを手伝えるし、潮香も仕事を続けることが出来るのだからもう少し頑張ってほしいと言う亜湖。

亜也は、そんな亜湖の思いを受け止め、涙を堪えて笑顔を見せた。

あくる日、亜也は久しぶりに登校したが、検査のために午前中一杯で早退する。

すると圭子は、亜也のことで話し合いたい、と担任の西野に申し出る。

PTAの間で問題になっている亜也のことについて、クラスの意見をまとめた方がいい、というのだ。
生徒からは、

「授業が遅れるのは困る」

「亜也に合った環境の方がいいのではないか」

といった意見が出た。

それを聞いていたまりは、堪りかねたように席を立つと、ほんの少し支えるくらい迷惑にはならないのではないか、と発言した。

が、まりとともに亜也をサポートし続けてきた早希は、亜也のことは好きだがキツいと思うときもある、と涙ながらに正直な気持ちを告白する。
亜也をサポートすることに対して否定的な意見が噴出する中、それまで黙っていた遥斗が口を開いた。

嫌だと思ったり面倒だと感じるのなら、はっきりとそう亜也に言えば彼女は自分で対処する方法を考えた、と言う遥斗。

それにもかかわらず、亜也の前では良い人のふりをしていて、彼女がいないときにこういう話をするのはずるい、というのだ。

さらに遥斗は、乱暴な口調で西野のことも責めた。

直接亜也の意見を聞く前に、親たちに話をして外堀を埋めるようなマネをするな、と遥斗は西野に言い放つ。

そのとき遥斗は、忘れ物をして教室に戻ってきた亜也が、廊下でこの話し合いを聞いていたことに気づく。

亜也は、机の中に忘れた日記を取りだすと、いたたまれないような気持ちで教室を出た。

その後を追った遥斗は、階段の踊り場で泣いていた亜也を背負って階段を降りると、車椅子に乗せた。
やがてふたりは、初めて出会ったあの歩道橋にやってきた。

泣き続けていた亜也は、無理に笑顔を作ると、黙っていないで話をしてほしい、と遥斗に声をかけた。

すると遥斗は、クラスメイトに偉そうなことを言っても何もしてやれないのは自分も同じだ、と言って涙を堪えた。

そんな遥斗に亜也は、いつも一緒にいて励ましてくれた、と感謝した。

「ありがとう、麻生くん…バイバイ」。

亜也の言葉に、崩れ落ちるようにして嗚咽する遥斗。

そんなふたりを粉雪が包み…。

別の日、亜也は、家族と共に理加の卒園式に出席した。

その帰り、亜也は、ふいに瑞生や潮香、妹弟たちに感謝の気持ちを伝えると、養護学校に行く、と言い出す。

明和台東高校の終業式の日。

西野は、亜也が転校することをクラスメイトに伝えた。

亜也は、教壇に立ってみんなに別れの挨拶をした。

自分の病気が治療困難であり、やがて歩くことも話すことも出来なくなること、この1年間でいろいろなことを諦めてきたこと、小さな希望も生きていく道も見つからなかったこと、そして、病気になって初めて気づいたこと…。

「みんなと生きる場所は違うけど…これからは、自分の選んだ道の中に、一歩一歩、光を見つけていきたいから!

 そう言って笑えるようになるまでに、私には少なくとも1リットルの涙が必要でした」。

教室を出て、潮香に支えられながら学校をあとにする亜也。

遥斗は、不意に席を立ち、亜也を追いかけた。

まりや早希、そしてクラスメイトたちもそれに続いた。
遥斗は、瑞生や潮香とともに校門を出ようとしていた亜也を呼び止めた。

次々にやってくるクラスメイトたち。

遥斗は、亜也を真っ直ぐ見つめながら、静かに「3月9日」を歌い始めた。

続いて歌い始めるまりたち。

そんな彼らの姿を見ていた亜也の目から涙が溢れ…。

亜也は、リハビリ科専門医・田辺(小林正寛)の指導を受けながらリハビリを続けていた。

しかし、いつもとようすが違い、リハビリにも身が入らない亜也。

担当医の水野は、そんな亜也のようすが気になっていた。
同じころ潮香は、明和台東高校を訪ね、担任の西野に亜也の病状を伝えていた。

西野は、亜也が回復困難な病気であることを知ってショックを受けるが、クラスメイトにも呼びかけて支援することを約束する。
教室を後にした潮香は、体育館の前で足を止めた。

体育館の中では、バスケットボール部が練習をしていたのだ。

潮香の姿に気付いた遥斗は、彼女に声をかけ、亜也のことを尋ねた。

潮香は、亜也が退院出来ることを遥斗に伝えると、その場を後にした。

潮香を見送った後、遥斗は祐二とすれ違った。

そのとき遥斗は、亜也が動物園で祐二のことをずっと待っていた、と彼に告げる。

亜也の退院の日、潮香は、水野から身体障害者手帳の申請についての説明を受ける。

障害の認定はその程度によって1級から7級までに分けられるが、現時点での亜也は6級の認定になるというのだ。

潮香は、そんな水野の言葉に戸惑いを隠せず、とりあえず資料だけを受け取る。
亜也は、潮香と妹の亜湖に付き添われて自宅に戻った。

が、亜湖は、バランスをとりながらフラフラ歩く亜也の姿に少なからずショックを受けているようすだった。
その夜、潮香は、亜也をタクシーで登校させるために貯金を切り崩したい、と瑞生に相談する。

瑞生は、それについては了承したものの、潮香が身体障害者手帳の申請について切り出すと、

「国の厄介にはならねえ!」

と声を荒げた。

あくる朝、亜也はタクシーで登校する。

その姿を見送った亜湖は、入院までしたのに亜也の病状が良くなっていないのはおかしい、と言い出す。

弟の弘樹も同じ思いだった。

潮香や瑞生は、動揺を隠しつつ、亜也の病気は回復に時間がかかる、とだけ説明する。
登校した亜也は、友人のまりや早希にサポートされながら教室に向かった。

西野は、病名を伏せて亜也のことをクラスメイトに伝えると、彼女をクラス委員の任から解き、新しい委員を選出する。

放課後、亜也は、まりたちから、部活に行こうと誘われる。

出来ることだけやればいい、と励まされ、笑みを浮かべる亜也。

その際、亜也は、耕平や慶太と一緒にいた遥斗に声をかけた。

亜也が遥斗とふたりだけで話したがっていることを察したまりは、耕平たちを教室の外に促した。

遥斗とふたりっきりになった亜也は、動物園の一件で迷惑をかけたことを彼に詫びると、

「私、強くなるから」

と宣言する。

遥斗は、そんな亜也の言葉に苦笑し、今度泣いたら罰金を取る、などと軽口を叩く。

部活に出た亜也は、練習中の祐二と目が合う。

が、亜也が小さく微笑みながら挨拶をしても、祐二は目を逸らし、練習に戻ってしまう。
部活を終えた亜也は、校門の前で迎えを待っていた。

そこにやってきた祐二は、亜也に謝ろうとするが、他のバスケ部員たちがやってくると足早に去って行く。
瑞生の運転する車で帰宅した亜也は、明日から歩いて学校に行きたい、と潮香に頼む。

まりたちに迷惑をかけてしまうことや、周囲の好奇の目に耐えられなかったのだ。

亜也の気持ちを察した潮香は、彼女の希望を受け入れた。
そのころ遥斗は、自分なりに脊髄小脳変性症について調べていた。

遥斗が勉強していると聞いた芳文が彼の部屋を訪ねると、彼は机に突っ伏して眠っていた。

そのとき、広げたままの本を見た芳文は、遥斗が亜也の病気について調べていることを知る。

そんなある日、体育の授業を休んで教室にいた亜也のもとに、遥斗がやってくる。

授業をサボったのだという。

そのとき、突然亜也が意識を失って倒れた。

遥斗は、西野とともに、亜也を病院に運び込んだ。
知らせを受けた潮香が常南大学医学部付属病院に駆けつけると、すでに亜也は意識を取り戻していた。

亜也は、脱水を起こしたのだった。

その理由を知った潮香は、胸が締め付けられるような思いを抱く。

亜也は、みんなに迷惑をかけてしまうという理由から、トイレに行かなくても済むようにほとんど水分を摂っていなかったのだ。

そんな亜也に水野は、誰にも迷惑をかけずに生きてきた人はいないのだから亜也だけが特別ではない、と言い聞かせる。
水野が神経内科診察室に戻ると、後を追うようにして遥斗がやってきた。

そこで、亜也の病気は治らないのか、といきなり切り出す遥斗。

水野は、

「病気が治せないで何が医者だよ!」

などと食ってかかる遥斗に、医者に出来ることなんてたかが知れている、と冷静に答える。

返す言葉もなく診察室を出る遥斗。

するとそこには芳文の姿があった。

芳文は、亜也にはもう関わるな、と遥斗に命じた。

しかし遥斗は、それを受け入れなかった。

亜也を連れて家に戻った潮香は、身体障害者手帳の申請資料を見ていた。

それに気づき、娘にわざわざレッテルを貼りたいのか、と激高する瑞生。

しかし潮香は、亜也には正々堂々と胸を張って生きてほしい、と返した。
ふたりが激しく口論しているところに戻ってきた亜湖は、亜也の病気のことを知らせたくないのなら徹底的に隠せばいいのにやっていることがおかしい、と訴えた。

そのとき、階段から激しい物音がした。

亜也が階段を転がり落ちたのだ。

慌てて駆け寄り、亜也を抱き起こして居間に連れて行く瑞生。

そこで亜也は、

「みんなに嫌な思いさせてごめんね」

と言い出す。

潮香は、そんな亜也を抱きしめると、亜也は何も悪くないのだから謝るのはもう止めよう、と諭す。

続けて潮香は、身体障害者手帳の話を切り出した。

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づいて交付されるもので、同法には「すべての身体障害者は自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を活用することにより、社会経済活動に参加できるように努めなければならない」と記されていた。潮香は、それを亜也に説明すると、障害者手帳は亜也が社会の一員であることの証明だ、と告げる。

さらに潮香は、亜湖、弘樹、理加の3人に、亜也の病気のことを打ち明けた。

その病気に治療法がないことを知った亜湖は、激しく動揺した。

すると瑞生は、自分の中の優しい気持ちに素直に行動すればいい、と言って亜湖を抱きしめた。

そんな家族の姿に胸を打たれた亜也は、

「これからは“ごめんね”じゃなくて“ありがとう”って言葉を大事する」

と伝えた。

あくる日、亜也は、遥斗に付き合ってもらい、祐二に電話する。

自分の思いを伝えると、涙を堪えてさよならを言う亜也。

少し離れた場所で待っていた遥斗は、

「電話で一方的にさよならを言うのは冷たい」

「嘘でもいいから泣いてやれよ」

などと亜也に言った。

すると亜也は、罰金を払うのは嫌だから、と精一杯の笑みを浮かべて…。


秋も終わりに近づいたある日、亜也は、潮香とともに、愛犬のがんもを連れて歩行訓練を兼ねた散歩に出かける。

亜也は、以前よりさらに歩くことが困難になっているようすだ。
散歩の途中、亜也たちは、ひとりで黙々とサッカーの練習をしている弘樹の姿を見つける。

亜也は、シュートが苦手だという弘樹のために、ぎこちない手つきでコンクリートの橋脚に石でサッカーゴールを刻み、イメージトレーニングが大切だとアドバイスする。

別の日、常南大学医学部付属病院を訪れた亜也は、担当医・水野の診察を受ける。亜也がリハビリ訓練をしている間に水野と話した潮香は、亜也の調子が良いようだ、と彼に伝えた。

が、亜也の日記を読みながら話を聞いていた水野は、「お茶を飲んだら少しむせた」という一文に目を留め、表情を強張らせていた。

あくる日、亜也は、ひとりで登校した。

学校で亜也のサポート役を務めるまりや早希が、バスケットボール部の新人戦に備えて早朝練習に出ているためだった。

そんな亜也の姿を見た遥斗は、戻りたくても部活に戻れない彼女の心境を察し、部員が足りないから生物部の水質調査を手伝って欲しいと誘った。

一方、瑞生は、亜也の治療費を捻出するために、新規の取引先を増やそうとしていた。

とあるスーパーを訪れた瑞生は、店長の遼平に、自分の店の豆腐を置いてほしいと何度も頭を下げるが、あっさりと断られてしまう。

そこに、遼平の息子で、亜也のクラスメートでもある耕平(水谷百輔)が帰ってきた。瑞生に気づき、亜也の父親だと遼平に告げる耕平。

亜也の病気の話を聞いていた遼平は、

「お宅も大変なんだな」

というと、その場で彼の店と取り引きすることを決めた。

瑞生は、同情されたことに複雑な心境だった。

そんな瑞生に潮香は、同情されることは悪いことではないし、亜也には偏見や差別の視線に負けないでほしいと思う、と話す。

瑞生は、潮香のその言葉に胸のつかえが取れたような思いを味わっていた。

そんな折、弘樹は、次の試合の先発メンバーに選ばれる。

仲間から祝福された弘樹は、亜也にサッカーを教えてもらった、と仲間たちに自慢する。

弘樹からの報告に、大喜びした亜也は、さっそく弘樹のユニフォームに名前を縫い付けた。
あくる日、亜也は、妹の亜湖とともにスポーツ用品店を訪れる。

弘樹のためにスポーツタオルを選びに行ったのだ。

その店で、小さな男の子に、歩き方がおかしい、と言われてしまう亜也。

それでも亜也は、何事もなかったかのように振舞っていた。

そんな姉の姿をじっと見つめる亜湖。

さらにその光景を、弘樹のサッカー仲間3人が見ていた。

河原で練習していた弘樹は、亜也のことで仲間にからかわれる。

相手は、スポーツ用品店で亜也の姿を見ていた少年たちだった。

ちゃんと歩けないのにサッカーを教えるなんで無理だ、と言って弘樹を嘘つき呼ばわりし、亜也の歩くマネをする少年たち。

そのひとりが、ふいに弘樹のサッカーボールを奪うと、川の中に向かってボールを蹴った。

耕平や慶太(橋爪遼)とともに川の水質調査に来ていた遥斗は、そんな光景を偶然見てしまう。
帰宅した弘樹は、サッカーボールを無くした、と潮香に報告する。

と、そこに遥斗がやってくる。

遥斗は、川に落とされた弘樹のサッカーボールを拾って届けにきたのだ。

帰り際、遥斗は、ボールも亜也のことも大事にしろ、と弘樹に言い残して去って行く。

それから数日後、亜湖は、弘樹が忘れた月謝を届けに、サッカーグラウンドを訪れる。亜湖が弘樹の姉だと気づき、サッカーを教えてほしい、と駆け寄るチームメイトたち。

すると、例の少年が再び亜也のマネをして弘樹をからかい始めた。

それを見た亜湖は、その少年を突き飛ばし、

「あんたなんか、スポーツする資格ない」

と言い放つと、強引に弘樹を家まで引っ張っていく。

亜湖は、亜也のことでからかわれても何も言い返さない弘樹を激しく責めた。

近くにあった弘樹のユニフォームを手に取ると、亜也が寝る時間を削ってネームを縫い付けたことを告げる亜湖。

「何で亜也姉のこと、恥ずかしいなんて思うのよ」。

そう叫びながら泣きじゃくる亜湖を、潮香は優しく抱きしめながらなだめた。

その一部始終を見ていた瑞生は、弘樹の胸に拳を当てると、

「いま、お前のココは痛ぇよな?」

と聞いた。

涙を流しながらうなずく弘樹。

瑞生は、弘樹を力一杯抱きしめた。

ちょうど帰宅し、そんな家族の姿を見てしまった亜也は、フラフラと家を出ると、路地裏でひとり涙する。

その夜、亜也は、用事が出来てサッカーの応援に行けなくなった、と弘樹に言うと、買ってきたスポーツタオルを差し出す…。

別の日、亜也は、遥斗に弘樹の応援に行かないことを話した。

すると遥斗は、弘樹はきっと後悔しているはずだ、と告げる。
弘樹の試合の日、目を覚ました亜湖は、部屋に手作りのチケットが置いてあることに気づく。

弘樹が、亜也のために試合の招待券を作ったのだ。

それを見た亜也は、家族と一緒に応援に行くことにする。

グラウンドで亜也の姿を見つけた弘樹は、嬉しそうに手を振ると、チームメイトに亜也のことを自慢した。

亜也も、そんな弘樹に向かって、一生懸命手を振った。
試合が始まった。

ペナルティーエリア内で相手のファールを受けた弘樹は、PKを蹴ることになった。

亜也の言葉を思い出し、冷静にシュートを蹴る弘樹。

するとボールは、真っ直ぐにゴールに吸い込まれ…。

合唱コンクールが3週間後に迫り、亜也遥斗たち1年A組の面々は練習に余念がない。

しかし、体の異変に気づき始めていた亜也は、楽譜がぼやけて見えることがあり、言いようのない不安に襲われていた。
同じころ、亜也の母・潮香は、常南大学医学部付属病院の神経内科診察室を訪れていた。

夫の瑞生と話し合い、まだ亜也には病気のことを告知しない、と決めた潮香は、亜也の主治医・水野にその旨を伝えた。

早期の治療とリハビリの必要性を説いてきた水野は、その場しのぎの希望を持たせるべきではない、と潮香を諭す。

しかし潮香は、水野の言葉をさえぎり、いまはまだ告知をしないでほしい、と頭を下げた。

その夜、亜也の妹・亜湖は、絵の具セットを瑞生にねだる。

実は、亜湖の描いたデザイン画が中学生絵画コンクールの一次審査を通過していたのだ。

しかし、瑞生は、忙しいといって亜湖の頼みをきかなかった。

亜湖は、潮香や瑞生が、亜也のことばかり気にかけていることが面白くないようだった。

あくる日、部活を終えた亜也は、先輩の祐二に誘われ、一緒にスポーツショップに行く。

そこで亜也は、祐二から同じ柄の靴紐をプレゼントされ、嬉しさを隠せない。

店を出たふたりは、ファーストフード店に立ち寄り、一緒に帰った。

その際、亜也は、道の向こう側から走ってきた子どもを避けようとするが、何故か体が動かず、ぶつかって転倒してしまう。

別の日、とある寺では、遥斗の兄・圭輔の一周忌の法要が行われる。

そこで遥斗は、子どもたちの自慢話をする親戚に毒づき、父親の芳文を怒らせていた。

席を立った遥斗は、境内で古びたMDプレーヤーを取り出した。

それは、圭輔が使っていたものだった。

圭輔のことを思い出す遥斗。

そこにやってきた芳文に遥斗は、医者になりたいなんて思ったことは一度もない、と言い放った。


そんな折、亜也は、潮香たちに内緒で常南大学医学部付属病院を訪れる。

そこで芳文に出会い、彼が遥斗の父親であることを知る亜也。

一方、芳文は、遥斗が彼女の家で食事をしたことを聞かされ、驚きを隠せなかった。芳文と別れた亜也は、入院中の優花の父・明彦を見舞った。

そこで、優花の母・祥子から、明彦が思うように体を動かせなくなる病気であること聞かされた亜也は、祐二と一緒にいたときの出来事を思い出していた。

明彦の病室を後にした亜也は、水野に会うために神経内科診察室を訪れた。

水野が休みだと知り、看護師から彼の行きつけの食堂を教えてもらった亜也は、そこで水野と会うことが出来たが、何も聞くことが出来なかった。

水野は、どこか思いつめたような亜也の表情から何かを感じとったようだった。

あくる日、亜也は、合唱の練習をサボった遥斗を探して生物室に向かい、そこで彼の姿を見つける。

そこで亜也は、遥斗の父親に会ったことを伝えると、

「麻生くんも将来はお医者さんになるの?」

と尋ねる。

すると遥斗は、人が死のうが生きようがどうでもいい、などと答えた。

そんな遥斗の言葉を聞いていた亜也は、次第に悲しくなり、人はそんな風に簡単に割り切れない、と涙ながらに反論する。

「麻生くんは、自分の大切な人が病気になったり死んだりしても、どうでもいいって、そう思えるの?」。

亜也は、遥斗にそう言うと生物室を後にした。

その日の夕方、潮香は、食事の用意の途中で亜也と亜湖の部屋に向かい、何かにとりつかれたように亜也の日記を見始める。

近ごろ亜也のようすがおかしいことから、彼女が何か日記に書いていないか知りたかったのだ。

その姿を見た瑞生は、

「俺たちが取り乱してどうするんだ」

と彼女を諫めた。

ちょうどそこに帰ってきた亜湖は、潮香に入賞した絵画を見せようとする。

しかし潮香には、亜湖の話を聞いてあげるだけの余裕はなかった。

潮香や瑞生が、亜也の帰りが遅いことを心配しているのを見た亜湖は、両親へのあてつけのつもりで、自分も病気になりたい、と言い出す。

その言葉に顔色を変える瑞生。

その瞬間、潮香は、思わず亜湖の頬をぶってしまう。

同じころ、亜也は、生物室のパソコンに「病気」「小脳」「脊髄」とキーワードを打ち込み、脊髄小脳変性症という病気にたどり着く。

次々と関連ページを見る亜也。

そこに記された脊髄小脳変性症の症状は、最近の亜也の症状に酷似していた。

するとそこに遥斗が現れた。

水槽で飼育している魚のことが気になってやってきたのだ。

それを知った亜也は、

「人間が死んでもどうでもいいって言ってて、魚が死ぬのは気になるんだ…」

とつぶやき、涙をこぼす。

合唱コンクールの日、亜也たちは本番を前に、最終リハーサルに臨んだ。

亜也は、何かを覚悟したかのように、凛とした表情で指揮を務めていた。

そんな亜也の姿を見た遥斗は、リハーサル後、彼女に話しかけた。

すると亜也は、

「今日『答え』が出る」

と言い出す。

そして、

「それを聞いたら変わってしまうかもしれないから、この私でいられるのもきっといまが最後」

と続けた。

遥斗には、亜也が何のことを言っているのかわからなかった。

潮香と瑞生は、亜也たちの合唱を聴くために家を出ようとしていた。

そこにやってきたのは水野だった。

今日予定されている亜也の診察の前に、ふたりに話したいことがあるのだという。が、理加を保育園に連れて行く、と言って瑞生がその場を後にしたため、潮香は水野を自宅に迎え入れると、ひとりで彼の話を聞く。
水野は、亜也が自分に会いにきたことを打ち明け、彼女はひとりで苦しんでいるのではないか、と潮香に問うた。

亜也が何かに気づいていることを承知の上で、彼女を傷つけたくないと願う潮香は、まだ子どももいない水野には親の気持ちはわからない、と訴える。

すると水野は、17歳の若さで他界した翔太(川口翔平)という患者の話を始めた。

水野は、両親の強い希望で、進行性の病気に侵されている翔太への告知をしなかった。

翔太は当時12歳だった。

それから1年後、水野は、もう自分では歩けなくなっている翔太に告知をした。

が、自分の病気を知った翔太は、

「僕の時間を返して!」

と水野に泣きついたのだという。

病気のことを知っていたら、大好きな野球ももっと練習したのに、と泣いた翔太の姿は、いまも水野の心に焼き付いていた。

「15歳だから、真実を話さなければいけないんじゃないでしょうか」。

水野は、そう潮香に訴えた。

明和台東高校の講堂では、亜也たちの合唱が始まっていた。

見事なハーモニーで、「3月9日」を歌う1年A組の生徒たち。

曲が終わり、大きな拍手が鳴り響く中、亜也は笑顔で観客に頭を下げた。

そんな亜也の姿を見ながら、いくら明るく振舞おうと思っても、隠し事をしている間は亜也の目をまともに見ることが出来ない、と涙する瑞生。

遅れて会場にやってきた潮香も、涙を堪えていた。

夕方、亜也は、潮香、瑞生とともに水野のもとを訪れた。

そこで、水野が切り出す前に、いきなり「脊髄小脳変性症」という病名を口にする亜也。

水野は、亜也の病気が脊髄小脳変性症であること、そして、いつかは優花の父親のようになる可能性が高いことを認めた。

潮香は、うつむく亜也に声をかけるが、その言葉は彼女には届かなかった。

長い沈黙の後、亜也は震える声でこう言った。

「病気は…どうして私を選んだの?」

と…。


亜也は、常南大学医学部付属病院の神経内科医・水野から、脊髄小脳変性症であることを告知される。

潮香瑞生とともに家に戻った亜也は、無理矢理笑顔を作って気丈に振舞おうとするが、どうしても病気のことを受け止めることが出来ずにいた。

「私まだ15だよ!? こんなのひどいよ! 神様不公平だよ!」

と泣きじゃくりながら、潮香にそう訴える亜也。

潮香は、亜也にかける言葉が見つからず、ただ彼女を抱きしめることしか出来なかった。
その夜、潮香は、告知せずにもう少しようすを見るべきだったのではないか、と瑞生に話す。

瑞生は、そんな潮香を叱咤し、俺たちが全力で支えてやればいいんだ、と彼女を励ます。

あくる朝、亜也は、何事もなかったかのような元気な顔を見せ、潮香や瑞生を驚かせる。教室でも亜也は、努めていつもと同じように振舞っていた。
一方、遥斗は、時折ぼんやりしている亜也のことが気になっていた。

そのとき遥斗は、こっそり生物室のパソコンを見ていた亜也のことを思い出していた。亜也は、何故か見ていたページの履歴を消していたのだ。

放課後、バスケット部の練習に出た亜也は、思ったように体を動かすことが出来ず、コーチの西野に怒鳴られてしまう。

まりや早希は、そんな亜也のことを心配そうに見つめていた。

同じころ、潮香は、水野の元を訪れていた。

そこで水野は、亜也をただちに入院させ、薬の効果やリハビリの方法を確認したい、と潮香に申し出る。
その夜、亜也は日記にこう書いていた。

「目を閉じて、次の日が来るのがこわい。

 朝がきて、悪くなっているかもしれないと思うのが怖い。

 時間が経つのがこわい」

と…。

そんなある日、亜也は、バスケットボール部の先輩・祐二からデートの誘いを受ける。祐二は、終業式の日に行われる花火大会に一緒に行かないか、と亜也を誘った後、自分の誕生日である8月7日も空けておいてほしい、と亜也に頼んだ。

亜也が祐二に憧れていたことを知るまりや早希は、まるで自分のことのように大騒ぎする。

が、亜也の胸中は複雑だった。
その夜、亜也は、祐二からデートに誘われたことを潮香に打ち明け、どうやって断るべきか相談する。

病気のせいで祐二に迷惑をかけてしまうかもしれない、というのだ。

その気持ちを察した潮香は、胸が締め付けられるような思いを抑えて、病気のせいにして出来ることを投げ出してしまうのはおかしい、と亜也を諭した。

そんな潮香の思いをしっかりと受け止めた亜也は、自分を信じて頑張って生きようと決意する。

終業式の日、亜也は、潮香に浴衣を着せてもらって、祐二とのデートに出かける。

バスケットボール部の部員たちに冷やかされ、照れくさそうに笑い合うふたり。

事件が起きたのはそのときだった。

信号が青になり、横断歩道を歩き出した亜也が、いきなり転倒して額を切ってしまったのだ。

大量に流れる血に、呆然となる祐二たち。

ちょうど近くにいた亜湖は、慌てて亜也に駆け寄ったが、亜也は気を失っているようだった。

亜也は、救急車で常南大学医学部付属病院に運ばれ、治療を受けた。

出血こそ多かったが、幸いケガは軽いようだった。

水野は、知らせを聞いて駆けつけた潮香と瑞生に、病気の進行が早いため、一刻も早く亜也に適した薬やリハビリ方法を見つける必要がある、と告げると、夏休みを利用して検査入院するよう助言する。
家に戻った潮香たちは、さっそく亜也の入院準備を始めた。

亜也のようすが普通ではなかった、と不安を口にする亜湖。

瑞生は、いつものように軽口を叩いてその場を誤魔化すのが精一杯だった。

あくる日、亜也は、水野からリハビリ専門医の田辺を紹介される。

今後、亜也は、田辺の指導で、リハビリに取り組むのだ。
亜也の病室を出た田辺は、病気の告知は早すぎたのではないか、と水野に問うた。しかし水野は、治療は長期戦だから患者にも医者にも覚悟が必要になる、と反論する。

明和台東高校では、顧問の西野が、バスケットボール部員たちに、亜也が入院することを報告していた。

それを聞いて、

「ヤバイ病気なんじゃないか?」

などと、口々にウワサし合う部員たち。

祐二も、困惑を隠せなかった。

数日後、亜也の病室に、まりや早希、耕平らクラスメートが見舞いに来る。

亜也の顔にも笑顔が戻っていた。
病院からの帰り道、まりたちは、圭子から、亜也の見舞いに来なかった遥斗の話を聞く。

1年前、遥斗は、兄の圭輔と渓流釣りに出かけたが、その際に、圭輔が川に流されて水死するという事故が起きていた。

それ以来、遥斗はすっかり変わってしまったのだという。

その日の夕方、がんもを散歩させていた亜湖は、学校帰りの遥斗に出会う。

そこで遥斗は、亜也が夏休みいっぱい入院すること、そして8月7日に動物園に行く予定であることを知る。

亜湖は、亜也が遥斗と一緒に動物園に行くものと思い込み、そのこと彼に尋ねたからだった。

別の日、リハビリをしていた亜也の元に祐二がやってくる。

そこで、一緒に動物園に行けなくなったことを祐二に詫びる亜也。

その話を聞いていた水野は、その場で亜也の外出を許可する。

それ以来、亜也は、積極的にリハビリに取り組むようになっていた。

亜也の元を訪れた遥斗は、彼女に病気のことを尋ねる。

亜也は、冗談半分で「不治の病」などと言って遥斗をからかっていた。
家に戻った遥斗は、病院職員の名簿を探し、亜也の主治医だという水野のプロフィールを見る。

そこには、彼が脊髄小脳変性症という病気の研究者であることが記されていた。

医学辞典を開き、脊髄小脳変性症について調べた遥斗は、その内容に大きなショックを受けていた。

そんな折、遥斗は、祐二と友人の会話を偶然耳にする。

祐二は、亜也とのデートを断るべきかどうか、悩んでいるようすだった。

遥斗が再び亜也の元を訪れると、すでに彼女は、潮香に用意してもらった誕生日プレゼントを持って、祐二と約束した動物園に向かった後だった。

するとそこに、祐二から亜也への電話が入っている、という連絡が入る。

祐二が亜也とのデートを断るつもりで電話をしてきたことを察した遥斗は、病院を後にし、走り出した。

同じころ、亜也は、動物園で祐二のことを待ち続けていた。

雨が降り出し、家族連れやカップルが雨宿り出来る場所を探して散っていく。

走ってきた人を避けようとして転んでしまった亜也は、地面に転がったプレゼントを拾い上げると、大事そうに胸に抱えた。
動物園に着いた遥斗は、雨の中、祐二を待っている亜也にカサをさしかけ、祐二がこないことを伝えた。

そんな遥斗の優しさに触れた亜也は、彼に礼を言うと、さりげなく自分の病気の話を切り出した。

無理をして生き延びようとするのは、やっぱり欲張りなのか――

遥斗にそう問うと涙を流す亜也。

以前、遥斗が、人間だけが欲張って余分に生きようとする、と亜也に話したことがあったからだった。

「タイムマシンを作って…過去に戻りたい!」。

遥斗は、何も言えずにただ亜也を見つめていた…。


池内亜也は、高校受験を間近に控えた中学3年生。

明るく頼れる母・潮香と豆腐店を営む人情派の父・瑞生、そして3人の弟妹たち…亜湖弘樹理加に囲まれて、平凡ながらも賑やかで楽しい毎日を送っていた。

名門進学校・明和台東高校の受験の日、亜也は、潮香たちに見送られ、張り切って家を出た。

が、うっかりバスの中で寝過ごしてしまった彼女は、バスを降りて慌てて走り出そうとして転倒し、ヒザをケガしてしまう。

そんな折、亜也は、同じ高校を受験する予定だった麻生遥斗と偶然出会う。

亜也がケガしていることを知り、彼女を自転車に乗せて明和台東高校まで連れて行く遥斗。

そんな彼のおかげで何とか1科目めの試験時間内にたどり着いた亜也は、保健室での受験を許可される。

一方、明和台東高校受験を止めてエスケープしようとしていた遥斗も、この一件のせいで、結局試験を受ける羽目になっていた。


 東高の合格発表日、亜也と親友のまりは、そろって合格する。

同校に入学した亜也は、まりだけでなく、あの遥斗とも同じクラスだった。

亜也と遥斗は、出席番号1番同士ということで、担任の西野からクラス委員に任命され、さっそく来月に行われる合唱コンクールの準備を命じられる。
中学校時代からバスケットボール部に所属していた亜也は、まりとともにバスケ部に入部した。

そこには、中学時代からの憧れの先輩・河本祐二がいた。


ある朝、元気に家を飛び出した亜也は、走り出すと同時に足がもつれ、店先で転んでしまう。

しかも、手をつかない不自然な転び方をしたために、顔から落ちてアゴを切ってしまう亜也。

潮香は、慌てふためく瑞生を制して、店のワゴンに亜也を乗せると、常南大学医学部付属病院の救急外来へと急いだ。
治療を終えた亜也は、そこで遥斗と出会った。

実は彼の父親・芳文は、この病院の外科部長だった。

別れ際、亜也は、コンクールの曲目を考えておいてほしい、と遥斗に告げた。

すると遥斗は、自分には何の欲もないから文句を言わない、と亜也に言うと、診察を待つ患者たちに目をやり、人間だけが欲張って余分に生きようとする、などと言い残してその場から去ってしまう。


そのころ、潮香は、亜也の転び方を不審に思い、治療をしてくれた医師・谷口に相談していた。

事情を聞いた谷口は、神経内科の医師・水野宏にそれを伝え、亜也の診察を依頼する。

亜也は、潮香とともに水野の元を訪ね、問診の後、バランステストやMRI検査を受ける。

そして水野は、不安を隠せないでいた亜也に、体の調子で何か気になることがあったら書きとめておいてほしい、と告げる。


あくる日、亜也は、いつものように登校した。

1時間目は自習だった。

そこで亜也は、この機会に、合唱コンクールの曲についてみんなで話し合おうと提案した。

が、クラスメイトたちの反応は冷ややかだった。

すると亜也は、いくつもの職を転々とした父・瑞生の話を持ち出し、自分たちには時間があるのだから、無駄だと思うことをするのも時には悪くないんじゃないか、と皆に問いかけた。

同じころ、水野からの連絡を受けた潮香は、彼の診察室を訪ねていた。

そこで水野は、亜也が脊髄小脳変性症という難病に侵されていることを潮香に告げる。

それは、小脳が萎縮し、神経細胞が破壊されることによって身体を動かす機能が次第に失われていくという難病だった。

「私の知る限り、完治した例は一例もありません」。

水野の言葉が潮香の心に突き刺さった。


池内亜也の検査を担当した常南大学医学部付属病院の神経内科医・水野は、亜也の母・潮香に、彼女の病気は脊髄小脳変性症だと思われる、と告げた。

この病気は、何らかの原因で小脳が萎縮し、そこに存在する神経細胞が壊れていくもので、身体を動かすことが次第に困難になっていくという病気だった。

潮香は、この病気は完治した例がない、という水野の言葉にショックを受けながらも、亜也の検査データを借りたい、と彼に申し出る。

別の医師の診断も聞いてみたいという思いからだった。

水野は、潮香の申し出に賛同しながらも、亜也が限られた時間を有意義に過ごすためにはまず母親が病気を認めることが必要だ、と助言する。

同じころ、亜也は、合唱コンクールのピアノ伴奏を改めて圭子に頼んでいた。

圭子は相変わらず渋っていたが、ちょうどそこにやってきた遥斗からも頼まれると、あっさりとそれを引き受ける。

そんな圭子の姿を見ていたまりや早希は、圭子は遥斗のことを好きなんじゃないか、と騒ぎ立てた。

放課後、バスケットボール部の練習に行った亜也は、顧問の西野から、北高校との練習試合に出場するよう指示される。

1年生の中からメンバーに選ばれたのは亜也だけだった。

憧れていたバスケ部の先輩・祐二からも祝福された亜也は、嬉しさで一杯だった。夜、亜也からその報告を受けた瑞生たちも、大喜びだった。

潮香は、不安を押し隠しながら、そんな瑞生たちに合わせて無理に明るく振舞っていた。

が、亜湖は、母のようすがいつもと違うことがなんとなく気になっているようだった。

ある日、亜也は、転倒して切ってしまったアゴのケガの消毒を受けるために、常南大学医学部付属病院を訪れた。

そこで亜也は、父親の見舞いに来たという少女・優花と知り合った。

優花の父親が検査を受けている間、彼女とボール遊びをした亜也は、一瞬、手が動かなくなり、ボールを顔面で受けてしまう。

すると、優花は、

「お姉ちゃんも病気なの?」

と亜也に尋ねた。

優花の父親も、亜也と同じようにアゴをケガしたことがあるというのだ。

一方、潮香は、水野から借りた亜也の検査データを持ってとある総合病院を訪れたが、そこでも同じ診断を受け、すっかり沈んでいた。

そんな折、潮香は、脊髄小脳変性症研究の第一人者で、水野の恩師でもある神経内科医・宮下のことを知り、藁をも掴む思いで彼の元を訪ねる。

が、この病気にはいまのところ有効な治療法はなく、投薬とリハビリで進行を抑えるしかない、と言われてしまう潮香。

重い足取りで駐車場に停めてあった車に乗り込んだ潮香は、携帯電話の着信に気づく。

亜也からだった。

「お母さん、お仕事ご苦労さま。

今日、病院に行ったよ。

アゴの傷はもう心配ないって。

傷跡もきれいに消えるって。

安心してね…」。

亜也が残したメッセージを聞いていた潮香の目からは涙が溢れていた。
その夜、潮香は、瑞生に、亜也の病気のことを告げた。

それがいまの医学では治せない病気であることを告げられた瑞生は、言葉を失っていた。

北高校との練習試合の日、瑞生は、家族そろって亜也の応援に行く、と言い出す。

亜湖は、行きたくないというが、瑞生はそれを許さなかった。
試合は、亜也の活躍もあって白熱した展開になっていた。

そんな亜也の姿を見ていた潮香や瑞生は、必死に涙を堪えていた。

試合中、亜也は、一瞬動けなくなった。

が、運よくそれが味方へのスルーパスのような形になり、すぐにパスを受けた亜也は、見事にシュートを決めていた。
試合後、亜也は、祐二にプレーを褒められる。

祐二は、中学時代、亜也に頼まれてサインしたリストバンドをまだ彼女が使っていることを知る。

合格発表で亜也の名前を見つけたときは嬉しかった――

祐二にそう言われた亜也は、驚きを隠せなかった。


帰り道、以前、公園で見かけた子犬に会いに行った亜也は、その子犬に弁当の残りをやりながら話しかけていた。

祐二のことだった。

そのとき、不意に声がした。

やはり子犬にエサを持ってきた遥斗が、偶然それを聞いていたのだ。]

亜也は、恥ずかしさをごまかすようにその場から立ち去ろうとした。

すると、子犬が亜也の後を追いかけてきた。

亜也の家は食べ物を扱っているため、動物を飼うことはできなかった。

が、ちょうど雨が降り出してしまったため、亜也は、遥斗にも付き合ってもらい、その子犬を家に連れて帰る。
潮香と瑞生は、亜也が子犬を連れてきたことに困惑するが、とりあえず飼うことを許可した。

亜也はもちろん、弘樹理加も大喜びだった。

遥斗は、瑞生に半ば強引に命じられるような形で、亜也の家族と一緒に食事をすることになった。

その席で遥斗がアイデアを出し、子犬は「がんも」と名づけられた。

あくる日、潮香と瑞生は、水野の元を訪ねる。

亜也を連れてこなかったことに対して、

「この病気について、まだ理解できませんか?」

と問う水野。

すると潮香は、保健師として健康を省みない人たちを指導してきた経験から、自分の家族の健康には人一倍気を遣ってきたこと、どんなに忙しくても食事やおやつにも手をぬかないで育ててきたことを話し始めた。

瑞生も、昨日の亜也の試合のことを話しながら、涙を流した。

そんなふたりに対して水野は、この病気が少しずつではあっても確実に進行することを告げた。

潮香も瑞生も、自分たちがまず亜也の病気を受け入れなければならないことはわかっていた。

ふたりは、亜也のことを思い、その辛さをかみ締めながら帰路についた。

別の日、亜也は、潮香とともに水野を訪ね、彼に言われて書き続けていた日記を見せた。

「これからも続けてください」

と水野に言われた亜也は、不安を隠せなかった。
待合室のソファーに座って潮香を待っていた亜也は、そこで優花に出会った。

今日も父親の見舞いに来たのだという。

亜也は、彼女の荷物を持ってやると、一緒に優花の父親・明彦の病室を訪れた。]

明彦は、文字盤を指差さないと会話ができないようだった。

明彦のベッドには、担当医として水野の名前が書かれたプレートがあった。
病院からの帰り道、亜也は、

「あたしの病気って何?」

と潮香に尋ねた。

その言葉を聞いた潮香は…。

どうして人間は歩くのかな?

人が人らしく物を考えられるのは,歩いている時なのかな?

だって,恋人たちも歩きながら将来のことを語り合うでしょう?


過ごしやすい場所が欲しいわけじゃない。

これから先どのように生きていけばいいか考えたいだけ。


差し入れ。

きれい。

でも病人に鉢植え?

うん,これかわいかったから。

植物ってすごいね。

雨が降っても,踏みつけられても,その場でじっと耐えて花を咲かせるんだよね。

私もそんな風に強くなれたらな。


眠れなくて・・・。

目を閉じるのが怖くて・・・。

家に電話をかけたの。

何度もかけたの。

お母さんの声が聞きたかったから。

でも・・・うまく打てなくって・・・。

助けて・・・。

なくなっちゃうよ・・・。

私にできること,ひとつもなくなっちゃうよ・・・。


私には,書くことがある・・・。


いいのか,あいつに知らせなくても。

いいの,授業もあるだろうし・・・。

ねえよ,ほったらかしにするなよ。

本当に着てきたんだ,タキシード。


素敵だったわ,花がいっぱいで。

・・・そうだな。

麻生くん,これ。

何?ん?

ラブレター。


麻生くんへ。

面と向かっては言えなさそうだから。

いつもそばにいてくれてありがとう。

励ましてくれてありがとう。

自分の夢を見つけていきいきと輝いている麻生くんを見ると,私も嬉しくなります。

いろんなことを学んで,いろんな人と出会って,あなたはこれからもずっとずっと生きていく。

あなたまの未来はずっと広がっている


でも私は違います。

私の未来は

この差はどうしようもありません。毎日自分と戦っています。

悩んで戦って,自分の気持ちを押さえ込んでいるのに一生懸命です。

正直に言います。

麻生くんといると,辛いです。

あんなこともしたい,こんなこともしたい,もしも健康だったらと,思ってしまうのです。

そんなんじゃ前を向いて生きていけないから。

いろいろとしてくれて,ありがとう。

こんな私のことを好きと言ってくれて,ありがとう。

何も返せない。

ごめんなさい。

もう会えません。


お父さん,お母さん,先生・・・。

私,結婚できる?

そうだよね,でもそれでもいつか,いつかが来たら,お花に包まれて眠りたい。


あなたの言うことは,いつも正しいです・・・。


過去を思い出すと,涙が出てきて困る。

現実があまりにも残酷で,厳しすぎて。


私はどこへ行けばいい?

何も答えてはくれないけど,書けば気持ちだけでも晴れてくる。


おうち,帰りたい・・・。


がんばって生きてきたな。


役に立ったんだ・・・。







今日は一日寒かったです。

朝よりも時間が経った昼前の方がよけいに寒く感じたりしました。

風邪ひいていませんか?


今お風呂上り。

寒い夜だから少し長めに入って温まってきました。

あなたは今,何の時間でしょうか?


洗濯機を回しています。

最近は風が強いから,なかなか外に干せないので,室内干しばかりです。

石油ストーブを使っているので,逆に洗濯物の乾燥は速いような気がします。

でも太陽のぬくもりがとっても懐かしいです。

洗濯干しはやっぱり天日がいいですね。


明日は仕事に少し余裕があります。

空き時間ができました。

急ぎの大事な仕事をいくつか抱えているので,てきぱきと片付けられたらいいなと考えています。

やるぞーと決めたら,時間を有効に遣いながらがんばってみたいです。


明日の天気はどうかな?

最近タイミングが悪くて,全然天気予報を観ていません。

金曜日は一日お出かけ。

寒さや風が少しでも和らぐといいのですが。


昨夜「ミンボーの女」を観ました。

たまには邦画もいいですね。

調子に乗って「タンポポ」も観ました。

「伊丹・ラーメン・ウエスタン」です。

初めて観たわけではないのですが,とっても新鮮でした。

今度は17日に「大病人」があります。

これは観たことがないので,期待しています。


映画館の映画も観に行きたいです・・・。

よかったら一緒にお願いします。



とってもおいしかった!

温かくてまろやかで優しくて。

話には聞いていましたが,実際に飲んだらすごく感激しました。

んふふ。


ハンドメイドっていいですね。

温かくて。

それに真心が通っています。

その真心がいろいろなところから伝わってきます。


12月に入ると,とても寒くなりました。

でもこのミルクティーがあれば,心も体も温まります。

作り方も教えてもらいました。

私も自分で作れるかな?




買ってきました。

たまたま見つけて食べてみたら、とってもおいしかったお菓子。

同僚にも試食してもらったら、やっぱりおいしいって!

自分が作ったお菓子じゃないけれど、何だか自分が作って褒められたようにうれしかったです。


またさっき買ってきました。

今回は5個。

もちろんあなたの分です。


今日はどんな一日でしたか?

体を壊したり、風邪をひいたりしないようにしてくださいね。


もうすぐですね。

あっと言う間に時間が迫ってきましたね。

でもアナタには少しずつ余裕が出てきたように私は感じています。

努力が形となって、少しずつ目に見えるもので蓄えられてきているからでしょう。

自信を持ってください。


今、エアコンの効いた部屋の中から。

上着は要らないくらい快適です。

でもやっぱり外は寒いですね。


この週末は何して過ごしますか?

私は何か仕事を片付けてしまいたいです。

年賀状とか・・・。

でもうまくはかどるでしょうか・・・。


時間ができたら声をかけてくださいね。

いつでも待っています。


心から愛しています。

<あらすじ>

小さな牧場で生まれた白くかわいい小羊は首につけた鈴の音から、チリンと呼ばれていた。

羊達は平和で静かな生活を続けていたが、ある日血に飢えた狼ウォーに襲撃され、チリンの父母を含め牧場の羊達はことごとく殺されてしまう。

生き残ったチリンは、復讐の念に燃えた。

そしてウォーに近づき、強い動物になるための訓練を重ねる。

時が経ち、再びウォーが牧場を襲ったが、その前に敢然とチリンが立ちふさがる。

激しい格闘のすえ、チリンは、復讐を遂げた。

そして、もう一度緑の牧場で仲間達と一緒に暮したいと思ったが、変身したチリンを仲間達はだれも受け入れようとはしなかった。

独りになったチリンは山へ帰っていった。

その後、谷間にチリンの鈴がかすかに聞こえはしたが、それっきり、チリンの姿を見たものはいなかった。



こんにちは、アメコという者です。
私は以前から「チリンの鈴」のビデオを探しています。

小さい頃に何度かレンタルで見た記憶があるのですが、今はもうどこのレンタル屋にも置いていないようで…。

もう一度見たいと思っているのですがなかなか見つからず途方に暮れていました。
もし差し支えなければどこで買ったのか教えていただけないでしょうか?

いきなりで申し訳ありません。



やっとチリンの鈴を手に入れることが出来ました!!!
(ちなみに楽天でもAmazonでも買えません)
うれしーー♪
売っているショップを教えてくれた方!どうもありがとうございましたm(_ _)m

チリンの鈴

ツタヤオンラインネット通販で買えますー