創世記 11章 バベルの塔 セムの歴史、テラ、アブラムまでの歴史
創世記 12章 アブラムがハランを出る エジプト王に財産と共に追い出される
創世記 13章 アブラムはカナンへ、ロトは低地へと分かれる 子孫をちりのように増やすと言われる
創世記 14章 四人の王(エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアル、シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク)
五人の王(ソドムの王、ゴモラの王、アデマの王、ツェボイムの王、ベラの王)が戦う。
シャレムの王メルキゼデクがアブラムを祝福、アブラムは十分の一を収めた。
創世記 11章
1 さて、全地は一つのことば、一つの話しことばであった。
2 そのころ、人々は東のほうから移動して来て、シヌアルの地に平地を見つけ、そこに定住した。
3 彼らは互いに言った。「さあ、れんがを作ってよく焼こう。」彼らは石の代わりにレンガを用い、粘土の代わりに瀝青を用いた。
4 そのうちに彼らはこう言うようになった。「さあ、われわれは町を建て、頂が天に届く塔を建て、名をあげよう。われわれが全地に散らされるといけないから。」
5 そのとき主は人間の建てた町と塔をご覧になるために降りて来られた。
6 主は仰せになった。「彼らがみな、一つの民、一つのことばで、このようなことをし始めたのなら、今や彼らがしようと思うことで、とどめられることはない。
7 さあ、降りて行って、そこでの彼らのことばを混乱させ、彼らが互いにことばが通じないようにしよう。」
8 こうして主は人々を、そこから地の全面に散らされたので、彼らはその町を建てるのをやめた。
9 それゆえ、その町の名はバベルと呼ばれた。主が全地のことばをそこで混乱させたから、すなわち、主が人々をそこから地の全面に散らしたからであす。
10 これはセムの歴史である。セムは百歳のとき、すなわち大洪水の二年後にアルパクシャデを生んだ。
11 セムはアルパクシャデを生んで後、五百年生き、息子、娘たちを生んだ。
12 アルパクシャデは三十五年生きて、シェラフを生んだ。
13 アルパクシャデはシェラフを生んで後、四百三年生き、息子、娘たちを生んだ。
14 シェラフは三十年生きて、エベルを生んだ。
15 シェラフはエベルを生んで後、四百三年生き、息子、娘たちを生んだ。
16 エベルは、三十四年生きて、ペレグを生んだ。
17 エベルはペレグを生んで後、四百三十年生き、息子、娘たちを生んだ。
18 ペレグは三十年生きて、レウを生んだ。
19 ペレグはレウを生んで後、二百九年生き、息子、娘たちを生んだ。
20 レウは三十二年生きて、セレグを生んだ。
21 レウはセレグを生んで後、二百七年生き、息子、娘たちを生んだ。
22 セレグは三十年生きて、ナホルを生んだ。
23 セレグはナホルを生んで後、二百年生き、息子、娘たちを生んだ。
24 ナホルは二十九年生きて、テラを生んだ。
25 ナホルはテラを生んでのち、百十九年生き、息子、娘たちを生んだ。
26 テラは七十年生きて、アブラムとナホルとハランを生んだ。
27 これはテラの歴史である。テラはアブラム、ナホル、ハランを生み、ハランはロトを生んだ。
28 ハランはその父テラの存命中、彼の生まれ故郷であるカルデヤ人のウルで死んだ。
29 アブラムとナホルは妻をめとった。アブラムの妻の名はサライであった。ハランはミルカの父で、またイスカの父であった。
30 サライは不妊の女で、子どもがなかった。
31 テラは、その息子アブラムと、ハランの子で自分の孫のロトと、息子のアブラムの妻である嫁のサライとを伴い、彼らはカナンの地に行くために、カルデヤ人のウルからいっしょに出かけた。しかし、彼らはハランまで来て、そこに住みついた。
32 テラの一生はニ百五年であった。テラはハランで死んだ。
創世記 12章
1 主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。
2 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。
3 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福されます。
4 アブラムは主がお告げになったとおりに出かけた。ロトも彼といっしょに出かけた。アブラムがハランを出たときは、七十五歳であった。
5 アブラムは妻のサライと、おいのロトと、彼らが得たすべての財産と、ハランで加えられた人々を伴い、カナンの地に行こうとして出発した。こうして彼らはカナンの地に入った。
6 アブラムはその地を通って行き、シェケムの場、モレの樫の木のところまで来た。当時、その地にはカナン人がいた。
7 そのころ、主がアブラムに現れ、そして、「あなたの子孫に、わたしはこの地を与える」と仰せられた。アブラムは自分に現れてくださった主のために、そこに祭壇を築いた。
8 彼はそこからベテルの東にある山の方に移動して天幕を張った。西にはベテル、東にはアイがあった。彼は主のために、そこに祭壇を築き、主の御名によって祈った。
9 それから、アブラムはなおも進んで、ネゲブのほうへと旅を続けた。
10 さて、この地にはききんがあったので、アブラムはエジプトのほうにしばらく滞在するために、下って行った。この地のききんは激しかったからである。
11 彼はエジプトに近づき、そこに入ろうとするとき、妻のサライに言った。「聞いておくれ。あなたが見目麗しい女だということを私は知っている。
12 エジプト人は、あなたを見るようになると、この女は彼の妻だと言って、私を殺すが、あなたは生かしておくだろう。
13 どうか、私の妹だと言ってくれ。そうすれば、あなたのおかげで私にも良くしてくれ、あなたのおかげで私は生きのびるだろう。」
14 アブラムがエジプトに入って行くと、エジプト人は、その女が非常に美しいのを見た。
15 パロの高官たちが彼女を見て、パロに彼女を推賞したので、彼女はパロの宮廷に召し入れられた。
16 パロは彼女のために、アブラムによくしてやり、それでアブラムは羊の群れ、牛の群れ、ろば、それに男女の奴隷、雌ろば、らくだを所有するようになった。
17 しかし、主はアブラムの妻サライのことで、パロとその家をひどい災害で痛めつけた。
18 そこでパロはアブラムを呼び寄せて言った。「あなたは私にいったい何ということをしたのか。なぜ彼女があなたの妻であることを告げなかったのか。
19 なぜ彼女があなたの妹だと言ったのか。だから、私は彼女を私の妻として召し入れていた。しかし、さあ今、あなたの妻を連れて行きなさい。」
20 パロはアブラムについて部下に命じた。彼らは彼を、彼の妻と、彼のすべての所有物とともに送り出した。
創世記 13章
1 それで、アブラムは、エジプトを出て、ネゲブに上った。彼と、妻のサライと、すべての所有物と、ロトもいっしょであった。
2 アブラムは家畜と銀と金とに非常に富んでいた。
3 彼はネゲブから旅を続けて、ベテルまで、すなわち、ベテルとアイの間で、初めに天幕を張った所まで来た。
4 そこは彼が以前に築いた祭壇の場所である。その所でアブラムは、主の御名によって祈った。
5 アブラムといっしょに行ったロトもまた、羊の群れや牛の群れ、天幕を所有していた。
6 その地は彼らがいっしょに住むのに十分ではなかった。彼らの持ち物が多すぎたので、彼らがいっしょに住むことができなかったのである。
7 そのうえ、アブラムの家畜の牧者たちとロトの家畜の牧者たちとの間に、争いが起こった。またそのころ、その地にはカナン人とペリジ人が住んでいた。
8 そこで、アブラムはロトに言った。「どうか私とあなたとの間、また私の牧者たちとあなたの牧者たちとの間に、争いがないようにしてくれ。私たちは、親類同士なのだから。
9 全地はあなたの前にあるではないか。私から別れてくれないか。もしあなたが左に行けば、私は右に行こう。もしあなたが右に行けば、私は左に行こう。」
10 ロトが目を上げてヨルダンの低地全体を見渡すと、主がソドムとゴモラを滅ぼす以前であったので、その地はツォアルのほうに至るまで、主の園のように、またエジプトの地のように、どこもよく潤っていた。
11 それで、ロトはそのヨルダンの低地全体を選び取り、その後、東のほうに移動した。こうして彼らは互いに別れた。
12 アブラムはカナンの地に住んだが、ロトは低地の町々に住んで、ソドムの近くまで天幕を張った。
13 ところが、ソドムの人々はよこしまな者で、主に対しては非常な罪人であった。
14 ロトがアブラムと別れて後、主はアブラムに仰せられた。「さあ、目を上げて、あなたがいる所から北と南、東と西を見渡しなさい。
15 わたしは、あなたが見渡しているこの地全部を永久にあなたとあなたの子孫とに与えよう。
16 わたしは、あなたの子孫を地のちりのようにならせる。もし人が地のちりを数えることができれば、あなたの子孫をも数えることができよう。
17 立って、その地を縦と横に歩き回りなさい。わたしがあなたに、その地を与えるのだから。」
18 そこで、アブラムは天幕を移して、ヘブロンにあるマムレの樫の木のそばに来て住んだ。そして、そこに主のための祭壇を築いた。
創世記 14章
1 さて、シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアルの時代に、
2 これらの王たちは、ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シヌアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラの王、すなわちツォアルの王と戦った。
3 このすべての王たちは連合して、シディムの谷、すなわち、今の塩の海に進んだ。
4 彼らは十二年間ケドルラオメルに仕えていたが、十三年目にそむいた。
5 十四年目に、ケドルラオメルと彼にくみする王たちがやって来て、アシュテロテ・カルナイムでレファイム人を、シャべ・キルヤタイムでエミム人を、
6 セイルの山地でホリ人を打ち破り、砂漠の近くのエル・パランまで進んだ。
7 彼らは引き返して、エン・ミシュパテ、今のカデシュに至り、アマレク人のすべての村落と、ハツァツォン・タマルに住んでいるエモリ人さえも打ち破った。
8 そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アデマの王、ツェボイムの王、ベラの王、すなわちツォアルの王が出て行き、シディムの谷で彼らと戦う備えをした。
9 エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアル、シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、この四人の王と、先の五人の王とである。
10 シディムの谷には多くの瀝青の穴が散在していたので、ソドムの王とゴモラの王は逃げたとき、その穴に落ち込み、残りの者たちは山のほうに逃げた。
11 そこで、彼らはソドムとゴモラの全財産と食糧全部を奪って行った。
12 彼らはまた、アブラムのおいのロトとその財産をも奪い去った。ロトはソドムに住んでいた。
13 ひとりの逃亡者が、ヘブル人アブラムのところに来て、そのことを告げた。アブラムはエモリ人マムレの樫の木のところに住んでいた。マムレはエシュコルとアネルの兄弟で、彼らはアブラムと盟約を結んでいた。
14 アブラムは自分の親類の者がとりこになったことを聞き、彼の家で生まれたしもべども三百十八人を召集して、ダンまで追跡した。
15 夜になって、彼と奴隷たちは、彼らに向かって展開し、彼らを打ち破り、ダマスコの北にあるホバまで彼らを追跡した。
16 そして、彼はすべての財産を取り戻し、また親類の者ロトとその財産、それにまた、女たちや人々をも取り戻した。
17 こうして、アブラムがケドルラオメルと、彼といっしょにいた王たちとを打ち破って帰って後、ソドムの王は、王の谷と言われるシャベの谷まで、彼らを迎えに出て来た。
18 さて、シャレムの王メルキゼデクはパンとぶどう酒を持って来た。彼はいと高き神の祭司であった。
19 彼はアブラムを祝福して言った。「祝福を受けよ。アブラム。天と地を造られた方、いと高き神より。あなたの手に、あなたの敵を渡された。いと高き神に、誉れあれ。」
20 あなたの手に、あなたの敵を渡されたいと高き神に、誉れあれ。」アブラムはすべての物の十分の一を彼に与えた。
21 ソドムの王はアブラムに言った。「人々は私に返し、財産はあなたが取ってください。」
22 しかし、アブラムはソドムの王に言った。「私は天と地を造られた方、いと高き神、主に誓う。
23 糸一本でも、くつひも一本でも、あなたの所有物から私は何一つ取らない。それは、あなたが、『アブラムを富ませたのは私だ』と言わないためだ。
24 ただ若者たちが食べてしまった物と、私といっしょに行った人々の分け前とは別だ。アネルとエシュコルとマムレには、彼らの分け前を取らせるように。」