創世記 1章 神が天と地を創造した6日間

創世記 2章 7日目 人を作った経緯

創世記 3章 蛇の誘惑、人類初めの罪

 

 

創世記 1章


1 初めに、神が天と地を創造した。

2 地は茫漠として何もなかった。やみが大水の上にあり、神の霊が水の上を動いていた。

3 神は仰せられた。「光あれ。」すると光があった。

4 神は光を見て良しとされた。神は光とやみを区別された。

5 神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕があり、朝があった。第一日。

6 神は仰せられた。「大空の水の真っただ中にあれ。水と水との間に区別があれ。」

7 神は大空を造り、大空の下の水と、大空の上の水とを区別された。そのようになった。

8 神は大空を天と名づけられた。夕があり、朝があった。第二日。

9 神は仰せられた。「天の下の水が一所に集まれ。かわいた所が現れよ。」そのようになった。

10 神はかわいた所を地と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神はそれを見て良しとされた。

11 神は仰せられた。「地が植物、すなわち種を生じる草やその中に種がある身を結ぶ果樹を、種類にしたがって、地の上に芽ばえさせよ。」そのようになった。

12 地は植物、すなわち種を生じる草を、種類にしたがって、またその中に種がある実を結ぶ木を、種類にしたがって生じさせた。神はそれを見て良しとされた。

13 夕があり、朝があった。第三日。

14 神は仰せられた。「光る物が天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のためにあれ。

15 また天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」そのようになった。

16 神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。

17 神はそれらを天の大空に置き、地上を照らさせ、

18 また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神はそれを見て良しとされた。

19 夕があり、朝があった。第四日。

20 神は仰せられた。「水には生き物が群がれ。鳥が地の上、天の大空を飛べ。」

21 神は、海の巨獣と、種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神はそれを見て良しとされた。

22 神はそれらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は地にふえよ。」

23 夕があり、朝があった。第五日。

24 神は仰せられた。「地が、種類にしたがって、生き物を生ぜよ。家畜や、はうもの、野の獣を、種類にしたがって。」そのようになった。

25 神は、種類にしたがって野の獣を、種類にしたがって家畜を、種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神はそれを見て良しとされた。

26 神は仰せられた。「さあ人を造ろう。われわれのかたちとして、われわれに似せて。彼らが、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配するように。」

27 神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。

28 神は彼らを祝福された。神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」

29 神は仰せられた。「見よ。わたしは、全治の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与える。それがあなたがたの食物となる。

30 また、地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える。」

31 神はお造りになったすべてのものを見られた。見よ。それは非常に良かった。夕があり、朝があった。第六日。

 

 

創世記 2章


1 こうして、天と地とそのすべての万象が完成された。

2 神は第七日目に、なさっていたわざの完成を告げられた。すなわち第七日目に、なさっていたすべてのわざを休まれた。

3 神は第七日目を祝福し、この日を聖であるとされた。それは、その日に、神がなさっていたすべての創造のわざを休まれたからである。

4 これは天と地が創造されたときの経緯である。神である主が地と天を造られたとき、

5 地には、まだ一本の野の潅木もなく、まだ一本の野の草も芽を出していなかった。それは、神である主が地上に雨を降らせず、土地を耕す人もいなかったからである。

6 ただ、水が地から湧き出て、土地の全面を潤していた。

7 神である主は土地のちりで人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで人は生きものとなった。

8 神である主は東の方エデンに園を設け、そこに主の形造った人を置かれた。

9 神である主は、その土地から、見るからに好ましく食べるのに良いすべての木を生えさせた。園の中央には、いのちの木、それから善悪の知識の木を生えさせた。

10 一つの川が、この園を潤すため、エデンから出ており、そこから分かれて、四つの源となっていた。

11 第一のものの名はピション。それはハビラの全土を巡って流れる。そこには金があった。

12 その地の金は、良質で、また、そこにはベドラハとしまめのうもあった。

13 第二の川の名はギホン。それはクシュの全土を巡って流れる。

14 第三の川の名はティグリス。それはアシュルの東を流れる。第四の川、それはユーフラテスである。

15 神である主は人を取り、エデンの園に置き、そこを耕させ、またそこを守らせた。

16 神である主は人に命じて仰せられた。「あなたは、園のどの木からでも思いのまま食べてよい。

17 しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはならない。それを取って食べるとき、あなたは必ず死ぬ。」

18 神である主は仰せられた。「人が、ひとりでいるのは良くない。わたしは彼のために、彼にふさわしい助け手を造ろう。」

19 神である主は土からあらゆる野の獣と、あらゆる空の鳥を形造り、それにどんな名を彼がつけるか見るために、人のところに連れて来られた。人が生き物につける名はみな、それがその名となった。

20 人はすべての家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名をつけた。しかし人には、ふさわしい助け手が見つからなかった。

21 神である主は深い眠りをその人に下されたので、彼は眠った。そして、彼のあばら骨を一つ取り、そのところの肉をふさがれた。

22 神である主は、人から取ったあばら骨をひとりの女を造り上げ、その女を人のところに連れて来られた。

23 人は言った。「これこそ、今や、私の骨からの骨、私の肉からの肉。これを女と名づけよう。これは男から取られたのだから。」

24 それゆえ男はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのである。

25 人とその妻は、ふたりとも裸であったが、互いに恥ずかしいとは思わなかった。

 

 

 

創世記 3章


1 さて、神である主が造られたあらゆる野の獣のうちで、蛇が一番狡猾であった。蛇は女に言った。「あなたがたは、園のどんな木からも食べてはならない、と神は、ほんとうに言われたのですか。」

2 女は蛇に言った。「私たちは、園にある木の実を食べてよいのです。

3 しかし、園の中央にある木の実について、神は、『あなたがたは、それを食べてはならない。それに触れてもいけない。あなたがたが死ぬといけないからだ』と仰せになりました。」

4 そこで、蛇は女に言った。「あなたがたは決して死にません。

5 あなたがたがそれを食べるその時、あなたがたの目が開け、あなたがたが神のようになり、善悪を知るようになることを神は知っているのです。」

6 そこで女が見ると、その木は、まことに食べるのに良く、目に慕わしく、賢くするというその木はいかにも好ましかった。それで女はその実を取って食べ、いっしょにいた夫にも与えたので、夫も食べた。

7 このようにして、ふたりの目は開かれ、それで彼らは自分たちが裸であることを知った。そこで、彼らは、いちじくの葉をつづり合わせて、自分たちの腰のおおいを作った。

8 そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神である主の声を聞いた、それで人とその妻は、神である主の御顔を避けて園の木の間に身を隠した。

9 神である主は、人に呼びかけ、彼に仰せられた。「あなたは、どこにいるのか。」

10 彼は答えた。「私は園で、あなたの声を聞きました。それで私は裸なので、恐れて、隠れました。」

11 すると、仰せになった。「あなたが裸であるのを、だれがあなたに教えたのか。あなたは、食べてはならない、と命じておいた木から食べたのか。」

12 人は言った。「あなたが私のそばに置かれたこの女が、あの木から取って私にくれたので、私は食べたのです。」

13 そこで、神である主は女に仰せられた。「あなたは、いったいなんということをしたのか。」女は答えた。「蛇が私を惑わしたのです。それで私は食べたのです。」

14 神である主は蛇に仰せられた。「おまえが、こんな事をしたので、おまえは、あらゆる家畜、あらゆる野の獣よりものろわれる。おまえは、一生、腹ばいで歩き、ちりを食べなければならない。

15 わたしは、おまえと女との間に、また、お前の子孫と女の子孫との間に、敵意を置く。彼は、お前の頭を砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく。」

16 女にはこう仰せられた。「わたしは、あなたのうめきと苦しみを大いに増す。あなたは、苦しんで子を産まなければならない。しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼は、あなたを支配することになる。」

17 また、人に仰せられた。「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。

18 土地は、あなたのために、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。

19 あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたはちりだから、ちりに帰らなければならない。」

20 さて、人は、その妻の名をエバと呼んだ。それは、彼女がすべて生きているものの母であったからである。

21 神である主は、アダムとその妻のために、皮の衣を作り、彼らに着せてくださった。

22 神である主は仰せられた。「見よ。人はわれわれのひとりのようになり、善悪を知るようになった。今、彼が、手を伸ばし、いのちの木からも取って食べ、永遠に生きないように。」

23 そこで神である主は、人をエデンの園から追い出されたので、人は自分がそこから取り出された土を耕すようになった。

24 こうして、神は人を追放して、いのちの木への道を守るために、エデンの園の東に、ケルビムと輪を描いて回る炎の剣を置かれた。