ウジウジグズグズした


こんな状態を私を見かねた男友達が、


ある男性を紹介してくれました。





結局今の状態から立ち直るには、


新しい彼氏なんだろう、と


紹介してくれた、Nさん。






私も、都合がいいかもしれないけど、


このままトントンとすんなり事が運んで、


『あなた』のことなんてすっかり、ポッカリ忘れた顔して


ルンルンラブラブと新しい恋に燃えられたら、


すごくラク だろうな、って。










東京生まれの『あなた』とは違う地方出身で、


『あなた』よりもズーンとアップ背が高くて、


『あなた』よりも私と年齢が近くて、


『あなた』よりもわかりやすい優しさで、



素朴で、とてもいい人です。





そしてなんともありがたいことに、


私をとても気に入ってくれました。






初めて2人で会った時、


不動産屋さんで働くNさんに、


「どうして不動産屋さんで働こうと思ったの?」


と聞いてみました。





自分が福島から東京に出て来た時、


当然だけど、


不動産屋さんで紹介してもらって、


一人暮らしを始めた。


不動産屋さんに、


自分が新しく住む場所を紹介してもらって、


自分の新しい生活が始まった。


引越しをすると毎回、新しい生活は


不動産屋さんが紹介してくれる。


東京や横浜はずっと憧れの街で、


大好きな場所だから、


いろんな人に紹介してあげたいから、


だから不動産屋さんになろうと思った。






私だって、自分がどうして今の仕事に就いてるか


こんなにはっきり説明できないな、


って思った。


素朴で地道だけど、


ちゃんと自分のこと考えて、


自分で選んで、


自分の人生をちゃんと生きてる人だな、


って思った。










でも、



でも、










Nさんが私の目を覗くたびに、


グラスを傾けるたびに、


だし巻き卵を口に運ぶたびに、


トイレに立つたびに、


微笑むたびに、


頑張って私の質問に答えるたびに、


声を上げて笑うたびに、


慌てて弁解するたびに、


感情を秘めた眼差しを注ぐたびに、













私の前には『あなた』が現れました。


いちいち、いちいち、


『あなた』が浮かんで、


Nさんを隠して、


あまりNさんが見えません。






もう、


勘弁してもらえませんか?



もう、


私を解放してもらえませんか?










だから、了解しました。








「yellowfrogさんの誕生日はいつ?」


「もうすぐ」


「その日は、オレ予約してもいい?」







「うん・・・」




゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ つづく゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚