10年以上前、私はブリードルームがまだ無く、発泡スチロール箱による
温度管理にて細々とした飼育をやっていた時に、どうしても飼育してみたかった
クワガタがいました。
その種とは、南フランス産の『ヨーロッパミヤマ(ケルブス)』です。
トルコ・シリア産亜種のユダイクスミヤマやアクベシアヌスミヤマのほうが、
大型になりますが、個人的には、ケルブスの大アゴの色が好みです。
張り出した頭部から大アゴの先端までワインレッド色の個体を、
当時のとある大昆虫展の生体展示で初めて目にしました。
迫力ある大アゴと鮮やかなワインレッド色に惚れ、飼ってみたいと
思いましたが、調べると低温飼育が望ましい種類なので、尻込みして
まったく手を出せませんでした。
気づけば、カブクワ飼育にドップりハマり、いつの間にかエアコン完備による
20~22℃の飼育部屋を持ち、アンタエスオオクワガタ等の低温種をブリードできる
17~19℃の環境もできています。
(こうやってあれもこれもと手を出してると徐々に収拾がつかなくなっていくんですね・・・)
メイン飼育種のヘラクレスやグランディスオオクワ、ギラファノコギリの
世話に追われ、久しく忘れていましたが、低温環境を持っているのなら、
いけるんじゃないの?ケルブス飼育・・・・と呟いたのが先月10月頃です。
久々に生体購入のお客として専門店へ行き、物色しました。
ケルブスの2令幼虫(2018年7月孵化)を購入し、飼育開始✊です。
この種は菌床ではなくマット飼育が主流なので、ヘラクレスなどで培った
感覚で発酵マットをブレンドし、挑戦してみます。
最近、3令になりましたので、プリンカップ860ccからお引越しです。
※下記作業はケルブスのマット交換光景の写真です。

ユダイクスやアクベシアヌスほどは大型にならないので、
♂は1400ccで良いでしょう。
♀は羽化まで800cc程度でよいのですが、プリンカップのままだと
食い破る可能性もありますので、♂♀ともにクリアボトルにしました。

『ぎゅっと握って水が染み出さない程度』は基本ですが、
カブトムシ幼虫よりも水分もやや追加で、多めにします。
ベチャベチャにするとマットが変色し腐ってしまうので、
ギリギリの水分量を見極めます。

一応、クワガタなので、ビンにマットを堅詰めしていきます。
菌糸ビン詰めのようにキツキツにしなくても良いですが、
マットをフワフワに入れた場合、育たないってどこかで聞いた気が・・・。

ビンの八割くらいまでマットを入れます。
これ以上入れますと、幼虫が穿孔したときにフタの裏側まで
マットが詰まってしまい、酸欠になります。
マット上部とフタとの間に空間が必要ですね。
対策をしてもそのうちマットがフタの裏に迫ると思いますので、
せり上がってきたマットは定期的に取り除きます。

幼虫が潜りやすいよう、指で穿孔穴をつくります。

これで準備完了なのですが・・・・警戒すべきは『再発酵』!!
初心者時代はこの『再発酵』に何度やられたことか・・・。
マット飼育種の初令や2令をこの『再発酵』で死なせてしまったことがあります。
「高額な大型血統幼虫」から始まり、南米便カブトムシのレア種幼虫まで・・・。
さすがにもう、ここ数年はこの手の失敗は無くなりましたが・・・。

すぐに幼虫は入れずに、数日間待ちます・・・・。
一応ガス抜きしているのですが、あれだけ水分を追加しますと・・・、
2日目にはビン側面が曇って結露もできていました。
ビンを触った感じ、あったかいので、やはり『再発酵』でした。
添加発酵マット飼育恒例の現象ですね。
~待ちますこと3日後~
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ビンの発熱が収まり・・・・、

プリンカップをひっくり返して幼虫を出しました。
雌雄判別していきます。
上の写真左が♀です。尻に黄紋がありますね。
右側がたぶん♂です。頭幅や尻の黄紋有無で何とか判別・・・・。

3令初期なので、ここから一気に成長します。
大事な時期ですね。

幼虫を投入し、しばらくお別れです。

次回交換は4~5か月後の来年3~4月頃かと思います。
カブトムシの幼虫に比べ、食が細そうなので、
じっくり喰いあがってもらいます。
(低温飼育だから交換の間隔が長くなると思います。)
現段階では2年1化か1年1化のどちらか分かりませんが、
時間かかりそうな飼育種なので、気長に待ちます。
羽化したら販売できるかも未明ですが、メイン飼育種に
昇格するかどうかも分かりませんね。
どうしょうもない小型サイズで羽化したら、笑ってください(-_-;)
こんだけ準備をして♂50mmupとかだったら飼育撤退!?
どうなることやら・・・。
以上です。