先ほど田舎で、こんな者がいたので諭したところ、一か月で孝行者になった。親も子も互いの悪いところを論じてはいけない。そんなのは人ではない。おそらく不孝の原因は育て方が悪かったのであって、恨んではならない。悔みなさい。その不孝者も子供を悪く育ててしまい、自分が不孝したことを育ちが悪いと省みず、子どもに向かって怒ることは多い。

 

こういう人は仁義礼智の四つを身に着けさせようとしても、そういう教えを聞いたこともなければ道も知らない。不孝が普段からの行いとなって、悪いことだとは思っていない。山家[1]などに親と喧嘩する者がいる。大不孝者と思ってみていると、喧嘩は普段からの会話で、親も子供も気にしていないようだ。心底甚だ仲が良いのを見ることがある。こういう人たちにも教えれば何の問題もない孝行な子供となるだろう。

 

道の至らないところというのはないものだ。教えの重要さをよく理解しなさい。

 


[1] 山奥の田舎暮らし。

 

親の職業によるところがあるように思えます。B2Cの対面取引の商売であれば、特に高い商品を扱う場合は普段から言葉を丁寧にするか、お買い得品を扱う商売なら勢いと楽しさを重視します。外で普段から喋っている言葉を、家に帰って切り替えるというのは結構難しいものですよ。

 

で、命の危険がある職業、例えば林業は昔は倒れてきた木に潰されて死亡事故なんて言うのはよくあった話ですし、農業と比べて漁業は一瞬の判断ミスで死人が出ますので、荒っぽくても的確なことを言わないと危険なんでそういう会話になります。江戸弁も無茶苦茶ですよね。ですが、柔らかくはんなりと嫌味タラタラよりはずっといいと思います。

 

要は、中身をちゃんと見て、行動を見て判断ということでしょうか。