『陰騭録[1]』という人が陰徳をして家が栄え、悪をして滅んだ人の事例を集めた本がある。これを買って家の人によみきかせてやりなさい。多くは財産が溜まっていくほどに、親類や貧しい者から逃れるようになり、兄弟親類友人を救うことをしなくなり、自分が好きな人の世話をするようになり、出入りの物でも機転の利く者達には支援をしてやり、正しく生きている貧しい者たちは助けない。

 

こういう心ではその家は一旦栄えたとしても、先祖の報いが尽きてしまうと天と人は嫌うようになって一挙に破綻していく。だいたい人が貧乏になるか金持ちになるか理屈では表せないことである。

 


[1] 『陰騭録(いんしつろく)』は、袁了凡(えん りょうぼん)が著した書籍。善書の一種であり、『了凡四訓』とも呼ばれる。

 

 

一昨日中国人と陰徳善事の話をしましたが、支那にこういう本があるじゃないですか。この一冊だけでなく、多分いくつもあったんだと思いますよ。文化大革命でこういう本は片っ端から焼かれ、教えられる人は人民の敵として断頭台の露と消えてしまったからでしょう。

 

でもねぇ、支援したくなくなるのもわかりますよ。それまで散々「お前なんかにできる訳がない」とか「ご先祖に申し訳ない」とこき下ろしてたのが急に手揉みしながらご機嫌伺いに来る連中っていますよ。まだそのくらいならまだしも、いかに今の生活が大変かを延々と脇で愚痴を言う、もう聞きたくないって。そういうのは流石に相手にしたくないですね。それこそ因果応報ってもんです。助けてほしければまずは過去の非礼をわびた上で、可愛げというのが必要です。

 

生活ステージが変わればそれぞれ会話する内容が変わりますし、行動パターンも変わります。それでも会話をするのって、ほぼ不可能に近い話です。それだったらまだこれから伸びそうな人を支援したほうがずっと楽しいものです。ただそれをやると混乱するから、本家とか分家の関係でガチガチにしたのでしょう。