さて、陰徳についてお尋ねだが、これについて話をし始めると幅広くなる。だからなかなか簡単には説明できない。そのあらましを簡単に言うならば、陰徳は隠れた徳のことである。人に物を与え世話をしても、それを恩に着せる意思がなく、人にも言わない事である。

 

徳を施すのは当分の間は全て損になるから、それを実行するのは希である。多くの人は僅かな世話をしたぐらいで、自分は世話をしたのにお返し足りないと不満を言う事がある。

 

これは金を貸したように考えて、利息を取ろうと思う心からこうなる。こういうのは最初から陰徳ではない。例え金銀や土地を多く代々持っていたとしても、自分の育て方が疎かで、子孫が驕るようになりどれほど身を慎んだところで、金はどんどん出て行ってしまう。

 

こういうように、躾が最も重要である。持っている財産に応じて陰徳をすべきである。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

日本はよく寄付する人が少ないという人がいますが、大間違いです。アメリカの大金もちが寄付をするのは税金対策です。自分が持っている株を財団に寄付して、そこから給料をもらうことにする。その金額は半端ではありません。そして相続税対策にもなります所得税対策にもなります。だから基金の大きさの割には実際の活動資金はかなり低いですよ。むしろ日本は陰徳善事の伝統が強く、表にしたがりません。表にして目立つのは格好悪い行為です。例えば大隈重信・・・こうはなりたくないですね。

 

これについて中国人と話をしたことがあります。このとき、何でそんな隠すのか?と言われました。わざわざ目立つようなことをして変なのに絡まれたくない、また自分が支援して有名になった芸人や事業が、実は自分のお陰だと陰で見ている方が格好いいからだと説明しましたが、どうも納得していなかったようです。前半はすぐに理解したようですけど。

 

おっさんは陰徳善事を好むか好まざるかはわかりませんが、そういうもんだと対応しますが、おばさんは矢鱈言いたがる人が多いですね。あれは言うだけマイナス評価になるので、本当にこれはしゃれにならんという事だけ言うことにしておいた方がいいですよ。