遣いに来たものを可愛がってやり、依怙贔屓で自分の気に入ったものに偏って贔屓をすることなく、忠義なものを褒めてやり、不忠なものには異見してやり、それでもだめなら早く辞めさせなさい。また子供に対しては召使のいうことをよく聞きなさいと教えなさい。だいたい下の者のいうことを聞くのを嫌がるので、家のためになることであっても言わなくなるものだ。

 

とかく自分だけでは行き届かないことが多いので、他人が言う事にもいいことがあると思っていれば、良いことにも悪いことにも、人は言ってくれるものだ。それを聞いてよい所は受け取り、悪いことは見合わせなさい。悪いからといって拒否まではしないように。

 

言うまでもなく今は悪くても、場合によっては良く用いるものだ。愚か者が言う事には、随分名言があるものだ。

 

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厄介なのは、年齢が上だから「俺様のいうことを聞け」というのです。こういうのは本当に厄介、老害としか言いようがないです。こうはなりたくないものだとは思いながらも、老人になるとこういうところは少なからず出てきてしまうんでしょうね。仙厓商人の老人六歌仙を思い出しました。

 

  一、 しわがよる ほくろができる 腰曲がる 頭が禿げる ひげ白くなる
  二、 手は震う 脚はよろつく 歯は抜ける 耳は聞こえず 目はうとくなる
  三、 身に添うは 頭巾(ずきん) 襟巻き、 杖、眼鏡、湯婆、温石、尿瓶、孫の手
  四、 聞きたがる 死にともながる 淋しがる 心がひがむ 欲深くなる
  五、 くどくなる 短気(きみじか)になる 愚痴になる 出しゃばりたがる 世話やきたがる
  六、 またしても 同じ話に 子を褒める 達者自慢に 人はいやがる

 

いやいやそういう話ではなく、最初から決めつけずに話は聞いてやれよと言う事なんでしょう。ただ、くどいのは本当に腹が立ちます。お前は暇だろうが、こっちは忙しいんだと言いたくなることもありますが。あまりやると、下の者が逃げ出しますんで、忍耐が必要になるのでしょう。

 

忍耐は嫌ですけど、気にならなくなるというのであればできそうな気もしますよね。