親はこの道理をよく子供に理解させ、地頭の方々が学問をして武芸に励むのは国家を治めるためで、我々に安心して仕事ができるようにさせようとするためで、他人事のように考えてはいけないと教えなさい。そうすれば、自然と地頭のありがたみが分かるだろう。

 

また、常に地頭と親と主人を有難く、どれだけ自分が言う事に正当性があっても思い通りにならないことを教えなさい。子どもの時にこういうことを教えないから、下手をすると地頭を怨み主人に背き、親子喧嘩をして粗略になる。とにかく我がままでは、自分の願いが叶うことはない。第一に我がままでは親を恐れず、親に見限られ、親族友人に疎まれて、召使に疎まれて、その結果自分の願いはかなわない。その時になって恨んだところでどうしようもない。多くはよその地域に行って悪さをして、あるいは奉公に出ても辛抱しきれずに、後で破綻することになる。

 

幼い頃から好き勝手するのは良くないと教えなさい。

 

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今の時代だと職業の選択の自由があるので、そのまま今に当てはめるのは難しいです。能力があればある程度できますが、この辺り勘違いしている人が多い気がしてなりません。

 

1 努力すれば能力が伸びる

そんなことはないでしょう。努力しても駄目なものは駄目。恵比寿屋さんの外国語嫌いは相当なもので、かなり努力しましたが特に英語は駄目ですね。

 

2 能力があるからといってなれる

それもそんなことはありません。野球の大谷も、今の時代だから野球選手として食っていける訳で、野球そのものがなかった江戸時代に生まれたなら、石礫の猟師になっていたかもしれません。社会から求められなければ、ただの無駄な能力なんですよ。

 

3 いつかきっと

一番危険な発想です。時間も金は有限ですよ。始めるのは早く、ダメならさっさと諦める努力も必要です。

 

ならば自分の需要を作り出すように努力する方が余程いいと思いますね。