「世の中はタヌキや狐の化けくらべ。尻尾が出て来る前に穴の中に入ったほうがよい。私も市中をぶらついて町同心につかまらないうちに、身を修め心正しくありたいものだ。さあ、元の祠に戻りましょう。」

 

と貧乏宇賀神の頭を踏んづけようとすると、破れ団扇で扇いで入れてくれよ、同居しようと詫びを入れる。白髪頭を振りながら

 

「私の打ち出の小づちを奪い取り、財布をこんな風に被らせて、貧乏神のお供として富貴の家には入れない。世の中生きていこうとすればこの世は浮世。浮きつ、沈みつはてしない。私も久しく牡丹餅を食べていないが、棚を探せば運は棚に、牡丹餅は天にあるのだ。」というと、夢から覚めましたとさ。

 

君が代は いやしくなりぬ ためしには かねてぞたのむ かひもちなし

 

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幸運が欲しければ天に祈るより、自分で探す努力を知ろという終わり方でした。

 

ファンタジーとしては・・・・物語を作るには人物を作り込むことが一番重要と言われていますが、これの場合は胡蝶の夢落ちみたいな感じなのでふわっとしていますね。