神武天皇が東を征めになったとき、椎根津彦[1]に蓑と笠をつけさせて老人のような姿をさせて、敵の中に侵入させ秘かに天香具山[2]の土地を取り返し、その土を使って八十平瓮[3]と八十厳瓮[4]をおつくりになり、天皇自ら物忌みをされた。天の神と地の神を祀ると敵はひれ伏して天下は安定した。敵の中に入り込んで隠れたので隠れ蓑という。ここから世間で言われている隠れ蓑隠れ笠と言われるものでだ。宝物だと言われているのでここに記しておく。鍵は扉を開けるものであるから、宝物という。これは役に立つからである。

 


[1] 椎根津彦(しいねつひこ)は、東征において速吸門で出会った国津神で、船路の先導者となる。

[2] 奈良県橿原市にある山。

[3] 八十平瓮(やそひらか)は神事に使われる平皿。

[4] 厳瓮(いつべ)は土器の壺。

    

ひらか

青島神社のHPより

 

土器をかわらけというようです。神武天皇の東征はちょっと前に読んだと思ったのですが、こういう話はあったっけ?年を食うと読んだ本も忘れてしまうので・・・

 

話からすると椎根津彦は今でいう諜報活動をやったようです。