先祖の苦労を何とも思わず、金は天から降ってくるかのように思い、自分の見栄のた目に遣うのは先祖や親の恩を忘れるのと同じ罪である。これ以上の罪はない。先祖から譲られた資産は自分のためだけに与えられたものではない。子孫が続くように与えられたものであって、自分の先祖の遺志を継いで驕りを慎み質素倹約を守り、自分が死んで子供たちに譲るとき親から譲られたもの以下になるようなことがないようにすることを孝行とすべきである。

 

さて親が貧乏で譲る者がない場合は、その子供はしっかりと稼いで立身して、家を買って藏を建てて両親を安楽に隠居させて、喜ばせるのをこの上もない孝行というべきだ。

 

となれば家柄がいい家ならば当然のこと、貧乏な親がいたとしても自分は実直に家を治め、子孫に何の問題もなく資産を譲り渡すことが、町人としての本望である。だからよくよくこの意味を理解して守りなさい。

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今でこそ見なくなりましたが、裁判所の競売物件のコーナーに行くといわゆる三点セットが置いてありました。そこには、陳述書というのがありまして、どういう経緯で誰から借金して、何があって返せなくなったのか、そして競売に至るまでの話が書いてあります。

 

火曜サスペンス劇場のように殺人事件こそ起きませんが、それに近い話が結構ありました。あれって現実なんですね。真面目に働いていたのに家を建てたらすぐに会社倒産、職を探しに嫁も外に出たはいいけど浮気が始まりそのままドロン、夫は長距離トラック運転手になったけども事故で働けなくなり、孫とばあちゃんの二人きりで・・・みたいなことが結構あるんですよ。

 

これはまだ序の口で、相当な土地持ちだったのですが、投資に失敗してお金を持っていかれ、次の投資話で一発逆転を望んだがまた同じことを繰り返して、3回目に遂に自己破産。流石にこれは事前に防止できたでしょう。

 

貧すれば鈍するとは言いますが、取り戻そうとして向かないことをやって、いいカモにされてしまう。本当にそう思いますよ。投資の格言に、「腹が減っているときに買い物をしてはならない」というのがあります。こういうことは起きないように、成功事例だけでなく失敗事例もしっかり学びましょう。