本家も別家も共に心得るべきことがある。

 

特に本家は元の家の事であるから、本家の方に備えなければならないことである。その備えというのは、常に主人の心が正しくあることだ。

 

「その元が乱れて末が治まることなし」という金言があるように、本家の主人が不心得者であれば、その風儀は別家に感染して行儀が悪くなる。その上本家を侮辱するようになり、どんな事であっても指示に従わなくなるようになる。

 

こういうことから、まずは心構えと行動を正しく、家を継続し、その上で別家した者たちを弟のように可愛がり、どんなことでも親切に親しんで、それぞれの家を経営していけば、その志に従うようになり、本家を大切にするようになり、何事であっても本家を頼もしく思うようになり、指図に従うものだ。ここ数年のろくでもない本家の話を聞くと、身持ち不行状で散財し、別家に資金を出すように申しつけるように横柄な態度で要求し、面白くないと暖簾を取り上げると脅したりする。こんな事が続けば、別家の者も暖簾を返す気になって資金融通を断るようになり、それどころかお上に告発し、連絡すらつかなくなる。そのうち、資金融通も要求できないようになり、商売どころか家財を売り払い、従業員もいなくなって其日暮らしになって行くのを数々見てきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今で言ったら本店支店関係でしょうか、それとも親会社子会社でしょうか。法的に支配関係になるとはいえ、やり過ぎますとひずみが出てきます。

 

本店が支店を見下し、親会社が子会社を見下しという話はよく聞きます。実際、子会社で採用された人が本社に移り社長になる例はあまり聞きませんし、管理職になることすら滅多に聴きません。優秀であればどんどん出世させればいいのですが、定年退職して取締役にするほどではないが、まるっきり馬鹿でもないとどう扱うか、子会社の社長にさせて数年居たらバイバイというのが最近までの流れでした。

 

今は定年延長でそういうこともあまりやらなくなってきたようですが。まあ、そういう社長ってあんまりいい感じの人はありいませんね。ちゃんとした人を送るとやはり業績も良くなるもんです。