過去の経緯は別として、高橋教授は金融政策をすべきだと主張しています。つまり、金利を下げて企業や個人が借金しやすいようにしろというものです。

 

NHKの報道が正しいとしましょう。

 

これによると、使い道がないと言っています。私の実感からしても、これは妥当だと思っています。この状況下で、新規で家を買おうと思う人は多いでしょうか?自動車を買おうと思っても生産が滞っています。日本の基幹産業がまともに稼働していない状態なのです。つまりお金が回らない、だから金を借りやすくしたところで、借りて投資に使おうなんていないのは当たり前です。

 

銀行に行って聞いてみてください。日銀がどれだけ圧力かけて、「お前の支店は数字を達成していない」と締め上げられているか。これ以上貸すとなれば、裏社会か事実上の破綻企業に貸すしかないのです。銀行は事実上死ねと言われているようなもんなんですよ。だからこれ以上金融緩和をしても、一部株に回ってバブルを作るだけになるでしょう。

 

それだったら、まだ公共事業に使った方がマシです。現在日本の社会インフラはかなり危険な状況で、崩落の危険がある橋やトンネルはかなりあります。メンテナンスできていないインフラは10万か所あります。ならば、そこに集中させるべきではないでしょうか。自動車産業ほどのすそ野はないにせよ、期間労働者には金が回ります。

 

それと次の産業を作り出すための研究投資、特に基礎研究に回すべきでしょう。建設業や農業には人が集まらないと言われるのでしたら、人がいなくてもできるような機械の開発に向けるべきです。間違っての海外の実習生という名の奴隷を入れるべきではありません。そもそも人件費が上がれば、そこに就職しようとする人が出るはずです。つまり、財務省のせいだと言ってはいますが、技能実習生と金融緩和なんかやるから上手くいかないのです。

 

公共事業あるいは研究開発に使った方が長期的には日本のためになると思います。産総研でやれないのであれば、大学と商品化する可能性のある企業とをセットにしてばらまいてみたらいいじゃないですか。

 

また、彼は海外資産があるから日本は破綻しないと言っています。これも誤りだと思っています。海外資産、有利子の外国政府への貸付ですが、回収可能な国はいくらあると思いますか?単に契約だけ、経済学的に見ているだけにすぎず、融資を外交の道具にしている以上、そう簡単に「期限が来たから返せ!」とはいかないでしょう。担保を取り立てますか?それをやったら、まさに中国と変わりませんから。事実上、貸しているという名の贈与であって、その分日本製を買ってくれというだけの話です。

 

彼は数学的読みは立派だと思いますが、経済学的なものは変数が多いので彼はそこまで入れていないのではないかと思います。