世界中で最も重いものは親子の関係である。五倫の道に父子ありと、親の一字で「したしい」と読む。親子の間の親しみは言葉では言い表せない。生まれたばかりは泣き声とうごめくだけで、何の区別も付けられないが、痒いのか痛いのか寒いのか暑いのか、腹が減ったのかよく通じており、育てるのも誠の親しみが良く行き届いているからだ。

身分の高下に関係なく習わないで、自然と育て方を理解すること、天地自然を感じる事、親が子を育て、また親となって子を育てる、生生化化[1]の道理を明らかにする理由である。(主語と述語が一致しない)今の世間の親が子を思うように、子は親を思わないという。決してこういう道理はない。ニ三歳の時父母を慕う様子を見なさい。成人した後は自分の物欲に覆われ勝手が悪いので、親を捨てたり思わないようになるのだ。これはみな幼いころの育て方が悪いからで、親への大倫を失った。とにかく親がどのように育てたかによる。だから性格の悪いのはどのように育てても悪くなるものと考えるのは間違いである。やはり親の育て方が悪く教訓が行き届いていないからである。

白楽天は、「勧学問に田はあれども耕さなければ倉庫は空である、本はあって教えなければ子孫は愚かである」と言った。孟子の母は、子供を善人に育てようと注意していた。その処の風俗を見習い、行儀が悪く見えるので、住居を三回も変えた。とにかく悪い風俗を見習わせないように御育てになった。だから孟子が成人した後名をあげ大賢人と称せられ、我が日本でまで尊敬されるようになった。これは全く親の育て方で、子供も出世したことから、孟子の三遷といって子供の育て方の鑑となった。孟子のような大賢人ですら幼いころは悪い風俗を見習う。言うまでもなく、その辺の子供たちは。必ず躾けなければならない。

 


[1] 生き物は常に変化すること。

 

TV番組を見ると、女性は男性には耐えられない陣痛を経て子供を産んでいるので偉いと言っているコメンテーターが出てくることがあります。敢えてそれに喧嘩を売りますが、それって生理現象ですから。その理屈からすれば、大怪我を負った人ほど偉いということになりません?ああいう人が偉そうに物を言っているのを見ると、吐き気がしてきます。

重要なのは、男であれ女であれきちんと親としての行動をしているかどうかです。最近話題になっているネグレクトとかなんとかで、虐待死もニュースで聞きます。

子育てが大変だ云々ききますが、それ以上に楽しいではないですか。今日はここまで理解した、認識能力が上がった・・・観察しているだけで楽しいと思いますけどね。物事の善悪も力づくで最初からやるので無理強いする事になり、却って反抗するだけ。一人の独立した人間だと思っていれば、ちゃんと育ちますよ。