人は常に養生を第一に考えて長生を保ちなさい。たとえ病気でなくても時々灸をしなさい。さて、酒を飲み過ぎず色事を抑えて、飲食は好物のものを控えて、利益にならない事には気を遣わず、欲は少なめにして、朝早く起きていれば体の中から病気は出てくることはなく、天から与えられた命を保つものだ。

 

だいたい上寿であれば百歳、中壽であれば八十歳、下壽でも六十歳と備わっている寿命がある。昔の人も言い伝えてきた。それなのに色欲にふけり、大酒大食を手柄のようにするのは非常に無養生になることから、様々な病気になって本来の寿命を縮め、非業の若死になる。これは自分の身を忘れているだけではない。

 

両親をはじめ、妻子や親せきまで大勢の人を裏切ることになる。この点をしっかり理解して養生すれば、無病息災で本来の寿命まで生きて、諸願も成就しないという事はない。

 

すらすら読める養生訓

糖尿病やら痛風やら、生活習慣病はだらしないという感じから、デスクワークがほとんどになった現在では必ずしもそうは言えなくなってきました。

 

20代の頃は食い放題は極楽の極み、30代ぐらいから徹夜が辛くなり、40代では老眼が入り、50代では書類を読むのが辛すぎ。99%の人は必ずこうなります。もう少し健康なら、こんな事も出来たのにと年を追うごとに思うものです。だから年寄りが若者に、健康でいろよと説教するのです。

 

とは言え、一度本格的に体を壊さないと健康の重要性って気づかないもんですよね。

 

ある人に言われました。「我々の仕事は素人でもできる。だが、安定的にできるかどうかが我々玄人の見せ場である」と。要するに瞬間芸ではなく継続的に仕事ができる事こそがプロであるのだそうです。そのためには健康であることが基礎だとも言ってました。

 

確かにそうでした。この人と飲んだときは、べろべろに酔っぱらっていましたが、翌日は何事もなかったように仕事をしていました。酒が強い訳ではありません。翌日に響かないように節制しながら楽しんでいたのです。

 

生活習慣を改善して病気を避けられるのであれば、それをしないのは罪ですよね。特に、一人でも部下を持つ人は、この点に注意したいものです。