客を招く時は、朝早く起きて家の内外を綺麗にして、床、軒下、天井、植木、便所に至る迄蜘蛛の巣がないようにしなさい。さらに給仕をする者の待機の仕方、通り方、酌の仕方などを説明して、座敷の廻りをしとやかにして怪我をしないように注意させなさい。

 

を出してからも、亭主はに三回は挨拶に出なさい。総じて分を過ぎるようなことはしてはならない。ただ一つでも注意して客が気に入るようにして、切り方や火の通り具合に注意しなさい。これが本当の御馳走である。

 

さて、酒を勧めるのは2,3度までにしなさい。客人達が辞退しているのを無理強いして飲ませるのは極めて無礼である。人として行為としてはやってはいけない事だ。よくよく注意しなさい。客がいるうちはどんなことも我慢して、家の人を大声で叱ってはならない。また、台所であわてるようなことがないよう、大声で笑って話をすることは特に注意するべきだ。

 

客が帰った後の片づけを申し付けて、諸道具は壊さないように静かに扱いなさい。皆の苦労があって首尾よくもてなす事できるのだと、丁寧にあいさつして、家の中や外の火の用心をしっかりと確認してから寝なさい。

 

 

気の置けない仲というのは、ほったらかしでも構わないというのではありません。ちゃんと気を使いなさい。でも気を使っているとは分からないようにやりなさいと言ったところでしょうか。本当のホスピタリティというのはそういうものだと、あるホテルの支配人がいってました。

 

さて、掃除については他の心学の本でも何度も出てきます。確かに、きれいに掃除がされていると取引はどうであれ、きちんとしているように見えます。

 

私は片付けが苦手で、何度も机から雪崩を起こしますが、この時点でダメですね。

 

しかし、この掃除と経営というのはやはり関係があるようです。

 

ある温泉の話ですが、ここはバブルの時に過剰投資をしてしまい、人件費を思いっきり切りました。その結果、駐車場の草や館内の掃除が徐々に雑になり、常連さんでさえ「汚い」と言っていかなくなってしまいました。なぜ客が来なくなったのか、その温泉の社長は最後まで気づかず倒産しました。

 

またある上場企業ですが、ある人を介して紹介を受けました。研修にその社長をお招きするということで話を進めていたのですが、電話をしても「社長はいない」と一方的に切られてしまう、メールを送っても返信がない状態が続きました。そうこうしているうちに、崩壊してくれた人を経由して、「いつまで待たせるんだ」とクレームが入りました。

 

その会社にいてみると、会社の門の前はコンビニ袋やら煙草の吸殻、揚句に草ぼうぼうでした。仕事はやっているようですが、2か月ぐらい人の出入りがないのか?思えるような状態でした。

 

その後も、連絡がつかない事が続いたので仕方なくIRに電話をしたことがあるくらいです。

 

ある日打ち合わせとして、やっと財務部長と社長秘書と会うことになりました。そして、10分ぐらいして言った言葉が

 

「今度うちの会社、株の分割をするんですよ。言っている意味が分かりますよね。」

 

インサイダーを持ちかけられたのです。

 

速攻でこの会社との関係は一切経ちました。そして、半年後に不正会計で倒産しました。今から10年以上前の話でした。

 

その会社が倒産する前兆として、会社の建物だけでなくその周辺も掃除がなされていないというのがありそうです。