公開初日になるのかな、尾崎豊のドキュメンタリー映画を観てきました。
尾崎豊を好きになったのは、高校生になってからだったと思います。
デビューが1983年だから、自分が小5の時にデビューだったんですね。
初めて知ったのは、中学校の給食の時間に、たしか校内放送で「卒業」を誰かがリクエストをしたらしく、流れたんですよね。
その時は激しい歌だなぁと思っただけでした。
高校に行って、「15の夜」をラジオだか友達の家で聴いて、カッコいいなぁと思って、
それから当時出ていた音源を色々聴き出して、
1990年に出た「BIRTH」からリアルタイムで聴いて、
その「BIRTH」のツアーで、本当に最初で最後になってしまったけど、ライブを観る事が出来て。
1992年に急逝してホントにショックで。
聴いてた時期、聴かない時期と何度かありました。
最近はほとんど聴いてませんでした。
んで今日、久しぶりに映画という形で、尾崎豊の音楽を耳にしたという次第です。
映画の内容としては、ライヴの演奏シーン、ライヴのMC、楽屋のオフショット、
カメラ目線のモノローグ、これまでのPVの映像、などなどが、コラージュされた映画でした。
尾崎豊という人が世に出て活動した期間は
1983年から1992年のわずか9年間。
17歳から26歳の間の、青年が紡いだ音楽と言葉。
47歳になった自分が観た率直な感想を書いてみます。
尾崎豊の独白が、作品中に多く出てきます。
イケメンだから許される様なものの、あまりに青く透明な、聴いてて恥ずかしいような、なんとも言えん感じになります(笑)
ついツッコミたくなってしまうのは、自分が薄汚れてしまったせいか(笑)
とまぁこれは置いておいて。
一番初めに頭に浮かんだ言葉は「未完」。
尾崎が世に放った作品は、その作品を作った当時の心や言葉が、全身全霊を傾けて込められている。
「口うるさい 大人達のルーズな生活に縛られても」という「十七歳の地図」の歌詞にある、
大人達の側に入る年齢に、今の自分は居る。
ただそうなってみて、死なずに生きている自分から見た尾崎に対してこう思うのです。
当時の尾崎と同じ年齢を生きて、それから今に至る訳ですが、
やはりそのくらいの年齢で世を知るというか、知ることができる範囲には限界があるというか。
尾崎豊という存在にある儚さや危うさは、人を惹きつけるものがあると思います。
この映画の中でも、「すべての既成概念を取り払う事から考えようと思った」というニュアンスの事を尾崎は言っていましたが、
全てを疑い、自分で考えて判断する。
きっと尾崎はそれを実践して生きていたのでしょう。
故に、それは後ろ盾となるものは自分自身しかいない。
誰も登った事がない山を、ひとり切り開きながら歩いている様なものだろうと。
雲を掴むような事をやっていたんだろうと。
これはホントにキツい仕事だったんだろうなと思うのです。
そして全ての物事に対してのスタンスを探す過程で亡くなってしまったんじゃないかなと思った訳です。だから「未完」と浮かんだ。
印象的なのは、尾崎の瞳は、いつも中空を見つめるような、視線がどことなく実態ではない存在を見つめているような感じなんですよね。
「そりゃ捕まった事あるからね」
とゲスい事を言うならいくらでも言えますが。
まぁホントに、怯えなどもあったのかな。
映画中、ご両親が出たりする所などは少し素顔が見られた様にも思います。
最初と最後に、2019年の東京での街頭インタビューが流れます。
尾崎豊を知らない子、知ってる子。
「I LOVE YOUぐらいは知ってる」
「昭和感が強いw」
「兄弟が知ってて、それでハマって、たまに歌ったりする」
「今は尾崎ほど熱い曲がない」
まぁリアルな現状でしょうね。
当時はネットも無かったし、尾崎はほぼテレビに出なかったから、最初に知るのは耳からでしたね。
ネットが普及して、尾崎の姿も簡単に見られる様になりました。
果たして2020年の今、この映画が、期間限定らしいですが公開されて、
その意味とは何なのでしょうか。
タイトルの「尾崎豊を探して」って、
「あなたにとっての尾崎豊を探してください」
って事なのでしょうね。
自分はそう解釈しましたが、それは十人十色という事で。
一つ気になったのは、映画中に取り上げられている曲はいわゆる初期の三部作からだけなんです。
「街路樹」「核」「BIRTH」「放熱の証」の曲は出てきませんし、当時の姿も出てきません。
監督にとっての尾崎は初期の三部作が尾崎なんでしょうね。
でもどうせならその辺も表現して欲しかったなぁ。
逮捕の事だって歴史の一部だし、休止からお子さんが出来て「BIRTH」で復活した時とかも、良い曲たくさんあって尾崎の第二章としてすごく感慨深かったし。
なので、マニアの方には、物足りないかもしれないですが尾崎豊出演作として観ておいても良いかと。
初めて観る、尾崎をあまり知らない人は、尾崎のデビューからの数年の、
若く瑞々しくて、儚く美しいロックシンガーの映画として、
こういう人が昔居たんだと、
そしてこんな事を歌っていたんだと、思って貰えればいいかなと思います。
まぁそう言うわけで、思いつく事を書いてみました。
2020年1月16日まで全国で観られるそうです。
時間がある方、は是非どうぞ。