ヒューゴの不思議な発明 | YELLOW DX FILMS 〜shimajirouの映画感想〜

YELLOW DX FILMS 〜shimajirouの映画感想〜

日々の感想や思いを自分勝手に書き綴っていきたいです。
映画、本、音楽、ゲーム。
まあいろいろです

なぜ”ユゴー”ではないのか?
というのが一番の疑問だった。
原作は2008年出版の「ユゴーの不思議な発明」ブライアン・セルズニック著、金原瑞人訳。
僕は初版で買っている、
それは、当時から帯に”マーティン・スコセッシ監督、映画化決定の文字”
映画化作品だからと言うわけではないが、
やっぱり好きな作品だと問答無用に購入してしまう。

ロストシティZ」「高慢と偏見とゾンビ」「WORLD WAR Z」他にもいろいろ。
(ゾンビものが多いのは偶然)
まあ映画化されない事もあるし、
少し違うが「ドラゴンボール」のような不遇なものもある。
あれはあれで、「ドラゴンボール」じゃなければまあまあの映画だと思う。

ヒューゴの不思議な発明」を観ました。公開初日のレイトショー。
VIP席だったので、リラックス。3D吹き替えなので一応。
あと、ネタバレあり。気にする人は見ないでね。

結果的にはまあまあ面白かった。
途中から明らかになる、パパ・ジョルジュの過去。
映画が大好きな人間からすると、確実に感動してしまうものなので、
それはそれとしておいて。

物語の始まりの、主人公ヒューゴとパパ・ジョルジュとの会話。
ドロボウだどうだと、ノートのくだり。
突然パパ・ジョルジュが怒り出す。
ノートを取り上げる。
状況的にも、心情的にもおいてけぼり。
原作には確かに忠実だったと記憶しているが、
突然すぎて、感情移入というか、少し不快な感じがする。
あとあと、事実がわかると納得出来るが、
やっぱり気持ちが悪い。
もう少し、ヒューゴが、盗み等をしている場面を、OPで、
カットバックでもいいから入れておくべき。
ほんと少しで良いから。
でないとパパ・ジョルジュが突然怒り出す偏屈なじじいにしか見えない。
そう見せたいにしても雑すぎる。

まあ、一番気になったのはそこかな。
それで感情的にも、キャラクターの性格的にもちぐはぐになった気がする。
サシャ・バロン・コーエンの駅保安官も、
過去にいろいろあったとか、恋愛模様があったりするなら、
もう少し、人間味がない嫌な男だけど、
どこか愛すべき男にするべきだと思う。
好きな女性の前では、ちぐはぐになるとか、
連れて行かれる孤児を見る目が、一瞬哀しげになるとか。
そういう伏線は必要かと。

クリストファー・リーの書店のおじさんも勿体なかった。
ロビンフットだっけ? その本を本当にユーゴが欲しがっている様子や、
クロエ・モレッツ演じるイザベルとの関わりに、
感謝や喜びを感じて、ユーゴに本を譲るとか。
それがないと、特に映画として必要ないシーンに思う。

描いてる事はいっぱいあるけど全部浅く広くといった感じで、
パパ・ジョルジュのことを探る時には、
もっとサスペンスや、
何かを探す冒険の要素が欲しかった。

最近の映画は、結果的に見つかったとか、
後づけでそうでした、みたいな過程を描かないものが多い。
原作では無いシークエンスを入れても問題ないと思う。
どうせ映画と活字は違うのだから。

しかし、パパ・ジョルジュの過去の回想シーンはすばらしかったし、
ジョルジュ・エメリス監督の研究者が過去にジョルジュに言われた言葉。
ぼくはあの場面で涙がこぼれました。

良いシーンもたくさんあるが、そうでない要素多いため、微妙な映画と言える。
しかし、この映画の雰囲気、
ジュブナイル感、おじいさんの過去、父親の形見の人形と、その鍵をもつ少女。嫌な保安官。
必要な要素はすべてそろっている。
パズルの組み合わせ方が良ければ、多分傑作映画になっただろう作品。

おしい! けど素晴らしい、幸福感のあるラスト。


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