例えば、デザイナーに成りたいというのは自分の憧れでしかなくて、実際に生業にすることは難しい。むしろセンスより、努力と調整力とコミュニケーションの問題になると思う。今の教育は技術教育や知識教育に傾向して、肝心の自ら考えて実行する能力を伸ばすことがほとんどないのではないか。
働き方改革について様々な意見が国会や世論として議論されているが、まったくと言って良いほどナンセンスな議論が展開されている。そもそも仕事というものは時間や尺度といったもので測られるものではなく、人と人の関係や、努力の末に価値を見出すものだ。
仕事の種類は1000種類あり、更にその先にはその仕事に合ったコミュニケーションや手法がある。そのようなデリケートな事をひとつの法律で縛られること自体が可能性を萎めていることに他ならない。日本がそのような議論を展開している間に、お隣の中国では規制緩和で新しいビジネスが1時間単位で生まれているかもしれない。
そんな混沌としている疑問の中で、先日徳島の神山町に働き方の視察に行った。
山中にも関わらずITのサテライトオフィスがあったり、週休3日を実行しているお店が多くあったり一風変わった取り組みをしている町だ。こちらに移住する人は自然環境をオフィスとして捉えいるようだ。朝森の中をジョギングして、静かな環境でプログラムを書いたり、近くの温泉で体を癒やしを得たり。人としての潤いをベースとして、最大の能力を発揮しようと取り組んでいる。
このような田舎で仕事をする人を都会の喧騒からの逃避行という捉え方もあるが、逆にストイックな人が来るのも事実のようだ。アーティストやベンチャーの方など。わざわざなぜこのような田舎に来るのか理解しがたいが、どうやらそのようなコミュニティーというか、新しい価値を生み出す集団的な共通意識があるように思う。だから色々な実験が行われるのかもしれない。
今回我々は建築士、まちづくりコンサル、会社経営者と私デザイナーの4名で行った。捉え方は様々なだったが、このようなサテライトで、1〜2週間でプロジェクトを進めたり、ブレストするには良い場所という感覚は共有できた。徳島県では神山町に対してインターネットの敷設や県の職員も出向するなど、バックアップ体制も積極的に整えている。働くことが会社に出社して時間管理されることがすべてではないと考えるが、その意識を社会で共有することが大切だ。
うちの会社でも時短勤務や不規則勤務、更には15分有給など柔軟な取り組みを行ってきた。これは必ずしも成果をなしているとは限らないが、本来人の持っている可能性はやり方によっては10倍くらい能力発揮できるのではないかと思う。時間や働き方にはこだわりたくない。だから偏向した法律を作らないでほしい。切に思うこの頃。
今後月1回おもしろ会議を行っていきたいと思う。こちらは会社の枠を越えた方にも参加していただき雑談がメインとなるもの。今までの既成概念にとらわれないアイデアを出していきたいと思う。